劇場公開日 2006年7月8日

M:i:III : 特集

2006年6月22日更新

トム・クルーズ製作・主演の大ヒットシリーズ6年ぶりの新作「M:i:III」が、ついに登場する。シリーズものとはいえ1作ごとに監督を変え、テイストも異なり、独立した物語になっているので、過去2作を観ていなくても楽しめることは請け合いだが、ここではそのシリーズ3作を並べてそれぞれの特徴やシリーズの“お約束”を検証してみる。(文・構成:編集部)

シリーズ3作徹底比較!見えてきた“お約束”とは?

今回はチームプレイを重視した作りに
今回はチームプレイを重視した作りに

この人気シリーズの見所はまず、トム・クルーズのプロデューサーとしての手腕。そこで監督をチェックしてみると、「カリートの道」を撮り終えたブライアン・デ・パルマ、「フェイス/オフ」後のジョン・ウー、TVシリーズ「エイリアス」「LOST」を連続大ヒットさせたJ・J・エイブラムスと、その時点でもっとも勢いに乗る監督を起用しているのが分かる。今回の第3作の監督にはデビッド・フィンチャーが候補になり、「NARC/ナーク」のジョー・カーナハンは着手もしたが、結果的に抜擢されたのがエイブラムス。彼の映画初挑戦を懸念する声もあったが、蓋を開ければ2週連続全米興収第1位の快挙、全米の批評家の評価もまずまずで、結果オーライだったのは、トム・クルーズの運の強さか。ちなみにクルーズは、あまりにも有名な本作のテーマ曲をアレンジするミュージシャンにも、この選択眼を発揮。第1作はU2のリズム隊アダム・クレイトンとラリー・マレン・ジュニア、第2作はリンプ・ビズキット、第3作はカニエ・ウェスト(実際は主題歌のみ)と、そのときの人気者を選ぶという姿勢を貫いている。

そして出来上がった3作は、それぞれの監督の作風を反映しているといっていいだろう。「エイリアン」シリーズほどの違いはないが、謎解きの「1」、感情劇の「2」、チームプレイ描写の「3」という個性は明確。それぞれの味が楽しめる3作がそろった。ちなみに今回の「3」が意識したのは「1」らしく、「2」にはまったくなかった「謎解き」の要素が復活し、「1」で印象的だったトム・クルーズの「宙吊り」シーンがより過激な形で再登場する、というシリーズならではのオマージュも楽しめる。

■見えてきたシリーズの“お約束”

いくつかみえてきた“お約束”
いくつかみえてきた“お約束”

また、第3作まで来たところで、シリーズのお約束も見えてきた。まずひとつは「冒頭のタイトルバックの導火線の燃やし方で、今回の作風を宣言する」というお約束。「1」では燃える導火線の超アップと本編シーンをどちらもごく短く細かく刻んで編集して、スピード感とドラマの多重性を演出。「2」では導火線の火花と、ドラマのキーとなる殺人ウイルスの名前の原典となったギリシャ神話の英雄の画を交互に映して、英雄物語的な雰囲気を演出。そして「3」は、基本的に燃える導火線とそこから激しく散る火花を、さまざまな角度からと距離から映し出すもの。映像はかなり派手なのだが、基本的には導火線が燃えていくのをきっちり追うだけだ。このオープニングの導火線の描写が、3監督3様の芸風を象徴しているといえるだろう。

もうひとつ判明したお約束は「前作に登場したアイテムのムリっぽかった部分をフォローする」というもの。第1作には、手にお椀のようなものを装着して金属製の壁をロック・クライミングのように登るというシーンがあり、「いや、それはちょっと……」と思わせたが、すると第2作の冒頭はロック・クライミング。トム・クルーズ演じる主人公は、趣味で山登りをするほど、ロック・クライミング技術のエキスパートなのだというふうにフォローされるのだ。また、第2作では変装マスクが大活躍しすぎで「いや、それはちょっと……」と思わせたが、すると第3作には変装マスク製造マシーンが登場。声を変える装置の仕組みも描かれて、最先端の技術があれば、前作のような変装が可能なのだとフォローするのだ。これが製作者トム・クルーズの指示なのか、監督の遊び心なのかは、ちょっと気になるところ。そして、第4作があるならば、そこでは何がフォローされるのか? 「3」を見るときには、そんなチェックもお忘れなく。

>>シリーズ3作徹底!比較表

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