劇場公開日 2018年5月12日

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「粉飾と作為を限りなく回避した子ども映画の傑作」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0粉飾と作為を限りなく回避した子ども映画の傑作

2018年5月30日
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海外の作品を観ると「子役がバカうまい!」と感心することばかりだが、本作はズバ抜けている。いや、うまい、という言い方も失礼だ。この映画の子供たちは、たちの悪いイタズラと悪態が人並はずれて大好きで、近所にいたら眉をひそめずにはいられないだろう。しかしこの映画は開始早々から、こんなガキどもいる!と納得させられずにいられないし、いつのまにか本当に近所の、いや、親戚か家族のような想いでこのガキどもを見守ることになる。

それはほかの大人たちも同様で、まるでこの魅力的な素人アンサンブルのアンカーの役割を担うウィレム・デフォーを除けば、普通の劇映画ではなかなかお目にかかることができない自然体のオンパレードだ。役者が本職のケイレブ・ランドリー・ジョーンズでさえ、素人から抜擢された中の一人に思えるほど、当たり前の日常にしっくりと馴染んでいる。

描かれているのは過酷な日常で、その先の展望も明るくない。しかしこの人たちは確かにフロリダの片隅で生きているという確かな実感が、この映画の一筋の希望の光になっていると感じた。

村山章