第9地区のレビュー・感想・評価
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現実にも通じる問題。物事の見方
冒頭のドキュメンタリー番組のシーンでは、人間の視点から、移民エイリアン問題が語られます。
生ゴミを漁り、強盗、ひったくり、武器密売を生業として スラムと化した第9地区に住む蛮族。
市の職員として、第9地区管理を行う主人公はひょんなことから片腕がエイリアン化
してしまう。
物語の視点は人間からエイリアンへと移ります。
不幸な宇宙船事故によって異星に不時着し、そこでは、不衛生なプレハブ小屋に住まわされるだけでなく、子供は焼かれ、大人は実験体として拉致、殺害される、悲劇の来訪者。
冒頭で描かれる人間から見たエイリアンの所業と、中盤で描かれるエイリアンから見た人間の所業。
物事の本質は一側面だけでは語れない。当たり前のことですが、難しいことですよね。
B級臭漂わせながらも
紛れもない良作。
主人公は平凡でちょっと軽率なお調子者。とくに善人でもなくかっこよくもないし肉体的にも精神的にも強くもない。B級映画ゆえの甘さかと最初は思うがさにあらず。リアルさに一役かっている。
いっぽうのエイリアン。見た目はいかついがボロをまとっていたり、飢えでガツガツしていたり。人間的でリアル。ここでもB級映画の危うさを感じさせるがこの生身な生体があとで効いてくる。
ちなみに、地球に来るほどの知性を持ちながらも粗暴でみすぼらしいエイリアンに違和感を覚える人もいると思うがそれは違うと思う。1000年後、人類はとてつもないテクノロジーを手に入れているだろうが、1000年くらいでは生物学的には進化していない。ホモ・サピエンスはホモ・サピエンスだ。いまだって人類は月に人を送れるが、ほとんどの人はロケットを作るほどには賢くないのだから、賢くないエイリアンがいたってなんの不思議もない。恐らく本作品のエイリアンとホモ・サピエンスの種としての知能はだいたい同等なのだろう。ただエイリアンのほうが少しだけ早く(100年か千年か1万年か)産業革命を経験したにすぎない。
同じホモ・サピエンスだって、ちょっとした差でアジア・アフリカは奴隷に落とされたのだ。
さて冒頭、なんであんな不気味で粗野で得体のしれないエイリアンを劣悪な環境だとしても保護するんだろう、と多くの人が思うことだろう。
しかし後半、そんなエイリアンの境遇にいつのまにか同情し共感を覚えることになる。
人間から見たら醜い昆虫的エイリアンにまさか感情移入しようとは...
対して、強欲で冷酷な人類に憎悪すら感じてしまう。だけどこの作品に出てくるほとんどの人間は恐らくさほど悪人ではない。職場では普通の上司や部下だし家庭では普通の父や息子であろう。
自分と違う(と感じる)他者に対する非寛容さと冷徹さは、人類に普遍的なものである。
植民地にする側される側、迫害する側される側。立場によって見方が変わることを、まざまざと見せつけらた。
ユーモアの詰まった盛りだくさんSF
ドキュメンタリータッチの前半からぐっと引き込まれ、その後もユーモアを忘れずに、だんだんとシリアスになっていく展開が良い
それに加えて主人公の性格が悪いのも、良い
確かに
SF映画としては斬新な映画だと思う。
が、いつも思うのだが、あの巨大な宇宙船を持つエイリアン、しかも少人数ではなく、凄い数のエイリアンに、人間がいつまでも支配的でいられるだろうか?
