アラモ(1960)

劇場公開日:

アラモ(1960)

解説

アメリカ西部開拓史上に有名なアラモ砦の攻防戦を描いたアクション・ドラマ。「流れ者の復讐」のジェームズ・エドワード・グラントのオリジナル・シナリオを「騎兵隊」に出演したジョン・ウェインが自ら製作した第1回監督作品で、ジョン・フォードが監修している。撮影は「騎兵隊」のウィリアム・クローシャー、音楽をディミトリ・ティオムキンが担当。出演はウェインのほかに「愛のトンネル」のリチャード・ウィドマーク、「年上の女」のローレンス・ハーヴェイ、リチャード・ブーン、リンダ・クリスタル、フランキー・アヴァロンら。

1960年製作/アメリカ
原題:The Alamo
配給:日本ユナイテッド・アーチスツ
劇場公開日:1960年12月24日

ストーリー

1836年、当時メキシコ領のテキサスの原野に、各国から多くの移民が入植していた。メキシコの独裁者サンタ・アナが土地没収と、重税を課す宣言をした。テキサス人は独立運動を起こし、サム・ヒューストン(リチャード・ブーン)が指揮者に選ばれた。サンタ・アナは討伐軍を派遣した。義勇軍はまだ組織が完全でなく、敵軍をサン・アントニオでくいとめ、時間をかせぐ必要があった。ヒューストン将軍はジェイムズ・ボウイ(リチャード・ウィドマーク)と大佐に任じ、サン・アントニオ近郊のアラモ砦の陣地構築を命じた。が、彼は酒びたりで仕事がはかどらず、将軍は後任に若い弁護士出身のトラヴィス大佐「ローレンス・ハーヴェイ」を送り、自分は義勇軍を募るため北方に出発した。厳格で貴族的なトラヴィスと、大地主で親分肌のボウイはことごとに対立した。テキサスの危機を聞いたデヴィ・クロケット(ジョン・ウェイン)は同士とともにサン・アントニオにやってきた。その夜、クロケットはメキシコの美女フラカ(リンダ・クリスタル)の難を救い、町の教会に武器弾薬が隠されていることを聞いた。彼は偶然知り合ったボウイと協力してこれを分捕った。クロケットとフラカは恋仲になった。砦の戦略的価値についてボウイとトラヴィスの意見が対立し、クロケットが仲に入ってまとめた。砦の完成前に、、サンタ・アナの軍隊がサン・アントニオに到着し、無条件降伏を要求した。トラヴィスは拒絶した。メキシコ軍は巨砲をもって砲撃を開始した。その夜、クロケットとボウイは決死隊を率いて巨砲破壊に成功した。サンタ・アナの主力軍が到着した。砦内の婦女子の立退きを勧告してきた。砦の男たちは感慨無量の面持で、退去する人々を見送った。ただディッキンスン大尉夫人だけは残留した。メキシコ軍の攻撃、砦の兵士の敢闘と、戦況は一進一退を続けた。ある晩、ボウイのところに愛妻が死んだ知らせがきた。トラヴィスは軍規違反と手紙をとりあげたが、真相を知って彼に詫びた。ボンハム大尉が援軍500がメキシコ軍に撃退されたという悲報をもたらした。ヒューストン将軍の義勇軍もだこない。ボウイやクロケットは砦で討死にするのに反対した。が、トラヴィスの死守の決意にうたれ、180名の兵士は砦を守ることになった。7000のメキシコ軍は物量を頼み、総攻撃を開始した。砦の兵士は次々に倒れ、トラヴィス、クロケット、ボウイの獅子奮尽の甲斐もなく、それぞれ凄烈な戦死を遂げた。3月6日――アラモ守備軍は全滅した。ただ1人ディッキンスン夫人が生き残った。サンタ・アナは夫人にロバを与え、砦の外に送りだした。守備隊の勇猛果敢な活躍は、夫人の口から人々に伝えられた…。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第33回 アカデミー賞(1961年)

受賞

音響賞  

ノミネート

作品賞  
助演男優賞 チル・ウィルス
撮影賞(カラー) ウィリアム・H・クローシア
編集賞
作曲賞(ドラマ/コメディ) ディミトリ・ティオムキン
主題歌賞
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写真:Moviestore Collection/AFLO

