「化石となりつつあった魔法の国を現代によみがえらせた功績が見事」ハリー・ポッターと賢者の石 あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0化石となりつつあった魔法の国を現代によみがえらせた功績が見事

2024年1月8日
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「指輪物語」や「ナルニア国物語」といった魔法の物語を蘇らせたのが、「ハリー・ポッター」シリーズの最大の功績だろう。

本作はその第一弾。
ハリー・ポッターは、両親と死別していた。闇の魔法使いであるヴォルデモートと戦って死んだのだ。ハリーは生き延び、ヴォルデモートは体を失った。
ハリーはダーズリー家に引き取られていた。叔父夫婦はハリーを育ててはいたが、虐待していた。
叔父のバーノンと叔母のペチュニアはハリーの両親の死について知っており、彼らが魔法使いだったことも知っている。
だからだろうか、バーノンはハリーが魔法の世界(ホグワーツ魔法学校)にいくことを執拗に阻止しようとする。
それでもハリーは魔法の世界にいく。
ホグワーツでは、おなじみのロンやハーマイオニーといった仲間と知り合っい、マルフォイのような嫌味なキャラクターも登場する。
マルフォイの言動を見ていると、イギリスは階級社会であり、魔法使いの世界にもそういった意識が残っていることがわかる。
一方、ヴォルモートは、肉体を取り戻そうとしていた。そのために「賢者の石」が必要だった。

今のところ、魔法の世界は基本的にホグワーツ魔法学校以外は特定の場所に限られており、「指輪物語」のように広大な土地を旅するというスタイルではない。
ただし、現実と魔法の世界を行き来することで、行きて帰りし物語のプロットになっている。

勇気、友情、愛情といった要素だけでなく、イギリスの階級社会、孤児の問題といった現実的な問題も盛り込んでいる。

現実はつらくとも、あなたは孤独ではないし、未来を切り開くことはできる。これは、失業中だったJ・K・ローリング自身が自らに向けて語りたかったことなのかもしれないが、結果としては世界中に愛される物語となった。

製作費は180億円。興行収入は1,470億円。
これだけの成功をおさめたのは、もしかすると、多少の魔法を使ったのかもしれないが、我々普通の人間が希望を持つのにも十分な出来事だろう。

あふろざむらい