劇場公開日 2002年5月11日

スパイダーマン : インタビュー

2002年5月1日更新

生みの親、スタン・リー インタビュー

「人生のピークがまた来た気分だよ」

町山智浩

アビ・アラド(プロデューサー)とスタン・リー
アビ・アラド(プロデューサー)とスタン・リー

ハリウッドは今、スタン・リー・ブームである。なにしろ「スパイダーマン」に続いて「超人ハルク」「デアデビル」、そして「X-メン」の続編と、スタン・リー原作のコミックが次々と映画化されるのだ。「人生のピークがまた来た気分だよ」。70歳を越えたアメリカン・コミックの大家は豪快に笑った。

――「スパイダーマン」にはエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされてますね。

「実はたいした仕事はしてないよ。シナリオを読まされたから、『スパイダーマン』という物語のエッセンスをちゃんと掴んだ脚本だね、と言っただけさ」

――「スパイダーマン」のエッセンスとは何ですか?

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「スパイダーマンになるピーター・パーカーは叔母さんに育てられたんだが、シナリオで叔母さんはピーターを心配してこう言う。『あんまり無理しないでね。スーパーマンじゃないんだから』(笑)。スパイダーマンはスーパーマンと違って、たまたま超能力を持ってしまった、ごく普通の少年なんだ。ピーターはバットマンのように金持ちじゃなくて貧乏だ。クラスの人気者のスポーツ選手でもないし、ハンサムでもない。コミック・ブックの読者が『まるで僕だ』と共感できる人物だ。今回の脚本はそれがよく描けているよ」

――内気でひ弱というピーターの性格にはあなたに似た部分がありますか?

「彼に限らず、私が創造したすべてのキャラクターはどれも私自身を反映している。彼らの言葉や行動は結局、私の頭から出てきたものだから。悪役ですら、私のなかの邪悪な部分の反映しているんだ」

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――今回のスパイダーマンは体の中から蜘蛛の糸を発射する設定になっていますね。原作ではピーターが作った腕輪から糸を出すんですが。この変更について怒ってるファンもいますが。

「TV版の『超人ハルク』を覚えているかい?」

――ルー・フェリグノが緑の大男を演じたやつですね。

「TV版のハルクは『うがー』と唸る以外に一言もしゃべらない。私の原作では『おれ、ハルク』『ハルク、怒った』ってしゃべるのに(笑)。TV版のスタッフが『それは滑稽ですよ』と言うから私は納得したんだ。今回のウェブ・シューターも映画のほうがリアルなんじゃないかな。スパイダーマンはマンハッタンの摩天楼を何十メートルも糸でスイングして行くだろ。そんな大量の糸は、小さな腕輪には入らないからね(笑)」

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――サム・ライミの「ダークマン」はご覧になりました? すでにビル街のスイングをやっているんですよ。

「もちろん観たよ。あれはコミック原作じゃないけど、最良のコミック・ヒーロー映画だ。彼になら『スパイダーマン』を任せられると確信したね」

――あなたは「X-メン」にニューヨークの路上のホットドッグ売りとして特別出演してましたが、今回の「スパイダーマン」はどうですか?

「またしてもニューヨークの路上のモノ売りさ(笑)。ピーターにサングラスを売りつけるんだ(笑)。完成版からはカットされたけど、DVDで観られるよ(笑)」

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