第9地区のレビュー・感想・評価
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まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしま...
まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしまった。終盤までどうしてもやっつけ感が拭えない。登場人物も好きになれない人が多く、救いはエビのクリストファーだけ。続編ありきだとしても見るのがキツい。
セリフもかなり一辺倒で面白味はなく、人情味ある人もいない。主人公?のヴィカスもある意味人間らしいが、生々しくて映画としては共感しづらい。
差別行為への皮肉と考えれば、深く思うこともあるが、個人的にはそれ以上に設定やストーリーの甘さが気になってしまった。
ただ好きな人や刺さる人は多くいるだろうなと思う作品。
差別、共存など社会情勢を題材にしたSF映画の傑作。完成度がすばらしい。
(ネタバレなし、原作未読レビューです)
まず、動画の完成度に驚きました。本当に12年前の映画なのかと疑ってしまうほどのCGのクオリティと、アクションのリアルさです。映画自体のテンポもよく、見入ってしまいました。
この手の映画のほとんどは宇宙人が侵略するというのがほとんどですが、この映画は難民として扱われ隔離されるという、斬新なパターンの映画で新鮮でした。そして隔離されているのは南アフリカのヨハネスブルクという皮肉さです。また、エイリアンのことをエビと呼んだりと現代の差別情勢をうまく映画に組み込んでおり社会風刺画のような映画でした。
なかなかグロくてR12の理由がわかりました。正直中学生にもあまりおすすめするような映画でもないと思います。ですが、社会の現状やエンディングの今後どうなるかという考察が楽しめることを踏まえると高校生くらいにはおすすめできると思います。ですが本当にグロすぎるというかリアルすぎます。なんせエイリアンがエビに似すぎて一時エビを食べれない気がします。
ドキュメンタリー仕立てのSFが新鮮。中盤からの怒涛の展開に心が締め付けられ、深く考えさせられる。
ホラー映画かと見紛う程のグロさに、気持ちが悪くなる。だが、この気分の悪さは視覚からだけではなく、想像力や精神的な部分から来るものだと気付く。
冒頭から緩めのドキュメンタリーチックな展開にB級感が満載なのだが、本当に観せたいのはSFでもアクションでもなく、南アフリカを舞台にした差別へのメッセージ。
『第9地区』というスラム化した場所で''人間''と''エイリアン''が共存しているという構図だが、秀逸なのは最初にエイリアンを地球で保護した事で、上下関係を明確にストレートに鑑賞者に理解させた事。人種差別に''異人種''差別を加え、管理する側と管理される側の''人権''とは何か。
「相手の立場に立って」と簡単には言えない、お互いに置かれている環境の違い。その環境が変わって初めて分かる、虐げられる理不尽さ。主人公:ヴィカスとエイリアン:クリストファー。この関係性、外見以外の「"人"という括りとは何か」という問いかけが、とにかく心に突き刺さる。
見た目、外見ではない「心」の綺麗さ。苛立ってしまう程に横暴な人間ヴィカスの、時間と共に目に見える変化をドキュメンタリーとして。そして、衝撃的で感動的なラストを是非。果たして約束は守られるのか、続編も楽しみ。
エイリアンも人間も
實選 プロット型系 管理しようとするお役所仕事の政府 武器と暴力で支配するギャングは金の亡者 そして全てを手に入れようとする「上層部」 子ども、仲間、妻への思い
ヨハネスブルク(南アフリカ最大都市)
【エイリアンを追い出す側から、追い出される側になった男・・。今作の舞台が南アフリカだけに、差別、共存を考えさせられる社会派SF映画。】
ー 序盤は、突如、南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に飛来した巨大宇宙船の内部に居た、衰弱した海老に似たエイリアンたちの姿と、彼らを”第9地区”と呼ばれる一時退避させる場所へ連行する様をドキュメンタリー風に描いている。
異色の描き方である。-
◆感想<Caution !内容に触れています。>
・当初はMNU(多国籍エイリアン対策組織)のヴィクスが、MNUの父親の七光りの元、エイリアン達をスラム街同様の”第9地区”から、ヨハネスブルグから100キロ離れた、新キャンプで構成された“第10地区”へ移す責任者に指名され、燥ぐ姿が描かれる。
