劇場公開日 2018年12月15日

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「求めていたものが違っただけかもしれないが」メアリーの総て つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5求めていたものが違っただけかもしれないが

2024年2月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を生み出すまでの物語なんだが、肝心の執筆パートはものすごく短い。
逆を言えば、執筆を始めるまでがメッチャ長い。
何なら、ほとんどが恋愛映画と言っても過言じゃないくらい。

真実の愛を求めて駆け落ちしたけど、結局都合のいい女扱い。自由を仄めかす男と愛を貫けると思ったのもつかの間、自由とは無責任であり、愛とはともに堕落することなのか。
乱暴な言い方をすれば「若気の至り」ですな。

メアリーが「若気の至り」のツケを払い続ける、不幸な結婚の犠牲者(パーシーの前妻・ハリエットみたいな)にならなかったのは、彼女が創作の中に己の魂の叫びをぶつけられたからだ。
実際に「フランケンシュタイン」を読んだ訳ではないから想像だが、「怪物」の魂は表面的なストーリーを突き破って、読み手の心を揺さぶるような「言葉」に彩られていたのだろう。

にしても、「パーシーの作品なら出版しよう」という「女だから評価されない」シークエンスは食傷気味だ。
さらに言うなら、最後に「父と旦那に評価してもらえてハッピーエンド」風なのも、より一層の「なんだかなぁ」感がある。
今までの気持ちを理解してもらえれば、それでいいのか?メアリー!
時代が時代だけに仕方ないのかもしれないが。

墓に佇むメアリーのジャケットはとても印象的だが、肝心の中身はあまり印象に残らない。
メアリーの内面のドロドロした感情をストーリーに乗せてくれたら、もっと興味深いのに。
ちょっと残念な出来である。

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つとみ