グラン・トリノのレビュー・感想・評価
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グラン・トリノというのはビンテージカーのこと 妻に先立たれ親類に疎...
グラン・トリノというのはビンテージカーのこと
妻に先立たれ親類に疎まれる頑固な一人の老人のお話
車のことはよくわからないけど、それとは関係なしに楽しむことができた(分かる人はもっと楽しめと思う)
ハン族の少年との交流は心暖まるし、イタリア人の床屋との会話はすごく小気味良い
ほとんど実感なく生きているけど、暴力と地続きの世界に生きている
この話の結末はウォルトその中でどう生きていくかを示したもののように思う
アメリカ魂
すごいラストだなぁ。まさか、そうなるとは。こんなにもアメリカの今を見つめ続けるイーストウッドの迫力を感じます。
誰だって期待しますよね、ダーティ・ハリーを。彼の映画が好きな人たちは、やっぱり彼が銃をぶっ放すところが見たいわけですよね。でも、イーストウッドは今を見つめるわけですよ。自分が生み出してきた、そして映画が生み出してきたものの、素晴らしさも、そしてどうしようもなさも、そのすべてから目をそらそうとしないんですよ。こういうイーストウッドの姿勢って、ホンと、怖ささえ感じますよね。
DVD特典でついてた、やや能天気なアメリカサイコー的な映像が、この作品のメッセージとあんまりにも乖離しているのが笑っちゃいました。
殺されそう
クリント・イーストウッドが銃をかまえるたびに、自分がやられてる気分になりました。神父が心配してどうやって復讐するのか尋ねられたあとの眼がすごくて身震いしました。最後はもう大号泣!家で観てこんなに泣いたのは、初めてかもしれないです。素敵な作品に出会えました。
クリント・イーストウッドの演技が光る
難しい映画ではないけれど、単純な活劇でもありません。
どう評してよいか困るような結末ですが、クリント・イーストウッドの演技は安心してみていられます。
クリント・イーストウッドだなぁ
おもしろい!
とてもいい
頑固オヤジが段々隣の人たちと打ち解けるところなんかほんとに観てて楽しい。
情が移っていろいろ関わっていくところなんか、すっごくリアルで良い。
女の子のボコボコのシーンなんかは、イーストウッドっぽい!とっても胸くそ悪い。
2人の未来のために犠牲になった頑固オヤジの姿には感動した。
義憤、銃、人種主義
義憤。自分の家族とは断絶状態の白人男性。妻の葬儀では、参列者を前に居心地の悪さを隠さない、気難しいその老人が、隣家の黄色人種の少年とその家族のために命を捨てる。その少年との短くも濃厚な交流の中で、彼は銃を使って冗談を言ったりする。銃が日常に存在する光景は、われわれ日本人には奇異にすら見える。同じ民族のギャングから銃による脅しを受けている少年に対して、たとえ冗談でも銃口を向けることにたいする批判の視点は、この映画からは見えてこない。まずは、社会に銃ありきなのである。
そして、隣家を襲ったギャングに対する憎悪と復讐心が、ただただ正当化される。そして彼は、自分が犯罪者となることなく、彼らを半永久的に社会から抹殺する方法を選択する。そこには銃社会への反省や批判の精神がどうしても読み取れない。何故なのだろう。
そうだ、イーストウッドは、全米ライフル協会の重鎮なのだ。
グラン・トリノ
鑑賞後、しばらくその場から動けませんでした。ここまで感動的な作品になったのは、今までのイーストウッド映画があってからだと思います。それまでの"お約束"を覆したことが理由でしょう。
彼が長年テーマとして描いてきた"男"と"暴力(銃)"の在り方。その終点が、この『グラン・トリノ』なのではないかと感じます。
