劇場公開日 2008年8月1日

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インクレディブル・ハルク : インタビュー

2008年7月31日更新

スパイダーマン」で世界中に空前のブームを巻き起こし、「X-MEN」「ファンタスティック・フォー」と3つのマーベル・コミックのヒーロー映画シリーズを大ヒットさせた男、アビ・アラド。元マーベル・スタジオの会長兼CEO、今はアラド・プロダクションズを率いる彼は、本年もプロデューサーとして「インクレディブル・ハルク」「アイアンマン」の2作を連続で全米ナンバーワンヒットに導いた。そんなアメコミ映画界のキーパーソンに話を聞いた。(取材・文:編集部)

アビ・アラド プロデューサー インタビュー
「アメコミを映画化するということは、名曲をカバーするようなものなんだ」

ブルース・バナーの怒りが燃えると緑の巨人ハルクに変身
ブルース・バナーの怒りが燃えると緑の巨人ハルクに変身

この2作の監督はどちらもスーパーヒーロー映画を監督するのは初めて。「インクレディブル・ハルク」の監督はフランス出身、「トランスポーター」シリーズのルイ・レテリエ。「アイアンマン」の監督は「エルフ/サンタの国からやってきた」「ザスーラ」のジョン・ファブロー。だが、アラドによれば彼らは作品にピッタリだった。

「『インクレディブル・ハルク』のレテリエは、アクションが得意な若い監督で、フランス人だしアメコミは読んだことがなかったんだが、子供時代に『ハルク』のTV版を見ていたんだ。だから今回の映画版にはTV版の影響がすごくあるよ。でも最初に監督をオファーしたときは断られてね、あれはショックだった(笑)。でも改めて今回のストーリーを伝えたら、そういう内容ならやりたいと引き受けてくれたんだ。TV版と同じようにハルクが逃亡者だという設定だしね。

主人公ブルース・バナーにはTV版の設定を反映
主人公ブルース・バナーにはTV版の設定を反映

逆に『アイアンマン』のジョン・ファブローはずっと前から原作コミックの大ファンだった。でも、それよりも重要だったのは、彼の息子がこのコミックのファンだったことだ。彼は父親として『この映画を撮ることで息子のヒーローになりたい』と考えて監督したんだよ。だから、ぴったりハマったんだ。僕はこの映画の監督には、原作を愛していて、しかも知的で、政治に関心がある人物が必要だと考えていた。『アイアンマン』の主人公は武器商人だから、現代社会において武器商人であることや、現代における戦争や平和というものの意味に興味を持つような人物が必要だったんだ」

だが、アラドは2人にスーパーヒーロー映画のポイントはきっちりアドバイスした。

「大切なのは“原作の核にあるものを尊重する”ということだ。長く愛されてきた作品には、もともとすばらしい部分があるんだ。そうでなければ長く愛されることはない。だからそれを見つけて、それを大切にすればいいんだよ。アメコミを映画化するということは、名曲をカバーするようなものなんだ。同じ歌を別のアーティストが歌う。メロディも歌詞も同じなんだが、テクスチャー、感触が変わってくる。だけど、トーン(調子、雰囲気)は大切だ。間違ったトーンだと原作の魅力が失われてしまうんだ。だから、ファブロー監督は、映画のアイアンマンのスーツのデザインを、コミックのスーツをデザインしたのと同じ人物に依頼したんだよ」

「アイアンマン」のダウニー・Jr.(右)とアビ・アラド
「アイアンマン」のダウニー・Jr.(右)とアビ・アラド

そして、これらの映画の最後にはマーベル・コミックのスーパーヒーロー達が集合する「アヴェンジャーズ」の映画化を暗示するシーンが登場。ファンたちはすでにこの映画の製作が待ちきれないが、それぞれの映画の主演俳優たちが演じる映画になるのだろうか?

「もしも『アヴェンジャーズ』が作られるなら、ロバート・ダウニー・Jr.やエドワード・ノートンが共演するような映画になるはずだ。でも、まだあの映画について話すのは早すぎるよ。その前に『アイアンマン2』もあるわけだし。マーベルとしては、映画に他の映画のヒーローが登場するということがやりたかったんだよ。コミックではよくあることだからね」

コミックではDCコミック(スーパーマン、バットマンなど)とマーベル・コミックのヒーローが出会うクロス・ユニバースがあるのだが、映画でも可能だろうか?

「中東の平和のほうが先に実現するだろうね(笑)。とても興味深いアイデアだが、とても難しい。マーベルとDCコミックが同意しても、それぞれのキャラクターの映画スタジオが違うから、まず弁護士が200人は必要だろうね(笑)」

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