夢売るふたりのレビュー・感想・評価
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心理描写やっぱうまいね。 意図的ではなく、母性本能をくすぐる性格を...
心理描写やっぱうまいね。
意図的ではなく、母性本能をくすぐる性格を見抜き、それを利用してお金を借用する。でも、それをやっていくうちにサトちゃんは女としての嫉妬にかられる。
人間誰しも、寂しさという陰の部分を持つことが浮かび上がってくる。
西川監督だったら、単なる夫婦モノだとは思わなかったけど、こんな展開とは・・・。
とにかくく暗い重い そのためあんまり好きじゃない
悲しい物語!
演技には阿部さんも松たか子も言い分ない!
しかしあまりにも気持ち悪くなる。
悲しい話だった。
まさに貫也は主導権を持っている。
里子は貫也にいろんな指示を出したりするが、結局貫也が心の支えになる。
貫也に騙された女も、里子も、貫也に承認されたいだけだ。
ある意味で里子の自業自得だ。
里子の苦しみ
爽快さの無いリアルな人間臭さ。
コミカルなイメージ大の阿部サダヲと、細かい表情での演技に長けた松たか子だからこそ、この作品の良さが出せたのだろう。
大金をポンと出してしまう女たちが何人か登場するが、私には貸す余裕もあげる余裕も貢ぐ気も無いので共感できず。
お金の話が出てきた時点で、警戒して冷めてしまうのでそこでおしまいだ。
でも、そういう女性が世の中に結構いるのも事実で、私の男友達Rなんかは十何年もヒモ生活できている。
Rが言うには、女が好きな男に金を渡す時というのは以下の3つなんだそうだ。
1、必要とされたい
2、面倒臭い
3、心から助けたい
そのうち3は本当にそうか疑わしいそうで、「もっと気に入られたい」または「優位に立ちたい」などの邪念が奥にある人が多いらしい。
1は、自信の無さ。
金なんか出せなくても、本当に愛があるなら必要とされるはずなのだから。
2は、楽しい“今”に水を差されるのが嫌だから、お金の話なんて聞きたくないから。お金で解決できることなら、ってやつだ。
この映画を見て、Rの話を思い出し、なるほどなあと思った。
しかしまあ、この映画の中で一番痛々しくて苦しいのは里子なのだ。
生理のシーン、ネズミのシーン、階段のシーンなど、里子の報われない気持ちが随所に強く感じられた。
タイトルの謎が解けてからは…
なんとなく気になっていて借りたのだけど、ぐさっとくる話だった。
壊れていく妻が痛々しくて、その後のことを想像したけど、幸せになれない女は妻だけのような気がして悲しかった。松たか子
、ギリギリのところの役でも綺麗だなぁ 顔というか品なのか人間臭さが出てたからか…。
4作観た中でワースト。
西川美和監督の作品4作観ましたが1番共感しづらかった。
嘘をつくことを女性が強要してたからかも。
「嘘をついてしまう愛される男性キャラクター」みたいな描写の見事さがとても好きだし今回の阿部サダヲも説得力あるけど、この映画では騙す方も騙される方も、まわりにいる女性のキャラクターがあまり好きになれなかった。
夢を売ってしまったふたり
繁盛している小料理屋さんという同じ夢を実現させて仲良く頑張っていた夫婦が、火事で意欲喪失した夫の浮気をきっかけに、詐欺という悪い手段で再び夢を掴もうとする。浮気された怒りと悲しさを秘めた妻。情けなく従うしかない夫。最初は共謀しているが、徐々に現実から目を背け、詐欺としてカモに売っている世界に入り込んでしまう夫。ふたりはいつしかすれ違い、気持ちも素直にぶつけ合えなくなっていた。あんなに仲が良かったのに、お金のための詐欺を働き、女性達に結婚という夢を売っているようで、実はふたりの夢を売ってしまっていた。夢を象徴するかのように、夫の包丁がいまや浮気相手となった詐欺相手の家の台所に無防備に放置されている描写がとても哀しかった。松たか子ってこんなに演技が上手なんだ!と初めて気付き驚いた。
裏切られた人間のパワーは凄まじい。
松たか子の演技が凄まじい。
本来は2人とも真面目で善良な人間。
夫の裏切りをきっかけに歯車が狂い始め、決して冷静さを失うでもなく騙し取った金を、倍にして返さなきゃね、と悪びれず微笑む。
ここまではまるでゲームのような気軽さがあった。
そしてウェイトリフティング選手、ホテトル嬢、公務員と善良な人々が現れ妻の心はざわめき始める。夫の心が奪われる恐怖、人を騙す罪悪感に縛られ始める。