全てが完璧で、非の打ち所がありません。大げさだと思うでしょうが、こんなに感動したのは初めてです。
みなさんに観てほしい。とにかく観てほしい。本当に素晴らしい作品です。
消えゆくオヤジ像
欲深い家族に不信感を抱き、異なる民族、近所の他人に人間らしさをみつけ親近感を抱く。理解されにくい頑固オヤジと内向的で素朴な青年タオが心を通わせていく。グラントリノ、戦争の記憶、宗教、民族、タオの姉、タオの成長、その他とパーツが多い。多すぎる。
内向的で社会との折り合いが付かない青年、という設定のわりにタオは闊達である。見ていくうちに何も問題ない青年のように印象が変ってしまう。それこそがリアルなのかもしれないが、ふり幅がないぶん成長物語は流れてしまっている。
銃撃されてばったり倒れたあれは、十字架だろうか。
ノスタルジックなオヤジ像は、日本もアメリカも近いものなのだと知った。
魂の継承
2回目を見た感想を。
人種も年も違う2人の人生に迷える男同士が心を通わせ、若人の方が成長し、老人がそれを見守る過程を、丁寧な見せ方と味のある演技で描き切った傑作です。
単純に頑固オヤジが隣人一家(一族)と触れ合って丸くなっていく様と、それに伴って少年が成長して行く様が連なってくのを見ているのは楽しいです。特にウォルトが向かいのボロ屋を発見し、タオに修理をやらせて以降は1シーン1シーン2人の絆が深まっていく様がビンビンに伝わってきて、本当に幸せなんですよ。。この息子とかじゃなくてお隣さんっていうのがまた。その橋渡し役となるのがウォルトの愛車のグラン・トリノなわけですが、ウォルトがグラン・トリノを洗車し、それをデッキから眺めるシーンが、さり気ないBGMも相俟ってお気に入りです。
逆に言うと少年と老人が仲良くなるだけの作品なんですが、やっぱりラストのウォルトの決断がこの作品を一層印象深いものにしているんだろうなあと。そしてその後イーストウッドの歌声をバックに走り去っていくタオとデイジーの乗ったグラン・トリノ…。愛すべき頑固爺が死んでしまったのにこの爽やかな鑑賞後感は、やはりタオが彼の魂を受け継いでいるからこそではないでしょうか。それをラストシーンから汲み取れる出来になっていて素晴らしい。
なんていうか、小学生みたいな事を言いますが、(イーストウッドファンは違うかもしれませんが)見る前のゼロの状態から2時間でここまでキャラや人間関係を作り上げ、圧倒的な何かを鑑賞者の心に残せるのはすごいことだと思います。映画ってすごいなと思います。
人生の締めくくり方
映画評価:80点
この作品を見たのは今年の5月9日飛行機の中でした、飛行機内では上映されていたので暇つぶしに選んだ作品です
そもそも、この映画を見るまではグラントリノが車の種類名とも知らなかったので全然ノー知識からのスタートです
そしたら性格の悪いジジイの妻が亡くなって、その後どう生きてるか~みたいな面白みのない話しが続いていくのですが
途中発展した事といえば冴えない少年との接触です
その頃には暇潰しで完全に作品をバカにしていた時で、そんな僕の目を覚めさせてくれたのは少年とジジイが段々と変わっていく姿だったんです
ジジイは生き甲斐というか、心許す仲間が出来た少年は強く生きる理由と光を見つけました
この二人の間に色々な悩みや問題が降りかかります
それに対して、一生懸命戦う男たちの想いを感じることが出来ました!
最期が、凄く格好良い!少し残念だったけど、めっちゃ良かった♪
遺書もウケました
以外に地味でもキャラが立ってたので良い演出が出来ていたのではないだろうか
最初の1時間を我慢すれば後は神がかりな映画です。私はクリント・イーストウッドを尊敬しました!!
