劇場公開日 2007年4月20日

ロッキー・ザ・ファイナル : インタビュー

2007年4月19日更新

自ら書き上げた脚本で主演もこなし、アカデミー賞を受賞したシリーズ1作目「ロッキー」から30年、シリーズの前作「ロッキー5/最後のドラマ」からもすでに17年がたち、誰もが過去のものと思っていたロッキーを、自らの手で再びリングに立ち上がらせ、完全燃焼させたシルベスター・スタローン。来日した彼に「ロッキー・ザ・ファイナル」に込めた思いを語ってもらった。(聞き手:編集部)

シルベスター・スタローン インタビュー
「リング上のファイトを通してメッセージを伝えたかったんだ」

シルベスター・スタローン
シルベスター・スタローン

――「ロッキー」とともにスター人生を歩き始めたスタローンさんが、「ロッキー」と別れるのはつらいことだと思うのですが、なぜ別れようと思ったのですか? そのままロッキーとともに俳優人生を続けることも出来たのではないですか? ボクシング指導者としてのロッキーも面白かったと思うんですが。

「俺もなぜ別れたんだろうとも思うけど(笑)、『ロッキー』のピュアなエッセンスは彼のリング上でのファイトなんだ。ロッキーがリング上で戦うってことが重要で、ファイトを通して自分のメッセージを伝えたかったんだよ。前作『ロッキー5』では、リング上のファイト・シーンがなくて、結局それが問題点になったんだ。あと、今回多くの若い観客が見に来てくれたんだけど、彼らは『ロッキー』をスクリーンで見たことがない世代だ。若い彼らが『ロッキー』の熱狂を知り、もう2度とない最後の1本ということで、その映画の熱を体験したくて見に来てくれたんじゃないかな。そういった意味では、珍しいタイプのイベントになったよね」

――今後の活動の中で最も力を入れたいことは監督・脚本・主演のうちどれでしょうか?

「脚本を書くのは本当につらいね。一番タフでつらいと思う。これからは監督がベストだろうね。俳優として必要なことはすべてやってきたつもりだし。いま『ランボー4(原題:John Rambo)』を撮っているけど、ランボーはロッキーが楽天的なのに対して、とても厭世的なんだ。“人生が暴力で彩られている男など、誰も必要としない世界で、ランボーはどこに行くんだ? 彼にとって安静の地などあるのか”というテーマで、とても面白いストーリーがあったので、ランボーもいま撮っている作品で終わらせるつもりなんだ。『ランボー』のあとは、わからないけど、2~3の役者としての仕事をして、監督業に専念というのがいいだろうね。俺としては誰かのおじいちゃん役なんかはやりたくないんだよ。“へい、おじいちゃんが来たよ。オールド・ランボーだよ”なんて言うのは、やっぱりイヤだね(笑)」

ロッキー自身は以前と変わっていないが…
ロッキー自身は以前と変わっていないが…

――30年経ったロッキーが、変わったこと、変わらないことを教えてください。

「まず変わらないところは、とても正直であるというところだね。彼は自分の恐怖心、弱点、そして強さも知っている。そして、誰に対しても悪口やねたみを言わないんだ。あと、お金のことも口うるさくないよね。ロッキーに関してただひとつ変わったことは、彼を取り巻く環境だよ。愛妻が亡くなり、子どもが親元を去る。これは一般的にとっても本当につらいことなんだ。年をとって、自分自身がそれほど変わっていないのに、周りが変わってしまう。彼は30年前のままだが、物事は変わってしまう。そしてロッキーは“人生はタフだ”ということに改めて気づかされるんだ。そして、人生は万人にとってフェアではないということも」

1作目を彷彿とさせるシーンも多数登場
1作目を彷彿とさせるシーンも多数登場

――心にグッとくる印象的なセリフがいくつもありましたが、ロッキー語録の中でスタローンさんが一番大好きな言葉、そして日本のファンへのメッセージお願いします。

「やっぱり、今回の映画で一番重要な『大事なのはどれだけ強く打つかではなく、いくら強く打ちのめされても、こらえて前に進み続けること。そうすれば勝利をつかめる(It ain't how hard you hit; it's about how hard you can get hit, and keep moving forward. How much you can take, and keep moving forward. That's how winning is done.)』っていう台詞だね。最初は『Yo, ADRIAN! (よー、エイドリアン!)』って叫ぶところかなとも思ったけどね(笑)。でも、これがシリーズを通して一番印象的なんじゃないかな。これ以外にも『あんたには全盛期があったかもしれないが、俺にはそんなのない。なにもないんだ!(At least you had a prime! I had no prime, I had nothin'! )』とか、エイドリアンと反対のことを言い合う『あんまり脳みそがないんだから、身体を鍛えろよ!(You weren't born with much of a brain, ya know, so uh, ya better start using your body, right?)』とか、『ロッキー』1作目には面白い台詞がいろいろあったんだよ」

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