そしてそれでも夫との夢を叶えたかった。
おまえはなんもかんも俺に捧げてきたから、生活の厳しさも知らず好き放題やって人の亭主の上澄みだけ舐めてトローンとしてるようなのが一番カンに触るんやろ、そんな女やその女の股座に顔をつっこむ俺みたいな男もなぶり殺したいんやろ、お前は今が一番いい顔しとるという夫の台詞。妻は大きく傷つくも、それを夫に見せずとりあわない。
夫と向き合うことなく2人の溝は深まる。
最後に光は見えたのだろうか。
ずる賢さのレベルがアップ
初めてお金を貰った後で、ダッシュで妻の元へと走る阿部サダオが良い。
その夫を問い詰めて、遂にキレる松たか子が良い。
西川美和監督の演出力は、明らかに前作を遥かに凌いでいた。
だが、数々のミスリードを見ていると解る通り、そのずる賢さもとんでもない位にアップしていた。
数多くの場面で、観た人の人数分だけ解釈が出来る場面が多い。
でもそれらの場面の直前には、必ずと言って良い位に、観客の気持ちを誘導するミスリードが存在する。
とにかく観ていて楽しく無いのは間違い無いので、賛否両論五分五分。一般的には不評が多数を占めると思われる。
女性監督でありながら、これだけ登場する女性達を醜く撮る人はある意味希少価値な存在なのかも。
なにしろ!1番綺麗に映っているのは、ウェイトリフティングの彼女なんだから。
そして驚き桃の木だったのが、松たか子の“あの“場面。
いやいや“あんな事やこんな事“にはびっくりしたわ〜!
ラーメン屋で阿部サダオが浴びせる一言に納得。
子供の使い方には不快感しか湧いてこない。
店長お気持ちお察しします。
(2012年9月21日/ヒューマントラストシネマ有楽町/スクリーン1)
エンターテインメント
昔、付き合ってた男が、いい映画だと言っていて
私の中でレンタルショップに行って
見かけるたびに、胸が痛んだ作品(私事過ぎる)
やっとその男のことを吹っ切れたため、
見てみた。
真面目にやっているところが
面白くなってしまうことが何ヶ所かあった。
真面目そうに見せていて結局は
エンターテインメントなんだよなあ。
暗い
結局本当の幸せは地道に努力して得ることしかできないということがよくわかった。
主人公二人は火事でお店を失う。やり直すのに10年かかるよという話を冒頭にしていて、結婚詐欺を始めて警察に捕まり、傷害罪か詐欺罪かどちらで捕まったのかはわからないが、10年以下の服役だろう。結局はそうゆう結末になる。
人の心の隙を利用して金を巻き上げた二人は最初の支え合っていた生活もだんだん狂って行く。暗い映画だった。
ただ松たか子はこういう裏から物事を巧みに操り指示したりする役がぴったりだと思う。「告白」のイメージが強いのかな?
まぁまぁいい映画でした!
人間とは? 男と女とは?
あるきっかけから詐欺に走る夫婦ふたり。
序盤はどちらかといえば人間の汚い部分に寄り添い金を巻き上げていくので、ある意味痛快な部分もあるのだが、後半にかけてそのシナリオが徐々に崩れていく。
ウェイトリフティングの女、子持ちの公務員、チェンジされまくりの売春婦。
これらの女は心に弱い部分をもちつつも、善に属する女たち。その女に罪悪感を感じながら、寄り添う阿倍サダオと復讐し続ける松たか子に心の変化が。それぞれに登場する役者の演技が見事で、見ているこちらもドキドキしながら翻弄された。
久々に見た名作。
阿部サダヲと松たか子のための映画
結婚詐欺をする夫婦の話。
もっと暗い映画かと思っていたけど、
時々笑えるシーンが挟まっていて、
常にハラハラすることなく観れた。
松たか子の頭の良さ、憎悪が感じ取れるシーンがばかりが強く印象に残っている。
謎が残ったのはラストシーン。
だけど、きっと、「生きろ」というメッセージなのだと思う。
(ほぼ日の監督インタビューを見てそうなのだろうと思った。)
キャラが非常に分かりやすく、生き生きとしていて良かった。
また、料理が美味しそうで食欲をそそられた。
女の弱さと脆さを描いた映画だと思った。
それから、阿部サダヲと松たか子のための映画だと思った。
チト冗長
チト長いとかその割には冗長な描写が少なからずあるとか後半失速するとかこの監督さんの他の作品と共通する欠点はあるが,女性監督ならではの視点など魅力が上回る.主役二人をはじめとする出演陣の演技もすばらしい.