余すことなくクリント・イーストウッドの良さが出ていますよ
俳優・監督にイーストウッドがしっかりと活躍
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
かつては自動車産業の発展とともにモータウンと呼ばれ強いアメリカの象徴となって大繁栄しながら、日本勢をはじめとする外国からの猛攻を受けて衰退して荒廃し、今では全米でも最悪の貧困と犯罪の都市となったデトロイト。中流層以上の一般的な白人は町を離れ、代わって貧乏な移民と有色人種に町が占領され、多少なりとも安全確保のために家の周りを鉄条網付きの塀で囲む。
イーストウッド演じるコワルスキーは朝鮮戦争で黄色人種と戦い、その後はデトロイトのフォードの工場で自動車を作っていれば、それはこんな有色人種嫌いな爺さんになろうというものだろう。息子すらトヨタの車を売っている時代に、彼は古い世代のアメリカ人の一つの典型ともいえる。しかし家族も寄り付かない頑固でどうしようもない年寄だが、文句を互いに言いながらも床屋に建設屋にと、思ったよりも人望があったり仲間意識があったりするのがわかる。まずこの爺さんを形成した要素をしっかりと揃えているのがいい。それをイーストウッド本人が味のある演技で見せてくれる。
それだけにとどまらず、イーストウッドは監督としての高い能力を見せてくれる。彼の監督作品はいずれもはずれがない(訂正、『アイガー・サンクション』ははずれでした)。今作もそうだった。過去をひきずる頑固爺さんが人生の終わりを迎えようとするころに出会った、血の繋がる家族よりも心を通じ合わせられる有色人種のお隣家族。彼の生き様の変化と決断、そして結末をしっかりと描いている。
前半は「ベスト・キッド」を観ているようだった。引っ越ししてきた少年がいじめにあって隣に住む爺さんに助けられる。そして爺さんの影響を受けて成長していく。だが今回の相手はただの不良少年ではなく、本物の暴力組織の下っ端で、やることは遥かに深刻だ。後半では健全で爽やかな解決にはならないことがわかる。
しかしいくら朝鮮戦争の英雄といえども、これだけ歳をとっていれば、機関銃すら持ちあるく若者数人を相手に戦って勝てるものではないだろう。今回はハリー・キャラハン役ではないので、普通に戦うのではないというのは最初から想像がついた。だから最後に一人正面から乗り込んだところを観て、ある程度その後の展開に予想がついてしまった。
それに最後はコワルスキー爺さんの思惑通りといったところだろうが、もし彼ら全員が射撃しなければどうなっただろうか。例えば彼らのうちの一人だけが撃てば、当然逮捕されるのは一人だけで、残りの者は相変わらず町を我が物顔でうろつくことが出来る。撃った者たちみんなが裁判で有罪にされ長い懲役刑に服されるという保証もない。ここには物語の都合の良さと弱さがある。
でも最後の五大湖の護岸をグラン・トリノが走り去っていくのは寂しさと余韻が残って美しく締めくくっていた。イーストウッド自身の制作の歌がコワルスキー爺さんの魂を静かに見送っていた。
愛すべき頑固ジジイ
素晴らしいのひとことです!
一度観て感動し、勧めた手前二度めを鑑賞しましたが、やはり内容を知っていても最後は号泣。良い物は何度観てもいいですね。みなさんがおっしゃるように、主人公の頑固さ、ウイットに富んだ会話、全体的に古き良きアメリカを思わせる雰囲気。二回観て感じたのはそのディテールの高さです。本当にキャラクターの心情の動きが丁寧に描かれてますね。だからこそ、この愛すべき頑固ジジイに引き込まれ共感していくんでしょうね(笑)周りのタオ少年、スー、神父さんに男の会話(?)を繰り広げる床屋さん等いい味だしてます。最近CGや3Dをフル活用した映画が多いですが、正直なかなか名作には出会えません。このような細かいディテール、心情がストレートに観客の琴線に触れる作品こそ本当の映画なのかもしれません。クリントイーストウッドには生涯現役で俳優また監督として活躍して欲しいです
最高!
こんなにすごいと思っていなかった。どんどんこの映画の世界に吸い込まれ、最後はもう本当に緊迫して、私は最後、どんな終わり方をするのかすごく考えていた。まさか、ああいうやりとりで、見た方がいい作品。
幸せな死に方
見終えてからだいぶん経つのに、なかなか感想を書けなかった。
誰も信じず、心開かず、孤独で、実は淋しがり屋の主人公に、幸せな死が訪れた。
誰かに愛されてると、必要とされていると信じることで、人は死への恐怖から解き放たれるんだって思う。
主人公は何も怖くなかったろう。
柩に入る時に着る背広を誂えて
床屋でいつもよりも綺麗にして、
大切な物を護る為に最善な方法として死を選ぶ。
自分から選ぶのだ。
決して待つのではなく。
主人公の死は悲しく思わなかった。
主人公の幸な死に方に気づいていない家族が切なかった。
「変わりないか」ってあの電話、異変に気づかないのかよ!お父さんからかけてくるなんて、今までなかったろ?