- エイリアン達への差別行為をする人々の姿。-
・だが、ヴィクスが、エイリアンの中でも知性あるクリストファーの家に入った際に、筒状の容器に入った黒い液体を浴びてしまう所から、物語は”ザ・フライ”を想起させる展開になっていく。
- ヴィクスの右腕は、エイリアンの様に変形し、爪は剥がれ・・。彼は、MNUから生体実験用として、追われる立場に・・。
シニカルな展開であるなあ・・。-
・クリストファーは20年以上かけて、自宅の地下に宇宙船を作っており、それに乗り母船に戻る計画を立てていた。更には、ヒト型ロボットも・・。
- ヴィクスが、ヒト型ロボットと”合体”して、クリストファーを逃がそうと闘う姿は、日本のアニメや特撮モノの影響を受けているのであろう。ー
・半ば、エイリアンと化した、ヴィクスはクリストファーが動かす母船を、希望を持って見ている。そして、皆の前から姿を消す・・。妻へのガラクタで作った花を残して・・。
<3年後に、クリストファーは残された仲間や、ヴィクスを助けに戻って来るのであろうか・・。
物語構成や、テーマ性が面白き社会派SF映画である。
ニール・プロムカンプ監督は、長編第一作の今作の大成功を受け、その後「エリジウム」「チャッピー」を制作したが(いづれも、オモシロイ。)、その後、随分新作を発表していない。
新作を早く観たいモノである。>
設定に度肝抜かれる
南アフリカ🇿🇦上空に宇宙船が不時着し、人類とエイリアンが共同生活するというお話。(南アフリカ、宇宙人をエビと呼ぶあたり、アパルトヘイト的な意味合いがあるのか?)ドキュメンタリータッチで描かれており、うぉっ!すげーと、思わず声出ちゃったよ。エンディングに向けてありきたりな展開になってしまったのが残念だけど、初めて観るタイプの映画で素晴らしい作品でした。
見てて飽きないしテンポがいい
冒頭で「頭は良くない」と説明があった通り、主人公の頭の悪さにイラっとくる側面もありますが、全体を通してテンポ良く引き込まれるような表現でした。細かい突っ込みどころはあるかもしれませんが、それに目を瞑ると見ていて飽きない良作だと思います。
ありそうでなかったタイプの宇宙人襲来映画
宇宙人が地球に飛来する目的と言えば侵略か不時着だと相場が決まっていますが、本作の宇宙人はそのどちらでもない。大群で押し寄せてきたにも関わらず、地球にやってきた理由は不明。それどころか自分たちだけでは生活もままならず、人間に迷惑を掛けながら難民として生活をはじめる。
今までありそうで無かった新しいタイプの宇宙人襲来映画でした。設定がまず面白いし、モキュメンタリーのように始まる序盤のテンポの良さが気持ちが良い。世界観が冒頭のニュース映像などから分かるようになっているし、冴えないオッサンにしか見えないヴィカスが「何かやらかした」ってことが分かるようになっていたので、ストーリーの展開を期待させる演出になっていたのが素晴らしかった。多少のゴア描写がありますが、あまり気にならない程度の描写だったので、色んな人に観てほしい作品でしたね。観終わった後の感想を語り合うのも楽しいタイプの映画だったと思います。
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1982年、突如として南アフリカ上空に姿を現した巨大なUFO。動きが無いその物体に調査隊が乗り込むとそこには病気で苦しみ飢餓状態に陥ったエビのような姿のエイリアンが大量に犇めいていた。UFOの真下にキャンプを設営してそこにエイリアンたちを難民として移住させたが、その宇宙人は窃盗などを繰り返し治安は悪化し、エイリアン居住区である「第9地区」はスラム街と化していた。そして宇宙人の飛来から20年後、エイリアンの爆発的な人口増加と周囲の町との軋轢が問題となっていたことからエイリアンたちを「第10地区」に移住させる計画が持ち上がり、その計画の責任者としてヴィカス(シャルト・コプリー)という男に白羽の矢が立った。
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本作は、映画ファンとしても有名なライムスター宇多丸さんも大絶賛した作品です。細かな設定の不備などはありつつも、そんな些末なことは気にならないくらい演出や脚本やストーリーについて大絶賛していました。映画ファンの方からの評価は軒並み高いように感じます。