テクノロジーの違いが相当あるはずなのに。
それが気になって何かいまいちに感じた。
社会派ドキュメンタリー風SF
冗長なところがほとんど無く、サクサク進んで飽きない。アパルトヘイトを彷彿とさせる「NOエイリアン」の看板とか、スラム化するエイリアン居住区とか、この国でしか取れないような映画で、数あるエイリアンものの中でオンリーワンの名作の一つに間違いなく数えられるだろう。
騙されたと思って観るべき作品
前半ノンフィクション風、実録風、映画というよりはニュース番組のようでこれ失敗したか?と思った
他のSF映画とは違いエイリアンが酷い扱いを受けている。すごく喋る。
人間は惨い。実験の為、人間の為ならば手段を選ばない。
殺す側が殺される側に憎かった奴に自分がなる
3年は長い
最後カットのエイリアンは多分彼だが3年のうちに本物のエイリアンに。そして故郷へ帰った彼らはその後地球に戻ったのか
彼は人間に戻れたのか
新感覚エイリアン映画
ニール・ブロムカンプ長編デビュー作。
監督の出身地の南アフリカが舞台。
南アフリカの過去の歴史をベースに、エイリアンを絡めた物語をドキュメンタリー風に描く。
まぁとにかく新しい。
映画館では、あんまし期待せずに観に行ったけど、期待を大きく上回る完成度に、驚かされた。
ただのエンターテインメント作品なだけではなく、徐々にエイリアン化していく主人公の悲哀を描いたストーリーも秀逸(^^)b
SF映画ではなく、主人公の成長物語
見るきっかけは、以前CMかどこかで見た覚えがあったから。なんとなく、そして宇宙船とかの話が好きなので見ることにしました。
なのですが…全然SF映画ではない‼‼
ここからネタバレあり↓
まず最初に私もエビ(宇宙人)のことがとても気持ち悪いと思った。けれど話が進むにつれて、あの親子を見ていると、とても人間よりも人間的な考え方の持ち主だと思い、途中からは「がんばれ~‼」と思うほどに。
また、主人公の人間は最初は非人道的だったが、人間がいかに悪いことをしてるかを知り、けれど自己中心的だったが、エビ親子を見て、最後には人に優しくする術を知るところが少し感動した。
私的にはラストは好きだったが、レビューを見て、区々なんだなー、と思った。けれど、お互いの関係が複雑な思いで繋がっているその様は、また小さな世界でも起こり得ていることだと思うと少し寂しかった。
注意点としては少しグロいところ。グロいものが嫌いな人は考えてから見るべき。
けれどこの映画の世界観といったら、凄い。見終わったあと、部屋を見渡すと、すっごくリアル世界が夢の中にいるかのような、すぐには映画の世界観から抜け出せなく、友人に電話をしてしまったほど。
とても好きだし、これを見て私たち自身、何か変われるきっかけにもなれたらいいなと思う作品。
1度目の衝撃が凄すぎるので、兎に角見ることをオススメします。
ただのSF映画ではない。そんなこと言い出したら他の映画も全部そうだ...
ただのSF映画ではない。そんなこと言い出したら他の映画も全部そうだろと言われるかもしれない。でもこの映画はモロにそれだろうという描き方をする。
シャルト・コプリーの自己中ゲス野郎演技が非常に良い。人間は本当に非道いことができる酷い生き物だと思う。
液体浴びる前→浴びた後の立場の変化。教訓の入った童話みたいな展開なのだけれど、すごい面白い。
ベタな感想だけど助けに戻るところグッときたし一番良かった。
ブロムガンプは“先見性”を扱うのが上手すぎる!
本物の”先見性”がギュッと詰まった傑作だった。「エイリアンもの」ジャンルの中の”まだ発掘されずな未開”を、問題提起(移民問題など)で切り開くとか、まずアイデア勝利すぎる。加えて頭と心のどちらも興奮させる逆転劇が、斬新でいてパワフルすぎて、我慢できず叫んだほど、『第9地区』は本当に前評判を凌駕してた。
加えて今じゃキテレツキャラが板についてるシャルト・コプリーのダメダメからのヒーローぶりがあまりに感動的すぎる(『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のトム・クルーズばりでした)。敢えて敵に敗れてからのエビたちに救われるとか、ブロムガンプは胸アツ場面を作るのすごく新しすぎる!オレ何度”Blu-rayを絶対買う!”と叫んだことかw
パンフ見たら続編(『第10地区(仮題)』)が企画中との記載がアリで、一体ここから転がす方法、どうするのかな?一報欲しい!
