蜘蛛巣城のレビュー・感想・評価
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シェイクスピア原作映画化の最高峰‼️
何が凄いかってシェイクスピア原作の世界観を日本の戦国時代にうまくを置き換えたこと、霧などの自然現象を利用して幽玄的な雰囲気を作り出したこと、本当に森が動いたように見える映像技術の素晴らしさ、三船さんのギラギラした演技と山田五十鈴さんのねっとりとした演技、誰も城主になりたくないと思う蜘蛛巣城というネーミング、本当に三船さんが射抜かれたとしか思えないクライマックスの無数の弓矢が放たれるシーン、シェイクスピアの世界観を表現するために能楽の様式美を持ち込むという天才的な発想‼️誰も真似出来ないですね‼️
昔も今も変わりなし。人の心が一番怖い。
ロンドンの王立劇場の柿落としで上映された際、恐怖のあまり失神者が続出したと言われる、なるほど怖い。怖いだけでなく、最初から最後まで一瞬の遊びもユーモアもなく(黒澤作品には珍しく)緊張が強いられる。疲れた。
そりゃ失神するわ。
黒澤作品は、若い頃は「用心棒」や「赤ひげ」などの分かりやすくて面白いのが好きだったけど(「七人の侍」は別格)、年とってくるとこの作品が一番すごいんじゃないかと思ってきた。
一番繰り返し観てるかもしれない(「七人の侍」は別格です)。
初めて観た時(もちろん初公開時じゃなくてリバイバルか名画座で)は、物の怪と騎馬での疾走と蜘蛛手の森とラストシーンがあまりにもインパクトが強く気付かなかったことが多かったけれど、観るたびにすごいことに気付かされる。
三船敏郎すごいけど、山田五十鈴すごいなぁ。でもやっぱり三船敏郎すごいや。ってすべてがそんな感じ。
スタッフもキャストもすごい。物の怪おちょやんやし。
CGのない時代(CGもすごい技術がいるんだとは思いますが)、ひとつひとつのシーンにかける時間、労力、知恵が現在とは比べものにならなかったのだろう。
面白くなるはずだ。
三船さんはアクションスターだ。
「影武者」「乱」、そして「スター・ウォーズ」も三船さんが出てたらもっともっと面白くなってたろうなぁ。
4Kリマスターで劇場で観ることができるしあわせ。
午前十時の映画祭ありがとう。
ただ、観客三人。もったいないなぁ。もっと映画館を選べないのかなぁ(劇場のスタッフまるでやる気なし)。上映館増やしてほしいなぁ。上映時間も朝一度だけでなく夜の回でもやってほしいなぁ。
東宝さんも、アニメやテレビドラマの劇場版に力入れるのはいいけど、自社の宝物再上映すればいいのに。
宣伝費かけて「七人の侍」IMAXで全国公開したら絶対ヒットするよ。劇場で映画を観る楽しさ気づいて映画人口も増えると思うけどなぁ。
サド・クロサワ
三船敏郎のドキュメンタリーで知り、前から観たかった「蜘蛛巣城」を、午前十時の映画祭にて鑑賞。すごい良かった。大満足。イントロから妖しい雰囲気で、モヤを使って過去と現代を橋渡し。ありがちな手法だけど、やはりうまい。
三船と千秋実が並んでると、三船の顔の濃さが目立つ。まるでイタリア男のようだ。その三船がギョロっと目を見開くと、なかなか鬼気迫るものがある。三船には能っぽさはないが、山田五十鈴は能っぽい。表情なく衣擦れの音とともに動く。面をつけて摺足で歩く役者のようだ。
この時代の俳優は、本当に馬の扱いがうまい(いや、シャレじゃなく)。山道を全速力なんて、今じゃありえないでしょ。三船と千秋の2騎が山中を駆け抜ける姿を、木々の間から撮るところは、黒澤のサド具合がよくわかる。あんなの何度もやらされたらキレるだろうなぁ。けっこう長い尺使ってたから、長時間騎乗してたのではないかと思われる。ほんとにご苦労さまです。
でも、黒澤のサディストぶりは、終盤の矢が頂点ですな。怖いよ〜。よくぞご無事で。昭和って濃いね。熱いね。
恥ずかしながら
初見です。テンポ悪いと感じるのは毒されてしまったのか?実際の城とか大勢の軍兵の再現って、演劇とは真逆の考え。一度なら良いが「影武者」「乱」と続けられると・・・1年後の「隠し砦」は面白かった。