本作の主人公のヴィカスって、あんまり主人公っぽくはないですね。ただの仕事人間と言うか、自分に与えられた役割を必死にこなしているような感じもありつつ、妻の父親でもある職場の上司のご機嫌取りをしつつ、エイリアンの卵を笑いながら焼き払うシーンなんかもあって「小物っぽいしずる賢いし残虐な一面を持っている」ということが描かれていきます。他の映画だったら敵のボスの後を金魚の糞のようについていくだけのキャラクターみたいな感じの描写が多いです。主人公っぽさは微塵もありませんね。そんなヴィカスの身にとある出来事が起き、「差別する側」から「差別される側」になってしまった後の心情の変化などの描写は本当に見事でしたね。最初は利己的で差別的だったヴィカスがどんどんと人間的に成長していく様子は見ていて感動です。
この映画に限らず、映画の劇中で起こる「立場の逆転」が映画としての面白さに直結するということがよくあります。例えば、邦画サイコスリラー作品として私が一押ししている『ヒメアノ~ル』という作品があるんですが、この作品では映画中盤に「殺人鬼を追う側」と「追われる側」の立場が逆転するシーンがあります。この逆転のシーンが、映画の中で一番大々的に盛り上がるシーンなんです。『第9地区』においても、主人公ヴィカスの「立場の逆転」が描かれており、今まで「エイリアンを虐げる側」だったのが「エイリアンとして虐げられる側」に回った瞬間の私のテンションの上がりっぷりは異常でした。
正直、細かいところでツッコミどころも多い作品ですので、そういうシーンがノイズになってしまったところは否めません。しかし、そういう些細なツッコミどころが引っかかる前に流れていってしまうようなテンポの良さや勢いがありましたので、十分に楽しむことができた作品だったと思います。
久々に、最初から最後までダレることも飽きることもなく観られた映画でした。オススメです!!
いちばん人間っぽい心を持つのはエイリアンだった
この手の映画のほとんどは宇宙人が侵略するというパターンがほとんどだが、この映画は難民として扱われ隔離されるという、斬新なパターンの映画。
しかも隔離皿ている場所は南アフリカのヨハネスブルクという皮肉。
まあ、いくらなんでもいきなり宇宙からやってきた生物であればいくらなんでも隔離するのが普通だとは思うが。
登場人物はエイリアン目線で言えば全員悪役。
この映画においてもっとも人間らしい心をしたのはクリストファーでした。
【地球上で宇宙人も生活⁈見た目で判断することなかれ!と訓えてくれた映画】
・2009年公開のアメリカのSF映画。
・地球上で宇宙人が生活している状況(ただし、共存ではなくたまたまやってきて帰れなくった宇宙人が難民と化した状態であり、彼らは人間によって区切られた空間での生活を強いられている状況)のもと、人間による「宇宙人たちの住処を大移動させるプロジェクト」が開始。それを指揮する主人公ヴィカスが宇宙人の液体を浴びて感染したことで宇宙人化していく。それを実験体にしたい人間たちによってヴィカス自身も人間に追われる身となる。彼が逃げる中で星に帰りたい宇宙人と出会い、そのミッションを宇宙人と共に成し遂げようとする。という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・最初は気持ち悪いと思ってしまう宇宙人に対して最後には共感させてくれる創りがすごい
・主人公ヴィカスの事の顛末が切ない
・宇宙人モノでドンパチなしで面白く最後まで観れる
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[物語]
・想像するような人間VS宇宙人のドンパチ戦争なしに、最後までするっと面白く観れるのは、主人公をピンチに陥れては救う筋書きがきめ細やかに作られていたからかなぁ、と思いました。ピンチから救われるための物語の伏線の張り方もわかりやすくて素敵(例えば、武装集団とのかかわりなど)。
・クリストファーと呼ばれる宇宙人とその子供が、下手な人間よりも理性ある人物に描かれているため、見た目はエグイ宇宙人でも最後には「頑張れ、クリストファー!子供!」と応援したくなってしまいます。クリストファーがする約束も、人間目線だと「いやいや、あり得ない笑」と思ってしまいますが、彼の思考回路ならその判断をするだろう、と理解できるので、もはや見た目のエグイ宇宙人の存在はどこへやらで、ただただ人間同士のドラマを観ているだけの状態になっていることに気づかされます。
[演出]
