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◆ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談

憂鬱な詩情とトリックアートのような語り口に魅せられる3つの恐怖+1
  かつて1960〜1970年代のイギリスにアミカス・プロダクションという怪奇専門の映画会社があった。アミカスの十八番はクリストファー・リーピーター・カッシングらのスター俳優を起用したオムニバス形式のホラーで、同社が放った「テラー博士の恐怖」「残酷の沼」「墓場にて」といった代表作は今なお一部のマニアに愛されている。世界的な大反響を呼んだ舞台劇を、その共同演出家であるアンディ・ナイマン&ジェレミー・ダイソンが自ら映画化した「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」は、イギリス、怪奇、オムニバスという3つのキーワードが久々に揃い踏みしたユニークなプロジェクトだ。

  超常現象のウソを暴くことに人生を捧げた心理学の教授が、"科学では説明できない3つの事例"の検証に挑むという物語。オカルト否定派の主人公グッドマンが、中年の元警備員、神経質な若者、裕福な地方の名士にインタビューする形を取りながら、彼ら3人の世にも奇妙でシュールな恐怖体験が映像化されていく。

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  「第1話」の舞台となる元精神病院の倉庫を始め、海辺、森、草原、線路、トンネルといったロケーションが素晴らしく、あらゆるショットにイギリスらしい侘しくも魅惑的な詩情が漂っている。しかも、これは単なるオムニバス映画ではなく、実は入れ子構造を持つ長編ホラーである。3つのエピソードの合間には、行く先々で不気味な幽霊や幻影を目撃するグッドマン教授が、じわじわと現実と虚構の境目を見失っていく様が描かれ、その逸話が真の恐怖をもたらすクライマックスの「第4話」へと発展していくのだ! 往年のアミカス映画を彷彿とさせるブリティッシュ・ホラーの懐かしい香りに浸っていた人もそうでない人も、本作の洗練されたヴィジュアルのセンス、緩急自在の巧みな語り口には感嘆せずにいられないだろう。

  劇中にスマホが出てくる現代劇でありながら、徹底的にアナログな質感にこだわった視覚効果も秀逸だ。とりわけ精神的な錯乱が極まったグッドマンが時空を超えて真実と向き合っていく「第4話」で、念入りに張り巡らされていた伏線があれよあれという間に回収されていくシークエンスの鮮やかさは、もはや最上級のトリックアートの域に達している。そして「第3話」に登場し、あっと驚く"変身"を披露するマーティン・フリーマンの怪演もお見逃しなく。

(高橋諭治)


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