人が蜘蛛の巣に掛かる…
三船敏郎さんは、黒澤映画で、善役でも悪役でも出るが、この作品は悪役の方で
出た物の秀逸。
現実の歴史に忠実であるかは不明だが、戦国時代には、こういう下剋上は多く
あったと推測できる。
多くと書くと「ネタバレ」となるので書けないが、クライマックスの「森が歩いて
やって来る」とか「人が蜘蛛の巣に掛かるような、弓矢の雨嵐」は、逸品。
心の底には何がある
楚々とした風情とそそのかし、信頼と疑心暗鬼、矛盾したものを抱え込んでいる人間の本性を山田五十鈴が具現していた。彼女の動きも静も全て計算されたもので美しく空気に緊張感が漂う。山田五十鈴でなくてはできない。歩み、暗闇からぼーっと現れるこの世のものではないような姿、無表情に見えて豊かな能面の顔に声、衣擦れの音がこれが能でないことを気づかせてくれる。
三船敏郎といい志村喬といい、立派な顎と口に日本の男の脚と足。三船敏郎の声としゃべり方はあまり好きでないが、姿と表情がこの映画では素晴らしい。最期の姿、どうやって撮影したんだろう?演出、撮影、照明、ヘアメイク、衣装全てのレベルが高い。
この映画では、本物のカラスを使っている
マクベスだから仕方ないが、先日見たA24のマクベスと効果の部分で一緒だと思った。しかも、リスペクトの範疇なのだろうが?
カラスの飛翔はこの映画では、本物を使っているが、あのマクベスはCG,
大変に汚く感じた。
舞台劇なのだから、仕方ないが、動作が大袈裟なのは仕方ないが、少しばかり気になった。
ナショナルシアターのリア王を見たが、同じ悲劇に合う、同じシェークスピア作品の王様は、怯え以外に開き直ったお道化があったような気がする。まぁ、仕方ないが。
字幕で見るべし
ストーリー:見事な武功で大殿の危機を救った2武将は出世を果たすが、それは登城中に出会った物の化の予言通りだった。
これは文句なしに面白い。ストーリーと言い、画作りと言い、迫力と威厳があって飽きさせない。
音声が不明瞭なので字幕ありの設定で鑑賞する事をお勧めします。
今週の気付いた事:手はよく洗いましょう、洗って落ちる汚れならば
蜘蛛の巣城
能の舞台を参考にしたような緊迫感のあるセリフの調子。森で遭遇する浪花千栄子の妖怪の気味悪さ。黒沢監督がこの時代の話がとても好きだということががはっきりと伝わってくる。
「戦国時代にタイムスリップしてみたい…」と思っていたに違いない。でなければこんな演出の映画は作れない。世界に誇れる素晴らしい映画だけど 最後があっけなくて物足りない…(;_;。もっとじわじわと鷲津(三船)が他の家臣に疑われ 追い込まれていくような場面を長く作っていたら もっと素晴らしい映画になっていたと思う。
1957年のクロサワがいる
50年以上前の映画。
とくに引き気味で能舞台のような映像の美しさと、その中の三船と山田五十鈴が迫真の存在のすばらしさ。
富士山のふもとにこの巨大建物をたて、霧ただよわせと雨を降らせる。構想力が圧倒的だ。こんな監督を彼以外知らない。彼は俳優に演技させない。俳優が役柄とおなじになるまでとことん追い詰める。演技など求めていない。その方法論が映画を唯一にしている。
彼の日本映画だから2020年でも生きている。
白黒映像をこれほど美しいと思うのは黒澤映画ならではだろう。幻想的で...
白黒映像をこれほど美しいと思うのは黒澤映画ならではだろう。幻想的でもあり、生臭くもあり色々な要素が見事に詰まっている。ラストシーンの迫力は圧巻。
いや〜面白い。さすがは世界の黒澤。 物の怪老婆の予言が如何に実現し...
いや〜面白い。さすがは世界の黒澤。
物の怪老婆の予言が如何に実現していくかの話。そこに見え隠れする人間の性。
山田五十鈴の怪演がお見事。三船が「俺を殺す気か」と激怒したラストシーンも迫力満点。
もう何作見たかな。黒澤明のすごさを痛感します。
白黒かつ膨大な予算を動かせるであろう黒澤組ですら、この蜘蛛巣城で理...
