ファースト・ラブ(1978)

劇場公開日:

解説

ニューイングランドの大学のキャンパスを舞台に、男女の青春をつづった初恋物語。製作は「卒業」のローレンス・ターマンとデビッド・フォスター、監督はジョーン・ダーリング。ハロルド・ブロッドキーの原作をジェーン・スタントン・ヒッチコックとデビッド・フリーマンが脚色。撮影はボビー・バーン、音楽監修はジョエル・シル、挿入歌はキャット・スチーブンスとポール・ウィリアムスが各々担当。出演は「キャリー」のウィリアム・カット、スーザン・デイ、ジョン・ハート、ビヴァリー・ダンジェロ、ロバート・ロッジア、ジューン・バレット、ヴァージニア・リースなど。

1977年製作/アメリカ
原題:First Love
配給:パラマウント=CIC
劇場公開日:1978年7月1日

ストーリー

ニューイングランドのリッジデイル・カレッジで学ぶエルジン(ウィリアム・カット)は古風ともいえるモラルを守り、イージーな気持ちで女の子とつきあえないため、キャンパスの『変わり種』であり、常に孤独だった。隣室のデビッド(ジョン・ハード)は正反対のプレイボーイで、その夜も、デビッドの部屋に来ていたシェリー(ビヴァリー・ダンジェロ)との情事の最中、正式なガールフレンドのフェリシア(ジューン・バレット)が訪ねてきたため、大慌て。シェリーは裸のままエルジンの部屋に逃げこむが、ガールフレンドを1人も持たず、読書と勉強にうちこむエルジンに好奇心を抱く。翌日、前夜の礼のつもりでデビッドはエルジンとシェリーのデートのお膳立てをし、デビッドもフェリシアを連れて町のレストランに出かける。しかしエルジンの視線はモーションをかけてくるシェリーにではなく、別のテーブルに座っている美しい娘に注がれてきた。中年紳士にエスコートされたその娘こそエルジンが長年心に描いていた女性だった。その夜部屋にあがりこんだシェリーをエルジンは拒み、傷つけられたシェリーはとり乱して部屋を出ていった。数日後、学校のコーヒーショップでアルバイトしているエルジンは、そこであの夜の女性キャロライン(スーザン・デイ)とめぐりあう。彼女の本にコーヒーをこぼしたことから新しい本をもって彼女の寮を訪れることになる。エルジンの心ははずんだ。キャロラインと一緒の時を過ごしたいばかりに、同じ授業をうけるエルジン。そんなある日、キャロラインにさそわれてコンサートに出かけたエルジンは、あの夜キャロラインをエスコートしていた紳士ジョン・マーチ(ロバート・ロッジア)を紹介される。彼は妻のアン(ヴァージニア・リース)を伴っていたが、エルジンはキャロラインとジョンの間に特別な関係のあることを感じとる。コンサートの帰路の途中、キャロラインは、エルジンの部屋で一夜をすごしたいといい、夜が明けた時、2人は結ばれた。しかしエルジンはキャロラインがジョン・マーチの愛人であることを確信し、暗い嫉妬に悩まされるのだった。数日後、初めてキャロラインの自宅に招かれたエルジンは彼女に結婚を申しこむが、経済的な基盤がないことを理由にキャロラインは返答を避けた。しばらくして、キャロラインはジョンからの電話で、アンとの離婚が成立したら自分と結婚する気であることを知る。キャロラインがジョンと結婚する気であることを知ったエルジンは、彼女を忘れようとして、たまたま出会ったシェリーを抱くが、気持ちはまぎれなかった。数日後、夜中にキャロラインがエルジンの部屋を訪ねてきた。ジョンの離婚の話が嘘だと知って彼と別れて来たというのだ。しかし、よりがもどったように見えた2人にはかつての情熱がさめていた。2人は正直な心を打ちあけ合った。そして実家に帰るキャロラインを駅に見送ったエルジンは、それが2人の別れであることを感じた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0恋愛に臆病な大学生の苦い初恋物語も、狭い特殊性に終わる凡庸さ

2022年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

真面目な大学生エルジンを主人公にした初恋物語に複雑な男女関係を入れて、性的表現にも深く挑んだ青春映画。しかし、監督の視野の狭さが映像空間を限定しているため映画の良さも限られる。感情に赴くままの性の欲望に正直なアメリカ人の価値観は窺えるが、そこに改めて初恋にある人生の意義は見出せない。つまり、苦い初恋の経験を通して人間的に成長する物語のバックグラウンドが弱い。初恋相手のキャロラインが妻子ある男性との関係を清算する展開があっても、エルジンの物語を語るドラマを盛り上げないのだ。常に受け身のエルジンの行動に説得力がなく、戻って来たキャロラインを受け入れ交際を続けるのにリアリティはあるが、それ以上の情感の発露が表現されていない。また、舞台となるキャンパス描写も表面的に終わる。同じ制作者の「卒業」と比べることは、ナンセンス。どうせなら、キャロラインを主人公にすべき内容であろう。
恋愛感情の細やかな表現より、刺激的な性表現に偏った映画の日常生活描写の未熟さが指摘される凡作。ただし、主演女優のスーザン・デイの演技は魅力的で、これだけは注目した。ウィリアム・カットは平均的なアメリカ青年を演じるも、役柄以上の表現力は感じない。結局何を言いたかった映画なのか、個人的に響くものがなく観終える。

  1978年 8月26日  郡山スカラ座

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Gustav
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