アラビアのロレンスのレビュー・感想・評価
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二枚舌外交
オスマントルコからの独立を目指すアラブ民族を助けるイギリス人将校の活躍を描く物語。
1962年製作の映画史に残る大作ということもあり、後学の為に鑑賞。
とにかくスケール大きさに驚きます。特にアカバ攻防戦。CGも何もない時代。海辺の街に突入する騎馬隊を、丘の上から俯瞰で撮影したシーンは、爽快で素晴らしいシーンでした。
Wikiにも記載があった砂漠のシーン、海辺での夕日のシーン等も含めて、視覚的に印象に残るシーンが多く、名作の評価は伊達ではない・・・と思わせるものがありました。
物語はトマス・エドワード・ロレンスの自伝小説の映画化。
前半からアカバ攻防戦迄は、豪快で不遜なトマスの行動を爽快に描写。中盤から終盤にかけては、凄惨な殺戮戦や戦線の行き詰まり等が描かれ陰鬱な気持ちにさせられます。
心理描写等に特筆すべき点があるのは事実ですが、207分という長丁場でそれを観せられるのは、正直厳しく感じました。
私的評価は普通にしました。
どうにもモヤモヤ
砂漠の渇きと蜃気楼がロレンスの、またイギリスの迷妄と重なる演出は見事。もうああいった壮大なロケ映画というのは作れないのだろうかと思うと、映画というものへの郷愁もある。
だが、二枚舌が3枚集まって6枚だね、みたいなところもちゃんと描かれているんだが、なんだかモヤモヤするのだ。西部劇的オリエンタリズム(?)を感じるからだろうか。オスマン・トルコはダレにとっても敵であるということが自明であるかのように描かれているからだろうか。
【”アラブ人にアラブの誇りを取り戻させるために。”若きピーター・オトゥール演じる”エル・オレンス”の姿を、故伊丹十三氏のエッセイを絡めて記す。】
◆詳細は、完全版のレビューに記してあります。
■1916年。イギリス陸軍少尉・ロレンス(ピーター・オトゥール)は、オスマントルコ帝国からの独立を目指すアラブ民族の情勢を確かめるため現地へ向かう。
反乱軍の現状を目の当たりにした彼は、アラブの種族をまとめ上げてゲリラ戦を展開。
拠点をめぐる激戦に勝利するまでになるが…。
・ご存じの通り、今作はオリジナ版(207分)と、1995年に公開された227分の完全版がある。私が学生時代に名画座で観たのは、年代的にもオリジナル版である。
ー インター・ミッションて何々??と言いながら、WCに駆け込んだなあ・・。
それにしても、私がコロナ禍以降に劇場で観た「ベン・ハー」「風と共に去りぬ」などは、皆3時間を超える長尺である。ー
インド映画ではないが、1960年代の傑作映画は皆、インターミッションがあったのかなあ・・。更に言えば、今作同様「ベン・ハー」でも、本編がナカナカ始まらない・・。
“放置プレイか!と思ってしまったぞ!”-
・ロレンスを演じた当時30歳のピーター・オトゥールの金髪、碧眼の美しさには、今でも惹かれる。
ー 因みに、ピーター・オトゥール氏はアイルランド人である。この辺りも、是非、伊丹十三氏のエッセイで、お楽しみ願いたいところである。-
<勿論、今作の砂漠の彼方に沈む数々の夕日のシーンや、ロレンスの想いがアラブの部族を越えた民に認められ、彼が”エル・オレンス”と呼ばれ、慕われて行く姿や、彼の理念が大英帝国の思惑に会わずに、彼が失意の中、事故死する冒頭のシーンとの連想性も見事なる作品である。>
狂気の中で変わりゆくもの
制作は今から60年ほど前の1962年。
固定キャメラで延々と捉えた灼熱の砂漠は
天国のように美しく、地獄のように過酷さを映す。
また物静かなイギリス将校のロレンス役の
ピーター・オトゥールの演技は
次第に狂人のようになっていく。
それは国への裏切りなのか
友情への裏切りなのか
自身への裏切りなのか
分かっているのは
静寂と変貌、激震と静寂だけ。
ロレンスとは一体何者だったのか。
答えは無い。無くていい。
そんな風に思っている。
※
Lawrence of Arabia は古さを感じさせない。
モーリス・ジャーナルの雄大な曲が美しい。
スティーブン・スピルバーグは
自身の映画を制作する前に
「この映画を観る」と語っていた。
※
現代につながる中東の政治史
小さい頃にテレビのロードショー番組で放映されていたのをチラッと見たことがあるような気がするが、本編はとても長かった。
画面いっぱいに広がる空と砂漠。地平線上の小さな陽炎が、近づいてくると人。乗り物は駱駝。大量のエキストラ。見ものだった。
そして物語で描かれているのは、アラブ人と一括りにはできない部族対立しやすい事情、イギリス、フランスの中東政策、ファイサル王子の対応、何より、夢見がちなアラビアオタク、ロレンス少佐の成功と挫折で、なるほどなぁ、ととても良い歴史の勉強になった。
列車爆破のシーンは見事
というより、それ以外のシーンがほとんど記憶に残らない文芸作品系の実在した人物の映画化。
ゆったりとしたテンポの、情感溢れるテーマ曲や、主演のピーター・オトゥールの一世一代の名演技。スケール感溢れる映像など、間違いなく映画史に名を残した作品ですが、個人的には何の思い入れもありませんでした。
完全版じゃない編集との、違いや、映像のリファインなどは、オリジナルと見比べたわけではないので、分かりません。
2017.6.3
初めての休憩体験
自分も、40年前に吉祥寺だかの名画座で観た。
映画好きな友人のTくんが、「大長編も観ておかないと」と誘ってくれたんだと思う。
4時間に迫る大大大長編!