SF映画界に風穴
初めて、劇場に5回も足を運んだ。話題の作品だったため期待はしていたが、ここまでとは。2009年当時停滞気味だったSF映画界に新たな命を吹き込んだ名作だと思う。
エイリアンという部外者に対する人間の振る舞い。確かに突然やって来て南アのヨハネスブルグに住み着いた挙げ句、人間の物は奪うは争いを起こすはやりたい放題。それだけを聞けばエイリアンが悪者だが、人間も違法的にエイリアンの人体実験などを行っているという事実もあるのである。主人公のヴィカス含め人間側は異星人(エビと呼ばれている)を害虫としか思っていない。ところが主人公の体に異変が起きてからは、自らも実験体になってゆく。ここで始めて人間側が「怖い存在」という認識に変わってゆく。命からがら逃げ出し助けを求めたのはあるエイリアンの親子。ここでもまた人間の自分勝手さが滲み出ている場面である。ここである条件のもと協力しあうのだが、かなり終盤に差し掛かっても主人公の自分勝手さは直らず、主人公への感情移入が薄いまま物語が進んでいく。これは主人公の身勝手さを描きつつ、主人公の行動=人間の行動として描いているのだろう。方や異星人側は仲間との関係や親子の愛など、情に溢れる描写が多い。
この様に本作は人権についてのメッセージが強い作品だったが、ただの人権をテーマにした映画ならば新鮮味が無いものの、エイリアンというエンターテイメント性を持った存在を登場させることで、ドラマとしても、SFとしても新しい切り口になって非常に見応えのある作品になっている。グロい表現が多い為、耐性の無いと厳しいかも知れないが、かなり胸が熱くなるシーンがあり、 結末に近づくに連れ、動悸が激しくなった。現在続編の可能性もあるのだが、具体的には公開日等のめどは立っていない。だが、このラストであれば今か今かと期待してしまうものだ。
ブロムカンプ監督作品
面白かったです!
差別問題を扱ったテーマです。
ドキュメンタリーチックな感じで作られているのが面白いですね。
とにかく主人公の性格がろくでなしなんですが、、
エビ星人に愛着湧きます。
こういう映画を観るといつも思いますね、地球は人間のものなんだなと。
ありがとう地球。
アパルトヘイトの歴史と重ね合わせて
単なるSF映画でないのは、すぐにわかった。
南アフリカ出身の監督、エイリアンが難民であるという設定、第9地区というエイリアン専用のスラムのような居住区、『エビ』というスラングで呼ばれる醜悪なエイリアン、エイリアンは、誰もが忌み嫌う人間に仇なす存在。。。
完全にエイリアンは、アパルトヘイト時代の黒人として描かれ、アパルトヘイトというシステムが完成していった過程(権利の剥奪、土地収用の方法、移住強制、区分けという差別、迫害、拷問等々)が、一見正当に見える公的機関によって次々と実行されていく様を淡々と写す。
だけど、ここまでは、醜悪なエイリアンに対して、このような行為をすることにあまり罪悪感を感じない。人道的に問題があるとしても、対象がエイリアンだから、一般大衆は、あまり心が痛まないし、小事になってしまう。この恐ろしさ。
主人公の白人は、自分がエイリアン(黒人)に変わっていく過程で、仲間であった白人から迫害されて、徐々に変わっていく。
後半になって、醜悪であったエイリアンが人間のような生き物として描かれる。高い知性だけでなく、人間の感情、つまり、子を、仲間を思う気持ちを持つ者がいることがわかり、迫害する側の人間がより醜悪に見え、自分も次第に、エイリアン側に立って応援していることに気付く。
主人公もエイリアン親子と時間を共にするに従い、”人間らしく”なっていく。初めて黒人が同じ人間であることに気付くのである。
最後に姿形は変わり果ててしまっても、より人間らしい、他人を思いやる心は以前にも増している。
アパルトヘイトが完成していった過程、差別の歴史を学んでからこの映画を観ると、より深く南アフリカの悲しみがわかる。
また、アパルトヘイトから解放されて、一条の光(宇宙船から伸びる光で表現しているように思える)は見えたものの、まだ多くの黒人(エイリアン)が劣悪な環境に残されており、まだまだ道半ばであることも示されている。
アクションや造作も素晴らしいが、表面的な迫力だけでなく、本質を見たい。
非常に深く考えさせられる良作。
南ア出身監督というよりピータージャクソンの世界観という感じがするが...
南ア出身監督というよりピータージャクソンの世界観という感じがするが、ちょうど南アのサッカーW杯の前だったこともあり、パンチの効いたアイロニーがすごく好きだった。でもアパルトヘイトに関する知識が全くないと、ただのトンデモ映画でも終わってしまう。
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