ハリー・ポッターと賢者の石 : 映画評論・批評

2001年11月15日更新

2020年11月6日よりTOHOシネマズ新宿ほかにてロードショー

ライバルは「指輪」じゃなくて「スター・ウォーズ」?

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ハリポタの特徴は、英国的な児童文学ファンタジーの伝統と、アニメ的な(おたく的な)軽さ/俗っぽさを融合させたこと。ポケモンやパワーパフガールと同時代のポップな学園ファンタジー。日本製マンガ/アニメと同じ文脈に置いてもほとんど違和感がない。

その意味で、クリス・コロンバスの映画版は英国の歴史と伝統を(あるいは原作の英国っぽさを)リスペクトしすぎている気もするが、アメリカの観客にとってはまさにそれがファンタジーなのだと思えばこれはこれで正解か。

いずれにしても、主役3人のキャラを完璧に掴んだ時点で、この映画の成功は約束されている。ダニエル・ラドクリフのハリーはもちろん、ロン(ルパート・グリント)もハーマイオニー(エマ・ワトソン)もすばらしい。

お子さま映画にもファミリー・ムービーにもせず、万人向けの作品に仕上げた手腕は賞賛に値する。

難点は、少々長すぎるのと、原作に忠実過ぎること。小説で読んでも説得力がなかったクィディッチのルールなんか、映画で見るともっと説得力がないもんなあ。1本の映画としては、クライマックスが著しく盛り上がりに欠け(チェスの場面はダメすぎ)、竜頭蛇尾の印象もあるが、シリーズ第1作としてはとくに致命的な傷にはならない。ジョン・ウィリアムズの音楽ともども、すでにインスタント・クラシックの風格だ。ライバルは「指輪(ロード・オブ・ザ・リング)」じゃなくて「スター・ウォーズ」?

大森望

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