映画館で初めて、"上映中の休憩" を体験した。大人になった気がした。素晴らしい映画だったのだが、残念ながら当時の俺では、背景も知らず、半分もわかっていなかったと思う。寝てたし。
これから観る人は、少しだけ時代背景を知って観ると、3倍くらい面白いですよ!
というわけで、レビューにも何もならないが、郷愁を込めて書いておく。
名画座で何でも300〜500円で観られた当時。俺、今、歳いってから映画観られているのは、当時、ちょうど留年して、かつ名画座があったから入り浸れた、ってことが大きかったなあ、とあらためて思う。
T君、あらためて、ありがとう。
ラクダは従順で強し!
評価の高い名画と知り、DVDを入手して視聴しました。1962年、ワタクシが2歳の時の映画で、ここまで壮大に作り上げたことには驚嘆しつつ、いっぽうで英国人のかたくなな紳士ぶりに違和感を覚えたのも事実です。砂漠における主人公は、持久力に優れたラクダであるということですね。
何度見ても最高だね。
今はないシネラマで、リバイバルを見た。
その後10回ぐらい見た。
こんな映画は見たことがない。哲学がふんだんに入ってる。しかも、美しい。もう作れない時代になった。
デビットリーンは映像が美しい。
砂嵐
横長の大スクリーンで観賞。
見終わって、
広大な砂漠を渡り終えたような疲労感があって、
・・・耳から砂が出てきた。
40年前に観たけど
あの砂漠とピーター・オトゥールの目の美しさには吸い込まれたなー
NHKニュースで「ダマスカス」とか「アカバ」とか聞くと、心は一気にあの映画に飛んでいく。
フレグランスの「デューン・プール・オム」はお気に入り。
壮大
ベドウィン族、ハリス族、ハジミ族と部族抗争の激しい地域。果てしなく続く砂漠のどこに境界線があるのかさっぱりわからないというのに、アラブ人はかなり地理に詳しい。アリと再会してからはハイフェットの首領アウダをも味方につけ、トルコ軍の構えるアカバへ向う。
仲間を増やしていっても部族間での争いがある。仲裁するためロレンスがかつて助けた男ガシムを処刑することに・・・かなり苦悩するシーンではあるが、ちょっとスピーディ。
功績が認められ少佐に昇進したロレンスは戦地に戻り、アラブ人からは英雄と崇められトルコ軍との攻防を続けていた。人を殺したことや、自分がアラブが好きなことでアイデンティティに疑問を持ち始め、やがてはアラブ国民会議として独立するまでに至る。後半には“オレンス”と呼ばれていて、なんだか愛着が沸いてきました。
劇場で観ていたら満点つけてたかもしれないけど、テレビじゃストーリーを追ってしまいがち。見たかったなぁ。
●英雄の強さと弱さ。
まさにスペクタクル巨編。広大な砂漠。鉄道爆破。なにしろその尺の長さ。映画界の全盛期を感じる。
さらに、これが史実に基づいた物語だってのがスゴイ。
若さゆえ。敵の敵は味方というが、思ってもなかなか実行できないもんだ。
信念を貫き、自ら道を切り開く一方で、弱さとズルさが見え隠れ。
人間臭くて良い。
そしていい映画はいい音楽が引き立てる。
冒頭のオートバイ事故は、T.E.ロレンス本人の再現なのだね。
史実の実在の人物ロレンス・・
冒頭でロレンスのバイク事故死の場面から始まる。ロレンスは実在したイギリス陸軍将校だ。第一次世界大戦中のサイクス・ピコ協定の成立に尽力した・・当時、アラビア半島で強大だったオスマン帝国を英仏露で解体した史実。不安定な中東問題は現代まで続く。映画ではアラビア半島のヒジャーズ鉄道の爆破などロレンスの作戦を克明に描く。またアラブに溶け込もうとラクダを砂漠で乗りこなした目の青いイギリス人の将校の困難は絶えない。大空の下に広がる広大な砂漠の風景など映像が続く。ロレンスの一生が作品では226分余りの長編となっている。途中に休憩がある(笑)。また「アメリカ映画ベスト100」では5本の指に必ず入る名作・・1962年のイギリス映画。
人生の不思議を思わせる映画。壮大なスケールの人間ドラマでその挫折や...