白黒かつ膨大な予算を動かせるであろう黒澤組ですら、この蜘蛛巣城で理想のカットを撮れたかというと、違うだろう。合戦はおとなしく、森は小ぢんまりと迫る。黒澤明は予算も時間も超過すると言われるが、正論はどちらか明白だろう。
望遠レンズを使って矢を受けるシーンを撮ったという裏話が記憶に残る
シェイクスピアの『マクベス』を基に戦国武将の物語にした作品。この頃、“能”を中心とした日本の美にこだわりを持つようになった黒澤。城内でも能が演じられているし、予言をする物の怪の雰囲気は違った意味での美が感じられる。
鷲津にしか見えない幽霊のような描き方はどことなく溝口作品をも感じてしまう。それにしても圧巻のクライマックス。次々と放たれた矢が三船敏郎を襲う。彼が「死ぬかと思った」と回顧するほど無茶苦茶なことをやっていたようだ。まぁ、このシーンがこの映画の目玉であるわけだが・・・
完璧では無い脚本が完璧な映画を作る。
もちろんシェイクスピアのマクベスという素晴らしい原作があるのだが映画脚本としては決して優れているとは言えない。むしろ優れた脚本を書こうとはしていないようだ。原作が舞台であることから舞台を意識した脚本になっている。だから映画としては地味すぎ、説明的すぎる部分もかなり目立つ。例えば、危機を逃れたの若者が、その後どのように怒っているかというところは普通は脚本に描かれる。あえて城と森からカメラを出さないことによってまるで我々が舞台という限られた一面しか見ていないかのような錯覚を与えているのである。そのような制約を設けた脚本から黒澤明はこのような素晴らしい映画を作った。この映画の素晴らしさはそのスローペースにあるのだろうと私は思う。話の展開そのものはスピーディーに進むのであるが、ひとつひとつのシーンが極めてスローに進む。その絶妙な演出が素晴らしい。またカメラは基本的には静止しているのだが時折まるで生き物のように動く。静と動のバランスが素晴らしい。または三船敏郎の甲冑姿がすばらしく良く撮れている。前半はストーリーの退屈さをカバーするために甲冑姿をアップで美しい角度からたくさん撮ってている。クライマックスあたりになるとわざとそれを抑え極端な煽りとかを使って真正面から撮らないようにしている。そして最後の最後に真正面から美しく…私はあのシーンを敢えて美しいと表現するが…捉えているものにカタルシスを与えているのである。また城の造形とその造形を美しく見せるカメラワーク、軍兵、馬、軍兵の持つ旗などが動く動きの美しさ、面白さと言ったら極めつけである。
もっとも素晴らしい映画とは新しいイマジネーションを生み出している映画だと私は評価する。これは1つの最も素晴らしい映画であり黒澤明の代表的な傑作の一つである。
もしかしたら本作は黒澤監督による、溝口監督への追悼作品であったのかもしれません
マクベスの翻案であるというのは有名なので、筋書きは最初から決着まで誰もがどうなるのかどう展開するのかを見通して本作を観ているはずです
それでも面白いのです
いや、分かっているからこそ一層面白いのです
なるほどこう移植されるのかと納得して、整理されている脚本にまず感心するのです
そうして能の要素を駆使していることによって、日本の美意識、諸行無常の死生観をこの西洋の物語に注入することによって、完全に日本の物語にして映画として観せていることに驚嘆するのです
その映像世界は溝口健二監督の作品世界を思わせます
特に山田五十鈴が演じる奥方の主人公への献策シーン、中でも大殿の殺害を教唆するシーンや懐妊告白のシーンは、雨月物語での彼女の出演シーンを彷彿とさせるものです
そのシーンを含め正にカメラもワンシーン・ワンカットの長回しで異常な緊張感をもたらす溝口監督の作風が本歌取の如く多用されているのです
溝口監督は本作公開のわずか4ヶ月前に白血病で急死されています
もしかしたら本作は黒澤監督による、溝口監督への追悼作品であったのかもしれません
それでいて第一級の娯楽作品なのです
クライマックスの雨あられと飛来する矢射けのシーンはありとあらゆる弓矢の戦闘シーン、銃撃戦を含めても古今東西の映画に勝る迫力です
CGを駆使できる現代であっても、いやだからこそこの迫力はだせないのです
三船敏郎の恐怖に歪む顔は嘘偽りのない本物の恐怖です
こんな演技はできるものではありません
本物だからこその迫力があるのです
蜘蛛巣城の巨大セットもまた画面のスケールと物語に於ける強欲の巨大さを見事に表現しています
夜に大量の鳥が場内に飛来するシーン
もしかしたらヒッチコックの鳥のインスピレーションの出発点だったのかも知れないと思いました
それほどの不気味な迫力のあるシーンでした
こんな映像は当時全く誰も観たことのないものだだったはずです
世界最高峰の映画の一つといって間違いないと思います
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