・宇宙人を「エビ」と呼ばせて、昆虫やそれこそエビのような触角をもった体をさせる。そのエグサに最初は一歩引きます。とにかく気持ち悪い、と。ただ、それが狙いなのかもしれません。そのマイナス過ぎる印象の状態から、物語が終わるころには、彼ら宇宙人を「気持ち悪い」と思わなくなっているのです。これぞまさに「人は見た目ではない」という言葉そのものだなぁと思わされました。
[映像]
・宇宙人を日常生活に溶け込ますためにCGなどの技術を多用する必要があると思いますが、全然、違和感なく観ることができました。2009年時点でこの技術。改めてすごいなぁ、と。宇宙船の母船や船を操るためのデジタル仮想操作盤などもすごい出来。むしろ、こんなに技術が進んでいる宇宙人なのに、どこか汚らしい身形や生活感はいったいどこから来るのかが気になりましたが。笑
[音楽]
・際立って感じることはありませんでした。
[演技・配役]
・シャールト・コプリーさん演じる主人公ヴィカスが、最初のぴっちり横分けヘアスタイルの超真面目君な状態から、だんだんとワイルドに変わっていく様が見ごたえありますね。ちょっと嫌味な奴感を含んだキャラクターづくりも味があって良きです。
[全体]
・単に宇宙人モノアトラクション映画として、面白くするっと観れる素敵な映画です。しかし、そんな中で「人(宇宙人も含めて)は、見た目だけで判断することなかれだよ」と教えてもらった気がします。とある人を瞬発的な印象で『気持ち悪い』とか『嫌だ』(またはその逆)と決めつけてしまっても、実はその後、一緒に会話をして行動をして生活をして…関係を重ねるごとに、その人の「本質」が見えてくる。それが見えれば、最初の印象はどこへやら。気づけば自分が抱いたマイナスの感情(またはプラスの感情)は簡単にその逆になっているものだ、ということですね。これは日常生活においても非常にお勉強になるというか、良い気付きを与えてくれました。特に、ラストシーン。あれは、オチとしてだけではなく、「これ見て、今、あなたはどう感じますか?」と問われている気もしました。監督さんには全然そんな意図がないかもしれませんが笑 それでも、こうやって思考するキッカケを与えてもらえるような映画に巡り合えたことが良かったです。ありがとうございました。
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#全体3.7 #物語3.7 #演出3.7 #演技3.7 #配役3.6 #映像3.8 #音楽3.5
溢れ出るB級感と意外なせつなさ
溢れ出るB級感。しかし嫌いじゃないこのノリ。そしてちょいグロ演出なのに、せつないストーリーでグッとくる。
序盤は特に凄い。
うわあっ感じで、この時点で受け付けない人は多分いる。手持ちビデオ風の映像で、ひょうきんな役人が主人公。
この感じが続くのかぁと思っていると、そのノリのまま不穏で不気味な展開になっていく。
ちょっと思ってたのと違うぞ、主人公可哀想だな、怖いな。
最後の方は王道で熱いし、彼との約束がどうなるのか想像を掻き立てられる。
十年に一本の傑作。
再々…見。十年に一本の傑作と改めて確信。
宇宙船飛来たる苦しい筈の大風呂敷を脚本のすっ飛ばし感で畳みつつ魅せきる手腕。
中盤襲撃の転調の心躍る瞬間。
完全なモキュメントでは無い事に今回初めて気付いた。
にしても同監督次作の凡打は何故。
いつだろ?第10地区。
人間の残酷さやエゴイズム
人間の残酷さやエゴイズムを強烈に感じました。
最初は主人公に対して好意的だった人達が、主人公がエイリアン化し始めたとたんに手の平を返すように態度が変わり、冷たく蔑むようになっただけではなく、人体実験に使おうとしたりと、もはや人間としては扱わなくなりました。
エイリアンは比喩ですが、弱い立場の者に対し、人間はこんなにも残酷になるのだなとショックを受けるくらい強い印象が残っています。
最後の方で、主人公が自分を優先するかエイリアンを助けるかという葛藤が描かれていましたが、そこもまた人間らしくもあり、知らず知らずのうちに主人公に感情移入しながら見ていました。
結構面白かった。佳作ですね
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンがプロデュースを担当したって聞いて、興味持って先週末に観に行った映画。
正直何の予備知識も無いまま言ったので、最初どんなジャンルの映画なのかもよくわからなかった。
