明治侠客伝 三代目襲名

劇場公開日:

解説

紙屋五平の原案を、「日本侠客伝 関東篇」の村尾昭と「大阪ど根性物語 どえらい奴」の鈴木則文が共同でシナリオ化、「幕末残酷物語」の加藤泰が監督したやくざもの。撮影は「大勝負」のわし尾元也。

1965年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1965年9月18日

ストーリー

喧嘩祭りに賑わう大阪の町角で、木屋辰一家の二代目江本福一が小倉の無宿者中井徳松に刺された。浄水場工事を請負う野村組の現場に資材を送りこむ木屋辰への、星野建材星野軍次郎のいやがらせであった。星野の配下唐沢組を使っての指金であることはわかっていながら、確証が掴めず、木屋辰の一人息子春夫は、不貞くされて家を飛び出した。木屋辰の乾分菊池浅次郎は、春夫の身を案じてお茶屋松乃屋を訪ねた。松乃屋の娼妓初栄が唐沢にしぼられ、親の死に目にも会えないのを知った浅次郎は、初栄を親元に帰してやるのだった。二代目は床に伏し、春夫不在の木屋辰組は、浅次郎の采配で仕事を続けた。だが唐沢組は陰湿ないやがらせを重ね、浅次郎らの足をひくのだった。資材不足で工事の遅れを詑びる浅次郎に、野村組社長野村勇太郎は、快よく励ましを送った。ある日初栄が親の死に目に会えた礼をのべるため浅次郎を訪れた。だが初栄は松乃屋で唐沢から制裁を受け、浅次郎は唐沢と対決する破目となった。木屋辰一家の客人石井仙吉の機知で浅次郎は救われたが、その時、二代目は息をひきとっていた。二代目の遺言で跡目に浅次郎があげられたが、これを不満とする春夫は家を飛び出そうとした。業を煮やした浅次郎は三代目の名は継が建材店を春夫に継いで欲しいと言い、野村に春夫の行く末を頼んだ。数日後、浅次郎の襲名披露が行われた夜、初栄は唐沢に身請けされていた。三代目の初仕事に、星野は横槍を入れたが、野村の献身的な努力で江本建材は軌道に乗った。春夫の手紙に喜ぶ浅次郎のもとに大阪のひさから、春夫、仙吉の二人が星野、唐沢に刺殺されたと知らせて来た。浅次郎は短刀を握りしめ、星野建材にのりこむと、星野、唐沢を刺した。初栄の熱い視線を受けて、三代目浅次郎は駆けつけた巡査に両手を差し出した。

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映画レビュー

4.0極道を襲名する漢

2020年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

興奮

名匠・加藤泰監督1965年の作品。
同監督初の本格任侠映画。
名作と言われるだけあり、確かに非常に良かった!

明治40年の大阪。古くから続く地元のやくざ一家、木屋辰の二代目が祭りの日に刺された。犯人は明白。商売敵の星野建材が敵対する唐沢組と組んで潰しに掛かって来たのだ。
親分がやられて黙っていられねぇ! 殴り込みじゃあ!
待たんかい、おメェら!

木屋辰一家は昔気質のやくざであっても、売られた喧嘩を喧嘩で買わない。
これからの時代、事業で勝負する。
親分は一命を取り留めるも、決定的証拠は無く。
遊び呆けている二代目の一人息子・春夫は憤慨。
一家の信頼厚い若衆・浅次郎は堪え忍ぶしかなかった…。

ある日浅次郎は遊郭で、唐沢に身請けされそうになった娼妓・初栄を助け、情熱的な恋に落ちる。
が、唐沢組と因縁深くなり…。
そして遂に、親分が死去。それ以前にも悪質な嫌がらせをしてきた星野×唐沢のそれはさらに激化させていき…。

よくあるステレオタイプな任侠アクションではなく、情感たっぷりの任侠ドラマだと感じた。
一応星野建材は堅気の会社、木屋辰はやくざ一家。それ故の理不尽。時々、逆に見えてくる。
親分亡き後、三代目に選ばれたのは、実子の春夫ではなく浅次郎。これには血気盛んな春夫は納得いかず、葬式の場で大揉め。すると、普段穏やかな浅次郎がやり返す。これも全て春夫を思って。また、ある決断をする。それに心打たれ、春夫もようやく目が醒め…。ここ、一番じ~んと来た。
新たな門出。が、またまた星野×唐沢の凶行妨害が…。

漢気溢れる鶴田浩二に惚れ惚れ。
津川雅彦も駄目若造から立派な跡継ぎへ、さすがの巧演。
演者で特筆は、木屋辰に客人としてやって来た渡世人役の藤山寛美。最初はちと他人の家の事情に土足で上がり込む感あったが、ある修羅場を助けてからは頼りになり、命を張った終盤のあるシーンはグッとさせられた。
鶴田演じる浅次郎と藤純子演じる初栄のラブストーリーでもある。若き藤(現・富司純子)、川辺でのシーンなど、美しい。
しかし両想いになってから、初栄の浅次郎へのアプローチが激しく、重い。今で言うと、肉食系…?

高倉健が出演した往年の任侠映画でもそう。
堪え忍び、堪え忍び、堪え忍び…
遂に怒りを爆発させる!
最後はこうでなきゃ!
が、そこに痛快さは無い。
極道を襲名した漢は、哀しみを決して語らず…。

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近大

4.0上方の喜劇王藤原寛美、その芸達者の笑いと人情のスパイスが加わってこそ、本作は最高の娯楽作品になったのだと思います

2020年2月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

やくざ映画
日本映画の一ジャンルとして、なくてはならない存在です
その中でもやはり東映のやくざ映画が飛び抜けています
1963年の人生劇場 飛車角に始まり、1965年9月公開の本作、同年10月の高倉健主演の昭和残侠伝はジャンルとして確立した中の一つの頂点と言えると思います

日本人の心の琴線に触れる要素がこれでもかと散りばめられています
料理でいえば、幕の内弁当?いや豪勢なお節料理でしょう!

心服する器の大きい親分
目の覚めるぐらい立派な大親分
卑怯で外道なライバル
意地らしくも可憐な女心をみせる美しいヒロイン
こらえてこらえて最後には意地と筋を通す主人公

言ってみればこのパターンに過ぎないのかも知れません
しかし何度観ても痺れるのは日本人の心の成り立ちに深く結びついている筋書きなのでしょう

本作も突き詰めればパターン通りです
しかしその満足感のレベルが著しく高いのです

鶴田浩二、藤純子、嵐寛寿郎、丹波哲郎
悪役ぶりが素晴らしい安部徹
どれもこれも配役がピタリとはまっています

そこに上方の喜劇王、藤山寛美がコメディリリーフだけでなく、見事な演技の冴えをみせて大いに盛り上げています
この時期、彼は松竹新喜劇を莫大な借金で首になり、東映の岡田社長の世話で映画出演を始めた頃だったのです

この芸達者の笑いと人情のスパイスが加わってこそ、本作は最高の娯楽作品になったのだと思います

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あき240

4.0鶴田浩二

2016年10月4日
iPhoneアプリから投稿

この時代の娯楽映画と言えば任侠物。どれもストーリーは同じなんだけどスカッとするんだよなぁ〜。鶴田浩二のかっこいいことよ…

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nkboy

3.0やくざ映画の序章

2016年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

三代目を襲名した男(鶴田浩二)が、親分や仲間を殺した非道なヤクザ一家に復讐を果たす、という王道の物語。
娼婦(藤純子)とのラブストーリーも織り交ぜ、固定カメラの比較的長いカットが多い加藤泰監督作品。

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いやよセブン
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