映画レビュー

2.0監督と主役のミスキャスト

2020年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 惜しいですねぇ〜。
 せっかくの題材がもったいない。あまりにも情緒的に描きすぎ。
 「アラモ砦の戦い」は誰でも知っているという前提での演出。
 でも、実際のところ、何でこの無謀な戦い(少なくとも映画の中ではそう描かれている)が起きたのかをちゃんと知っている人が、アメリカ人でもどのくらいいるだろうか?
 有名すぎて、「見る人がみんな知ってる話」という思いこみが先にあるので、時代背景や、因果関係を描こうとは考えていない。
 当初、題材に惚れ込んだジョン・ウエインが制作・演出だけするつもりが、映画の注目度、興行成績を考えて自ら主演せざるを得なかった事情はあるにせよ、彼の演技力でクロケットのセリフはきつい。 ジョン・フォードが心配して無理やり協力したという話も頷ける。
 トラビス役のローレンス・ハーベイはさすがですね。杓子定規な職業軍人と、ざっくばらんなアメリカ人の対照的な言葉遣い、言い回しは面白かった。この映画の大きな特徴。
 リチャード・ウイドマークもいいですね。 やや過剰演出のきらいはありますが、うまいと思います。 彼の場合、粗野なざっくばらんな西部人よりも、ひねくれた顔のごとく、やや陰影ある役柄、
例えば、「ワーロック」で、主人公に共感しながらも抗う演技のいる役が似合う。トラビス役をしていたら面白い映画ができた様にも思います。
 戦いの起きる伏線から描かれていれば幅のある見応えのある作品にも仕上げられる題材だけに惜しく感じます。

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Coloradan

4.0すごかった

2019年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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吉泉知彦

5.0本作は60年近い時間を経て、今またアメリカだけでなく世界中の自由に生きている国々にメッセージを発し始めている

2019年2月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

傑作だ、もっと高く評価されるべき作品だ
ジョン・ウェインが製作、監督、主演をしている
映像、スケール、脚本、配役、演技、音楽どれも素晴らしい
巨匠ディミトリ・ティオムキンの手になる主題歌は超有名で映画音楽の定番中の定番
それどころか、ブラザーフォア版は英語を離れてポップスの大ヒット曲だ

舞台は1936年のテキサス
しかし西部劇とは厳密にはいえない
西部劇でイメージされる保安官とカウボウイのガンファイトの物語とは全く違う
南北戦争よりも25年も前のテキサス独立戦争の際に実際にあった話の物語だ
どちらかと言えば戦争ものをイメージした方が近い
この戦いの30年近い昔欧州大陸で行われたナポレオン戦争のような戦闘シーンが大迫力で展開される
それも当然CGも特撮もなしで、エキストラの大量動員の力業で撮られているのだ

この戦いは日本人が桶狭間の合戦を一般常識としているように、アメリカ人なら誰しも知っている
そしてそれは単なる戦いではなく、アメリカの建国精神に直接関わる形で全滅して命を捧げた英雄達の物語として記憶されているのだ
主要登場人物のテキサス側の3人の指揮官の名前は国民的な英雄として、日本でいうなら幕末の英傑みに有名な人名になる
特にデイビー・クロケットは坂本龍馬並みの人気だろう
だから映画化も本作以前に3作もあるし、本作以降も映画化が何作も行われている程のものだ

それほどアメリカ人の精神の琴線に触れる物語なのだ
もちろんその筆頭がジョン・ウェインであったわけだ

ジョン・ウェインは主人公に自分の信条としてこう語らせる

共和国
実に良い響きだ
人々が自由に暮らし、自由に話し、自由に行き来し、売り買いし、酔ったり醒めたりする
君もこれらの言葉には感動するだろう
共和国
胸が詰まる言葉だ

正にアメリカ建国の精神であり
今日の文明世界の精神を代表するものだ
本作を製作した時代を考えれば、もちろんソ連との冷戦を意識したものだ
ナチスとの戦いの記憶もまだあたらしかったのだろう

では21世紀に本作を観る現代人にそのメッセージは届くのだろうか?
しかも日本人である我々の精神にも届くのだろうか?

その精神はフランシス・フクヤマの著者「歴史の終わり」にあるようにソ連に打ち勝ち、共産主義よりもこの自由主義が優れた思想であると決着がつき、思想史の歴史は終焉を迎えたのだ
だから21世紀に生きる我々日本人もその考えは当然の如く共有されている

しかし歴史には反動がつきものだ
日本の近くには共和国と名乗る国がいくつかあるが果たして、先ほどのような自由のある国なのだろうか?
独裁者や独裁政党が恣意的に認める範囲内に限りの但し書きが実はついており、その線を越えることは命の危険がある国というのが実態なのではないか

つまり本作は60年近い時間を経て、今またアメリカだけでなく世界中の自由に生きている国々にメッセージを発し始めているのだ
もちろん我々現代の日本人にもメッセージを発しているのだ

21世紀のアラモは台湾か沖縄だ
そう考えれば得心がいくのではないだろうか

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あき240

4.5ジョンウェイン

2017年6月3日
Androidアプリから投稿

駅馬車と共に西部劇に燦然と輝く名作
今はこういう映画は作れないと思います
アラモ砦を死守したジョンウェイン、そして名俳優達の演技は忘れることができません。

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シモカツ
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