チャンスだったのに、心を通わすチャンスだったのに。
こんなふうにイラつくのは、自分の父親とクリント・イーストウッドが重なるからに違いない。
この次に観るときは
もっと心穏やかに見れますよう人として成長しましょう。
偏屈ジジイとシャイボーイ、社会に背を向けた老若の友情
偏屈ジジイとシャイボーイ。
人生に背を向けているという点では、両者似たものがあるのかもしれない。
グラン・トリノは、このステレオタイプな二人を引き合わせ、友情と男の絆を示してくれた。
まず、クリント・イーストウッド演じるウォルト・コワルスキーの偏屈っぷりがすごい。
妻の葬儀に孫のファッションに腹を立て、家に集まってくれた遺族らに「ハムを食いに来ただけ」と突き放す。友人と呼べるのは愛犬のデイジーくらい。
庭に入ってきた乱暴な東洋人には、朝鮮戦争で使っていた愛用のライフルを突きつけて追っ払うという超保守的なアメリカ人で、日本で言うところの「昭和一桁生まれ」といったところの頑固者。
他方、家族からも「女みたいで大丈夫なのかい?」的なことを言われ、当人も伏し目がちで口数も少ないモン族の少年がタオ。
本を読みながらストリートを歩いているところなんか、二宮金次郎的ではある。
ところが映画『グラン・トリノ』の舞台は、そんなインテリぶった少年が尊敬されるほど牧歌的な街ではない。チンピラに難癖つけられ、言いたい放題言われっぱなし。情けないぞ、タオ少年!
そんなだから自動車ドロボーを強要されてしまう。
狙うはコワルスキーの愛車、グラン・トリノ。
そこで盗人と被害者という奇妙な出会いが二人を結ぶというプロローグ。
いくら偏屈ジジイとシャイボーイに社会性がないからって、まさか自動車ドロボーから友情に発展するとは誰も思うまい。
否、『グラン・トリノ』に期待する観客の多くは、このくらいのイントロ情報は仕入れているだろうから、観る人にしてみれば既知の事実なのだろうけど。
ただ、そこからつながる二人の友情と結末は予想できないと思う。
というか、偏屈ジーサンが少年との友情通してハートウォーミングになるなんてメロドラマ、まさかイーストウッド監督がそんな作品つくるわけないと思うから、どこに向かうんだろうと奇妙なハラハラ感。
本なら早くページをめくれば済むことだけど、ところがどっこい映画が相手じゃしょうがない。黙ってシーンを追う。
結果、何が待っているか。
それはコワルスキーじいさんの生き方そのものが問われる。
シャイボーイのタオ少年一人を男にしてやるだけでは足りない業が、ヴィンテージ車のグラン・トリノ同様、長い歴史を背負ったコワルスキーじいさんは、今までのやり方で通用しない苦しみを味わう。
観客も味わう。生々しい苦痛を。
そして全てに決着をつけるべく、コワルスキーじいさんは、死を覚悟したサムライが鬢を整え、身だしなみを正すのと同じく、きちんと身支度するのであった。
アメリカ人は結婚前夜に未婚生活最後の日としてコールガール呼んでパーティーするような連中だと思っていたから、覚悟を決めた男が静かにそのときを迎えようとする態度に感動。
日本人としても静謐な緊張感の高まりに共感しますぞ!
決着のつけ方はいろんな意見があると思う。
それでも家族にさえも心を開いてこなかったコワルスキーじいさんが、最後の最後に得られた安らぎは、こういう形でなければ結実しなかっただろう。
そういう意味では、これが一番受け入れやすい結末。
最後に走り抜けるグラン・トリノ。
その後ろ姿を見ながらのFin。
うーん、味わい深い。
劇場での上映中、みんなして褒めそやしてたのがわかります。
僕も映画館で観たかった。
では評価。
キャスティング:6(クリント・イーストウッドの存在感が全て)
ストーリー:8(コワルスキーじーさんの少年との友情、生き様。自然に入ってくる心の変化)
映像:7(カットを多用せず、じっくり見せる映像と演出)
偏屈:7(ここまで頑固ジジイに徹してくれたら、逆に清々しいほど)
友情:9(社会性に乏しい偏屈じじいとシャイボーイが、徐々に心通わせる様子が見事)
というわけで、総合評価は50満点中37点。
旧車ファンなら共感しまくりのシーンが詰まっているそうな。オススメ。
偏屈なまでの頑固一徹男の生き様を捜している人にビンゴ! とってもオススメの映画。
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