劇場公開日 2013年11月9日

  • 予告編を見る

「一点豪華主義の見事な短編映画」陽なたのアオシグレ ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5一点豪華主義の見事な短編映画

2018年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

アニメーションの醍醐味はやはり動きだが、この短編映画はまさにその醍醐味に自覚的だ。18分の短い時間でダイナミックなシーンの一点突破に活路を見出した。短編映画だからこそ許されるやり方だろう。

物語はいたってシンプル。小学生男子が好きな女の子と仲良くなれたが、女の子が転校してしまう。想いを告げる最後のチャンスの転校日に少年は少女を追いかける。

この追いかけるシーンを幻想と現実を交えて描いているのだが、このシーンのアニメーションが素晴らしい。むしろ他のシーンはかなり省エネで作画枚数を減らしている。

走る電車を追いかける少年に鳥が近づき少年を乗せて飛翔する、電車も空を飛び、大空を駆け抜けていく。わずか数分間のファンタジックシーンだが、アニメーションのカタルシスを存分に詰め込んでいて、素晴らしいセンスを感じさせてくれる。

スピッツの楽曲もシーンを大いに盛り上げてくれる。短い映画だが、大きな感動をくれる作品だ。

杉本穂高