ズドーン
この写真、ポスターや予告編でよく見るけど、この表情が表してる通りのトーンの映画だと思う。
阿部サダヲがいろいろな女をだまして、お金をとっていく中で、夫婦の関係性も崩れっていう・・・
最後、阿部サダヲが包丁を持って出て行ってしまうけど、やっぱりああするしか終われなかったっていうことなのかな。
なんか見てる間も、見終わった後も、ズドーンと重く苦しい映画だった。
松たか子すごい。
女の強欲
男と女、恋愛、結婚、生活、夢。
生々しい現実と焦がれ追い続ける理想を描いた作品。
女優がキーパーソンになる作品なだけに、松たか子さんというキャスティングがはまっていて、松さんなくしては、この作品は完成していないと確信している。
「虚しく哀しい」けれど、だからこそ、里子の強さが際立つ。
感慨深い作品。
女の強さを再認識
東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。ある日店が火事になり二人はすべてを失ってしまう。ある日貫也が常連客と一夜をともにしその際成り行きで貰った大金から里子は結婚詐欺で金を騙し取ることをおもいつく。結婚願望の強いOLや寂しい女性の心の隙につけ込んで店を再開するための資金を稼ぐのだ。
結婚詐欺に引っかかる女性陣が田中麗奈、鈴木砂羽などかなり見応えある演技だった。
女性の心理を描くのはやっぱり西川美和さんピカイチだと思う。阿部サダヲの演技も上手くこんな人だから騙されちゃうんだろうなという感じでした。
二人で店を再開するために女性を騙すことを繰り返すがいいひとを騙すことに疲れとうとう違う方向に向かってしまったねじれた結末もこの監督らしいと思った。
『夢売るふたり』
松たか子、最優秀女優賞の演技は圧巻。
万札を叩きつけるお風呂場の冒頭シーンからラストまで、所帯持ってる男は思わず目を背けちゃうねこれ。
そこに博多弁が刺さる刺さる。
またBGMのギターが何ともイイ。憎い映画だぜ、西川監督さんよ。
他の映画も観たくなりました。
「自転車」が暗示する夫婦の行き着く先は……
阿部サダヲ演じる夫・貫也が、松たか子演じる妻・里子と共謀して、女性を騙して金を奪って資金を貯め、火事で失った店の再建を目指して行く。そうして繰り返し詐欺をしていく中で、すれ違う夫婦の関係を描いている。
本作は、度々登場する「自転車のシーン」で夫婦の関係を暗示しながらストーリーが展開する。
映画の冒頭、小さな居酒屋を営んでいる夫婦は、市場で買い物をし、2人それぞれの自転車を仲良く揃って漕いでいく。夫婦の関係が、共に歩んでいる姿を描いている。
さらに続くシーンで、「この夫婦は、夫が妻のいう通りに行動していれば上手くいく」という事が台詞とともに、映像でも示される。一方で夫は「言うことを聞いているフリをしてるからこそ上手くいってる」と反論する。2人のバランスが上手く行っていた時期だ。
この夫婦の歯車が狂い始めたのは、夫婦の居酒屋が火事を出した時からだ。
店を焼失して失意する夫が自暴自棄になっているところに、妻が自転車で迎えに行く。その後、夫が坂道を一所懸命に漕ぐ自転車の後ろに妻が座り、夫にしがみつく。夫を後ろから支える妻の姿、必死に、そして幸せに生きようとする夫婦の姿だ。
この直後、失意からやる気をなくしていた夫の浮気をキッカケに、妻は詐欺を思いつく。夫が女性を騙して金を巻き上げ、それで貯めた金で、2人の店を再建させる計画である。
詐欺が成功し始める頃になると、女から騙しとった金をズボンの後ろポケットに無造作に入れている夫の自転車の後ろに、妻はガッツリとまたがる。この時はもう、夫にしがみつくことはない。しかも、この時の夫は、妻のパート仕事が終わったのを迎えに来ている。妻が夫をコントロールしている描写。
ところが、始めは妻が詐欺の計画を立て(監視もしている)、夫が実行犯だったのに、妻も実行犯として動き始める頃になると、少しずつ夫婦の関係に変化が生じる。
妻が一人で自転車に乗って捜し出したウエイトリフティング選手のひとみ(江原由夏)、夫が偶然に知り合って自転車の後ろに乗せた風俗壌・紀代、この2人の登場で、夫婦の詐欺による店再建計画が、少しずつ破綻に向っていく。
夫・貫也は、ひとみが「普通の感覚」である事に癒しを感じ、紀代が「地に足をつけて生きている」ことに共感する。一方、妻・里子は、夫が自分の元に帰らず女のところで過ごす夜、欲求不満を解消するため自慰にふける。2人は、もはや同じ自転車に乗る姿は描かれない。
