第9地区のレビュー・感想・評価
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評価分かれるのが不思議ですね。
評価が著しく低いのは単純に吐き気がするとか、嫌悪感が強いといった感じにも取れる気がします。このドキュメント風の取り方も結末も公開当時には斬新だった覚えがあります。
改めて見直しても斬新だなと感じました。
斬新な点だけでも高評価。
現代の社会問題を宇宙人に例えて表現してあるのが面白かった。最初は宇...
現代の社会問題を宇宙人に例えて表現してあるのが面白かった。最初は宇宙人がエビっていうよりはゴキブリに見えて気持ち悪かったが、内容は終盤になるにつれて面白かった。
モキュメンタリー
序盤はドキュメンタリーかと見紛う、エイリアンの移住話。
未だに人種差別が根強い南アフリカに、「黒」「白」じゃなく「異」を持ってくるそのユーモアセンスが素晴らしい。20年超も「第9地区」でエイリアンが生きている事も今までにない展開。
後半はドンパチが多くて、また違う映画になったかのよう。
しかし、「増えすぎたエイリアンの為に別の地区へ移動させて」までしていたのに、急に人体実験とか倫理度外視な面も出てきて、「それは20年前にやっておけよ」と言いたくもなるが、その頃はクリスファーの様な天才エイリアンはいなかったから仕方ないのかな。
初体験な異様な話でしたが、何となく「ザ・フライ」を思いだした。
変身系SFシナリオの傑作
終始飽きがこない、集中力が途切れそうになる瞬間というものがない、それ程のめり込んで鑑賞できた。割と無理に集中力を出して鑑賞せねばならないような作品も(のほうが)多いゆえ、噂に違わぬ秀逸な映画だと感じた。
■世界観の説明がうまい
世界観の説明とは一番厄介な作業。特に日常生活を描いた作品ではなく、SFやファンタジーなど設定が作者による創作に依るところが多いと尚更だ。くどくどとナレーションじみて長くなると鑑賞者はうんざりし、かといって伝えきれないと作品に没頭できない。
しかしニュース調やドキュメント調で語っていくという手法を取り入れることで新鮮さやリアル感をうまく出し、少々荒っぽさややっつけ感はあるとはいえ、ディスクリプションの必要最低限を簡潔にまとめており、うまいなと思った。
■鑑賞者はヴィカスの敵か味方か?
主人公のヴィカスが異星人に変身していく過程で、もはや人間界には受け入れられず、かといって異星人にはなりたくない(当たり前だが)、だからと行ってエイリアン達も味方というわけでもない。様々な感情が入り混じってヴィカスに感情移入する。鑑賞した方は彼にどのよう印象を持っただろうか?人間ならざる何者かに変貌していくことへの恐ろしさ、可愛そうと思う心、助かってほしいという想い、あるいはどんなおぞましい変異を遂げるのか?という好奇心や怖いもの見たさもあるだろう。恐怖、同情、憐憫、あるいは怒り?
怒りとは、度々印象付けられる人間の身勝手さ、異種族を蔑視、迫害することの嫌悪感。
変貌を遂げていくヴィカスの思考はあくまで自分本位(ある意味人間らしい部分)であってエイリアンは下等生物か何かだとでも言うような差別する心を持ち続けてそこはなかなか変貌を遂げず、幾度もエイリアンに歩み寄っているように見せて土壇場になると裏切るヴィカスに助かってほしいのか、むしろくたばってほしいのか、よくわからなくなる。本来は勧善懲悪がはっきりしている物語がセオリーと言える中、善と悪の間を行ったり来たりする。とても興味深い展開。
だから最後の最後のヴィカスの利他的な行動は強烈に印象付けられた。おそらく最初からヴィカスが完全にいい奴として描かれていたならばここまで感情移入はできまい。利己的なキャラとして引っ張っておいてからの最後の最後で利他的な行動をさせることでギャップ最強の法則の基に一気に鑑賞者の心を掴む。
そして更にトドメの一撃がラストシーン。完全に変異してしまったその姿と一輪の花というコントラスト、なんと切ないことか…。
■定番系シナリオではある
人外の何かに変貌する系シナリオというのはもはや定番のひとつかもしれないが、かつての人としての温かみが失せて言葉すらまともに扱えなくなってしまうような展開というのは、いつの時代も切なく、心揺さぶられるものだ。
ちなみににこの手の物語で私の印象に残っているストーリーといえば『アキラ』の鉄雄、『火の鳥 宇宙編』のナナ、あと『バイオハザード CODE:Veronica』のスティーブとか…。
■エイリアンのデザインについて
ややグロテスクだがコミック調過ぎず、いい感じにリアルなのがまたいい。あれ以上ポップになると子供向け映画になるし、あれ以上グロくしてしまうとホラーになってしまう。絶妙な塩梅でキモいと感じた。
■厨二病ウェポンの是非
武器やパワーアーマーのデザインが厨二病っぽく、違和感を覚える人もいるかもしれない。リアルな異星人と人間との共存が主軸でありながらそこだけサイバーパンクしてんなーみたいな。とはいえ、一発で人体を粉微塵にする弾丸だとかギャングが総射撃した弾を空中で止めつつ集約させて一気に弾き飛ばす(とっさに『寄生獣』が思い浮かんだ>後藤が軍隊の弾丸を体内でかき集めて放出するシーン)など、攻撃パターンのアイデアは面白かった。また血がカメラのレンズにまで飛沫がつく演出、あれいいよね。
長編として作り直したSFアクションドラマ。1982年、南アフリカ上...