けど、最初の10分間くらいでこの映画の環境設定を説明してくれるので、すぐに物語に入ることができた。上手い構成だなー。
理解してみると、なるほど要するにエイリアン物かとわかる。
しかし、普通のエイリアン映画と違うのは、エイリアンが結構弱くって(笑)、地球に来てから地球人に若干支配もされちゃって、ある地域に押し込まれて暮らしているということ。場所はアフリカ大陸。しかも20年も。
そのエリアがタイトルにもなっている「第9地区」。
映画観てるとき思ったけど、この設定、別にエイリアンだからってことじゃなく、同じ地球人でも同じことしてるよね。。仮に日本に難民とかが大挙して押し寄せたら、○○特区とか作って押し込めてしまうんじゃないか?とリアルに想像した。
で、そんな「第9地区」に住んでいるエイリアン達を、別の地区に移民させるため、国連的な組織が「交渉」という名の「強制退去」を行い、責任者がその交渉中に・・・という流れでストーリーが進む。あまりネタバレすると観る楽しみが無くなるので、ストーリーに関してはここまでで。。続きは劇場で(笑)
この映画で新しいのが、「エイリアンが地球に当たり前のように住んでる」って設定。ちょっと目から鱗。なるほど、そういう設定もあり得るよな。「インディペンデンス・ディ」のように、エイリアンだから地球より優れた文明(兵器)を持ってると限ったわけじゃないし、逆にエイリアンを従える可能性もあるわけだ。
あと、エイリアンの作りもリアル。さすがに「ロード・オブ・ザ・リング」でオークやゴブリンの特殊メイクをした監督だけある。もっとも、「プロデューサー」って立場で監督ではないので、どこまで製作に関わってるのかはわからないけど。。そういえば監督はニール・ブロンカンプという人。もちろん、名前は知りません(笑)おそらく、この作品が初監督。
それと、有名な俳優が出てなかったのも良かった。これで顔知ってる人が出演してたら、作品のリアリティが薄れる。その意図もあって、あえて有名な俳優は使わなかったんだろうなぁ。
最後は少しだけ感動もある。
グロイシーンもあるので、R12指定の映画なんだけど、誰でも楽しめるんじゃないかな?
少しでも興味持ってもらったようであれば、観て損はないと思いますよ。
エイリアンと人類の共同生活
宇宙船の故障で南アフリカに現れた宇宙人は難民として共同居住区「第9地区」に住み始める。地域住民への被害から、宇宙人たちは強制的に退去させられ、隔離区域である第10地区に移住させられることになるが…
まず、宇宙人と共存するという設定の映画を見た記憶がなかったから新鮮で面白かった。
最初の方はドキュメンタリー風に描いたことで、実際にありそうと思わせられた。
主人公が終始自分勝手な印象を持つが、あんな見た目の宇宙人になっちゃうと考えたら、ああなるよ、可愛そうやなと思った。
舞台が昔、南アフリカであることも興味深かった。また同じように隔離政策が取られようとするが、南アフリカの過去の隔離政策を批判する意味があるのかなと思った。
宇宙人の隔離政策に反対する人たちが映されたシーンが印象的でなんで隔離したらダメなん?とか思ったけど、かつてのアパルトヘイト政策における、黒人への差別的思考と似た部分があるかもしれないと思いハッとした。
歴史は繰り返すとしたら、強制移住後、隔離された中で育ったエイリアンの中に、激しい怒りが蓄積され、抗議、暴動が起きてそれを武力で一方的に鎮圧し、抗議の声が世界的に広がり、自由が与えられるみたいな展開になるかもとか思った。
エイリアンと現代社会の対比と融合
エイリアンというB級要素と自己の探究心や評判の為に、自分勝手行動する人間という社会派要素が見事なまでに融合し、B級ではなく一級品の社会派ドラマという一風変わった設定。
しかもドキュメンタリー調に展開していき、世界観を100%観客に伝わるようになっている。
ドキュメンタリー調だと登場人物に感情移入出来なかったり、単調な作風になるなど、ドラマチックさが欠けるという短所があるが、さすがピーター・ジャクソン。後半からは、主人公の視点で通常の映画のように展開していき、主人公に感情移入させられるだけで無く、エイリアンにも感情移入してしまう。
アクションシーンはやはりB級映画っぽさがでてしまうものの、ラストは少し感動してしまう。
エイリアンという「非現実」と人間という「現実」をWETAデジタルの映像美と捻りの効いた手法で見事なる起承転結をする傑作!
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