しかし、この頃はまだ2人は愛を感じ合っている。夫が朝方帰ってくると、妻は一緒にベッドに行き抱き合って寝る。再建する店の開店準備も進み始めた。そして、貫也も里子も、子供が欲しいと願っている。
ひとみと紀代から金を巻き上げる日、夫は2人の家を行き来する際、真っ暗な道を孤独に自転車を走らせる。かつては、2人で上り坂を登っていた自転車は、今は夫一人が乗り、坂道を下って行く。夫婦の行く末に明るい未来は感じられない。
夫が、次に自転車の後ろに乗せた人物は、シングルマザー・滝子の一人息子だ。この頃になると、夫婦の気持ちは完全にすれ違っている。
夫が、滝子の家族達と鍋を囲んで団欒している時、妻は生理を迎えて(未だに子供が出来ない事を示唆)一人寂しく夜を過ごす。
結局、夫婦の店再建計画は、完全に破綻する。
夫は、妻の元から一人で自転車に乗って滝子の元へ向うが、どこか後ろめたさを感じ、一瞬だけ振り返る。しかし妻の姿はない。そんな夫の気持ちを察した妻は、夫を見送ろうと後を負うが、すでに夫は自転車で走り去った後。このシーンの後、ストーリーはクライマックスに向けてテンポが加速する。
騙された女性達の中で唯一、執念深く夫婦を探しだした咲月(田中麗奈)の追及をキッカケに、滝子にのめり込んだ夫と、そんな夫の気持ちを察した妻、それぞれの行動が仇となり、夫が逮捕されて夫婦の計画は終焉する。
ちなみに自転車は、ここでも登場する。夫が滝子の家から帰って来ない事で、夫の心変わりを心配した妻が、滝子の家に足を運ぶが、自転車は滝子の家の前に停められている。妻は、夫の心変わりを確信する。
さて、逮捕されて服役することになった夫や、騙された被害女性達、そして魚市場で働く妻、そんな登場人物達の「事件後」を描いて映画は終了する。
この際、自転車に乗っているのは、滝子と一人息子だ。この自転車の描写は、一体何を表しているのだろうか……。
木村多江が演じる滝子が親子で自転車に乗る姿は、どう考えても、それまでに登場して来た自転車と同じように、何かを暗示しているはずだ。この点をインタビュー記事で引くと、木村多江は、自転車に乗れないにも関わらず、2人乗りの練習をしている。もし自転車に意味がないなら、役者が自転車に乗れないと言えば、無理せず、手を取り合って親子で歩くシーンでも十分だった。つまり「自転車の後ろに息子を乗せている滝子」は、監督に撮って必要なシーンだったのだ。
最初は、「自転車に乗っている親子の元に、出所後の貫也は行くのではないか?」と解釈した。
しかし、このラストシーンで、一番最初に詐欺計画のキッカケを作った浮気相手・玲子(鈴木砂羽)の元に、(たぶん妻から)多額の現金が送られてくる。これは、妻が一人ひとりの被害者に金を返済しながら、夫の帰りを待っていると受け取れる。
さらに、ラストシーンに登場する2羽のカモメ(英語でカモメを表す「seagull」は、「sea gull」=海の盗人でもある)。このカモメを、夫婦は、それぞれ別の場所からではあるが、一緒に見上げているかのように描かれて、映画は終了する。これも、確実に何かを象徴しているはずだ。
そうすると、夫婦の象徴だった自転車に、滝子親子が乗っている事で、今後、夫婦の間に子供が出来ることを暗示しているのだろうか……。しかし、それはかなり無理のある描写の気がする。
監督の別のインタビュー記事を読むと、もともとは、夫婦が2人で死んでしまうラストシーンを構想し、実際にそのラストシーンでシナリオを書いていたが、もう少し救いある展開と考えてラストシーンを変えたとも言っている。
はたして、この夫婦は、いずれ再び一緒に人生を歩んでいく(子供も授かる)のだろうか……。あるいは、夫婦が死ぬというラストシーンは変更したが、やはり2人は二度と結ばれないという暗示なのか……。
という事で、結局、このラストシーンの解釈が、いまいちスンナリと解釈できずに、未だにもやもやし続けている。
せっかく有効に自転車を使って来たのに、最後の自転車の暗示が、もう1つよくわからない。もっとも、それが監督の狙いかもしれない。
この点について、もうちょっとスッキリ出来て、かつ共感できれば、作品の評価を考え直したい。
モヤモヤはするが、観ておいて損はない作品。
松たか子の演技はもちろん、安藤玉恵や鈴木砂羽など、女優陣の熱演も一見の価値アリ。また、冒頭で、阿部サダヲ演じる夫が、客の女性への距離感が何の気なしに近く、普通の顔ながら女性にモテる男である事も示唆している。こういう演出の妙味も、西川監督らしいと感じる。
なかなかの良作。
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