長編として作り直したSFアクションドラマ。1982年、南アフリカ上空に突如UFOが飛来。政府は不気味な容姿をした異星人を難民として受け入れるが、やがて彼らの特別居住区「第9地区」はスラムと化す。
SFアクション×差別×ザ・フライ...要素てんこ盛りで面白い
アカデミー賞にノミネートされた今作。
なんかいろいろな要素てんこ盛りで、どの要素もきちんと面白いからしっかりしてる。
シナリオの粗さは結構目立って、「え、なんで人類をはるかに凌駕する技術力を持っているはずのエビたちが、あんなスラムで過ごしたままなの?」「賢いエビたちだけは死んだっていうけど、あまりにも知能差ありすぎじゃない?」「第9地区のクリストファーのアジトを突き止めたMNU、動き遅すぎじゃない? なんで車も金もないヴィガスたちがさきに襲撃できてんの...?」
みたいな。そういう、ツッコミどころは結構ある。
ただ、一つ一つのシーンが面白くて。常に先が気になる表現を続けているのも魅力的。
主人公が全然主人公っぽくなくて、くそやろーっぷりを最初から見せつけられるんだけど、次第にこう、かっこいい部分を見せていくところにも燃える。
そして、差別の描き方がうまい。エイリアンを相手にするからこそ、人間の差別的心理が、よりリアルに描かれるんだよね。
もし、この映画を黒人とか、人間を相手にして作るとしたら、たぶん放映できない。
なんか、偽善っぽくなるし、ポリコレ的問題が多発する。
でも、ドキュメント風にで、エビたちの愚弄さを描く。視聴者たちも自然と差別する側の意識に回る。それが、映画が進むにつれて、その見方が一一方向的なものでしかない、ということも分かってきて...。人間が差別を行う心理を、すっと描くのが面白い。
そして、最後のアクションの連続。ガジェット好きにはたまらないアクション描写。そしてラストシーン。
おいおい、妻、あそこまで加担しておいて、最後は悲劇のヒロインかい、っていう描写でまた、ツッコミたくはなるけれど。
それを補ってあまりある、たくさんのジャンル的要素と、面白いシーンがたくさんあるので、見る価値ある
エビ星人
この映画、sfファンや映画ファンからすこぶる評判がよい。
何度もレンタルしては5本目の最後に見ようとしては毎回返却期限が切れてしまう俺的にいわくつきの映画。
ついに鑑賞のときがきた!
出だしから宇宙人がでてくるでてくる。
俺の想像では、すごいテクノロジーを持った宇宙人が徐々にでてくるイメージだったので開始数分、えーエビやん!とびっくり。
醜悪な容姿、表現、さらに人間がそれをさも人間以下のように扱う
こんな映画だったのかと掴みはバッチリ。
途中からエビ星人のほうに感情移入バッチリ。
人間なんて死ねー!なんて完全エビサイド
主人公よくやった!エンディングも少々の切なさを残しつつバッチリ。
差別が根底にあるらしいが、細かいことは抜きにして一つの物語としては良かった。
一つ気になったのは思いのほかスケールが弱い。
主人公がかき回しただけな感があり、それがなければスムーズにエビは宇宙船に乗れたんだろうなーなんて身も蓋もないか
1番気になったのはあの液体って結局なんだったんだ〜
なんの説明もない笑
色々なメッセージがあるんでしょうが・・・
まあーエイリアンを動物に例えたり人種に例えたりしてるのかな?よーわ人間はエゴの塊だと言いたいんじゃろーけど・・・。
それならそれで、もーちょっと話を作り込んで欲しい。エイリアンを解剖したりするのも解るけど、20年もの間、空に浮かんでる宇宙船や未知の武器をそのままにしとく!?エイリアンが食うのに困ってるなら、そこに目を着けて構造や技術を聞き出したり盗めば良いじゃん。感染した人の内臓よりもっと欲しいんじゃないの!?