人生の不思議を思わせる映画。壮大なスケールの人間ドラマでその挫折や苦悩は深く胸打つものがある。アラビアの太陽と砂漠の映像が素晴らしい。3時間の長さを感じない名作映画。
ピーター・オトゥール❤️映画館で再会 加筆
2020年9月7日。
久しぶりの再会。やはりIntermissionが入った。昨日は早く就寝、今朝は早起きして朝焼けを見てシャワーを浴び朝食をしっかり食べ、エアコン対策&水持参と万全の気合いで行ってきました。
忘れていた箇所もあったが覚えているところも結構あったのが意外だった。でも、ロレンスの苦悩は高校生の時は全くわからなかった。
前半と後半でロレンスはかなり変わる。髪も変わる。行動も変わった。自分が所属し帰巣する共同体、社会、文化はどこなんだ、自分の肌の色の為に好色の目に晒されたこの自分はアラブの衣装を纏ってアラブの友と一緒に歩いていたのに。「肌の色」を意識するのはそれが黄や赤や黒の時。でもそれが白で「美しい」ことで鞭で打たれ逆の世界を痛みで知ったロレンス。昇進していくに従って彼の気持ちはどす黒くなっていく。
部族間でいがみ合っていてはだめだ、対トルコでまとまってアラブ共同戦線をはっていたのに、実は裏で王子ファイサルとイギリス、フランスは繋がっていた(自分のこの理解が正しいかわかりません)。爺さん達は早く引退したいとうそぶきながら「平和」への話を進めていく。砂漠に行って持てる知識を総動員させて実行し、命を大切にすることを行動をもって実践し、相手の懐に入って信頼を勝ち取った青年は自分のアイデンティティ、与えられた使命と貢献の意味に苦悩する。ロレンスの弱点でもあり素晴らしいと思える点は、自分の感情を鏡のように自分で見て明確に意識化できることだ。結果的に煙たがられ蚊帳の外におかれ、欲しくもない昇進シールを沢山貼られてほっぽり出される。
ピーター・オトゥールは英国軍の制服を着ているときはとても変な歩き方をする。この映画に限らないけれど。フワフワと斜め。腕もその長さをもてあましているかのようにピョンピョンしてる。
ロレンスは教養があって複数の言語ができるインテリでエリートでなおかつ父親は貴族。それが彼にとってどうでもよいことなのか自明のことなのかはよくわからない。一人の命を一人で救い出した最初のロレンスと後半のロレンスはあまりに異なる行動をせざるを得なくなってしまった。
イギリス人の英語とアメリカ人記者の英語で、英米の言葉の違いは自分でも少しだけにすぎないがわかった気がする。イギリス英語には遠まわし表現と皮肉とユーモアが漏れなくついてくる。めんどくさい!でも発音はイギリス英語の方が好きだと思った。そのアメリカ人記者に聞かれた2つの質問の二つ目が「なぜあなたは砂漠に魅了されるのか」。それにロレンスは、cleanだからと答えた。ここだったんだ。
オマー・シャリフ、アレック・ギネス、アンソニー・クイン、ホセ・ファーラーの堂々たる風貌。これだけ立派な顔立ち、今、世界のどこに居るんだろう。
泣いてないけど泣けてきた。理由は、好きだけどこんなに長い映画、映画館であと何回見ることができるんだろう、これがピーター・オトゥール=ロレンスを見る最後かなと思ったから。
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長くて喉が渇く映画だけれど、大きな映画!砂漠ばかり見てるから本当に喉が渇いた。高校生位の頃に見たけれど、休憩時間が入ったのはフィルムを巻くため?観客にとっては水分補給のための休憩だった。今はデジタルだから休憩ないのかな。
砂漠は清潔だ、というのは、この映画で聞いたのだろうか。
ピーター・オトゥールの金髪と青い眼に魅入られました。それからずっと好きでした。数年前に亡くなって悲しかった。
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