それから結局なんで感染したの!?宇宙船の燃料がかかって感染!?よー解らんかったし。
出来は良い。娯楽を期待すると残念
エイリアンものとして一筋縄ではないであろうことは雰囲気から予想できていたが、あまりに想定外のテーマで面食らった。
グロテスクな宇宙人、非倫理的な実験、人智を超えた兵器などのホラーあるあるな表現は、この映画では差別や人権問題を考えさせる小道具として巧みに使用されている。なまじ上手く料理されているだけに、なんだかモヤモヤしてしまう。
「考えさせられる」なんていったら月並みだが、美味しいマグロの寿司を食べさせたあとにマグロ絶滅論を振りかざすみたいな、そんな騙し討ち感。次はホラー映画を見よっと。
55点
映画評価:55点
突如、宇宙船が空中に現れ
そこには知的?な生命体が存在した
地球人は私利私欲のため、
それらを地上に降ろし生活をさせた
その一帯の場所を「第9地区」と呼んだ
ここまでが、あらすじです
まぁ、相手は宇宙人なのだから
地球人と上手く生活していける訳もなく
色々な問題が起こり出す
そこで移転を考えた地球政府が宇宙人たちに
移転願いをしていくのだけど
それが笑える
この映画の見せ場の1つだ
宇宙人VS地球人という構図ではなく
共に地球で生活するもの同士
言葉が通じなくとも、姿形が違っていても
協力?しあっていこうというもの
それが笑える
その後の展開でアクション映画ばりに
ドンパチし始めるのだが、
そのアクションシーンも作品の見せ場なのだろう
この作品を見終えて感じたのは
人間って汚くて、自分勝手で、強引だ
今回は宇宙人に対してだったが
我々は地球に住む動物たちにも
同じ様な事をしてきているんだなと
なんだか考えさせられました
見て良かったです
【2019.2.8】
もしかして、傑作?
はじめはドキュメンタリータッチで物語が進み、このまま政府機関や民間研究機関のリアリティを追求するんだろうなーと思ったら、途中からドラマタッチにガラリと変化して凄まじく面白くなりました。まさかの展開でした。
異星人の造形は、プレデターみたいな甲虫類。異形に見えて、実は人間より人間っぽい。ストーリーの中心が異星人だけど、その比較対象が人間の心理と行動で、人間の本質的な愚かさが際立ってます。
それから、映像、特にSFXが凄い。異星人が惜しみなく沢山出てくるのはもちろん、ロボットの動きも秀逸だし、肉弾が飛ぶわ、どデカイ母船も精巧、細かいところで驚いたのは、主人公が異星人に半分変化してる時の目の動き。片方だけ異星人の目になって動いてる。
脚本も演出も効果も映像も全部に良かった。
もっと前に見れば良かった。多分、傑作です。
おうち-123
ダメージでかい。
でもそれは人生で必要なダメージ。
タイトルを聞いたことがあったので、特に考えずに借りてみました。
グロ耐性とかホラー耐性とかあっても、バイヲタでも、これは違う。
自分がエイリアンのハーフになったらと考えると…。
『エイリアン』シリーズのエイリアンとは次元が違うもん。
🦐たちの造形がキモいのではなく、半分🦐になっていく過程でぞっとする。
むしろ🦐は可愛く見えてきます。特に小えびちゃん♡
後半は全く違う映画になります。
前半はただのパニックムービーかと思っていたのに、久々に心にずしんとくるメッセージをもらいました。
差別、共存、戦争……舞台が南アフリカというのもメッセージだと捉えました。
久しぶりに胸が締め付けられる寂しさと痛みを感じました。
元々🦐は苦手だけど、この寂しさを思い出すから当分食べないし、かっぱえびせんもきつい(笑)
こういう映画にはこの先10年くらい出会えない気がする。
21世紀の初めに作られなくてはならなかった必然的な作品だ
衝撃的だ、これこそ本当のSF映画だ
宇宙船や光線銃のビームぎ飛び交うものだけがSFではない
本当のSFとは、思考の枠を押し広げ、硬直して固定化されてしまった私達の観念を相対化してくれるものだ
それがSFの役割であり、本作は見事にそれを果たしている
舞台は南アフリカのヨハネスブルグ
それだけでなにを言おうとしているかは明らかだ
アパルトヘイトへの憤り、その目をおおう実相をエイリアンと人間いう極端な誇張で意味を相対化して映画にしたというものだ
しかしそれが本当の製作目標ではない
その世界観を如何にリアルに作り上げるかに監督の情熱が注がれている
それは観れば直ぐ分かることだ
つまり本作は本当は政治的意図を持って作られてはいないし、アパルトヘイト云々は若干の批判は在りつつも、結局は設定の為の建前に過ぎない
だから本当はそこで終わったはずの映画だった
しかし本作は僅か10年も経ずして、作った時点の製作者の意図とはお構い無しに、思いもしない大きな政治的意義を持ってしまった
それは欧州における移民問題だ
正に本作の世界そのものが現実に起こったのだ
アパルトヘイトに憤り、常に人道的にあるべき
ナショナリズムよりグローバルな自由平和平等博愛が優越するのだ、それが文明なのだ
そのような美しい理想を掲げて、EUの諸国は恐ろしい程の大量の移民を受け入れたのだ
しかし夢はもろくも破れた
そんなものは偽善だったのだ
本当に自分たちの領域にエイリアンが大きな構成を占めた時、既存の社会とエイリアンの社会は併存、共存など出来ないという現実がはっきりしてしまったのだ
ならばどうするのか?
答えはない
第9地区は現実に存在してしまい、永遠に続くのだ
本作はその見たくない考えたくない厳しい現実を先取りしていたのだ
21世紀の初めに作られなくてはならなかった必然的な作品だ
日本人にとっても本作は他人事ではない
人口減に直面して外国人労働者を大量に入れる方向に日本も舵をきった
東京に第9地区が出現するかもしれないのだ
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