春の画 SHUNGA

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春の画 SHUNGA

解説

江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた「春画」の美の世界に迫るドキュメンタリー。

葛飾北斎、喜多川歌麿ら名だたる浮世絵師たちが情熱を注いだことで知られる春画。絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術によって数多くの名作が生み出されたが、明治時代になると「猥褻画」として警察の取り締まり対象となり、日本文化から姿を消した。そして近年になってようやく、出版物や展覧会を通してアートとしての再評価の機運が高まっている。

ディレクターとして数々のドキュメンタリー番組を手がけてきた平田潤子監督が、北海道から九州、海外にまで足を運んで美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、画家に取材。バラエティ豊かな傑作の数々を美しい映像で映し出し、エロティシズムだけにとどまらない多彩な表現内容や技巧、創造性に富んだ春画の魅力に迫る。さらに春画をアニメ化し、江戸時代の人々が親しんだその世界をいきいきと描く。アニメパートでは俳優の森山未來と吉田羊が声の出演。

2023年製作/121分/R18+/日本
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2023年11月24日

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(C)2023「春の画 SHUNGA」製作委員会 「袖の巻」鳥居清長・画(浦上蒼穹堂)

映画レビュー

4.5笑い絵としての春画の魅力

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

タイトル通り春画を題材にしたドキュメンタリー映画である。春画はながいこと公的に封じられてきた歴史を考えると、こうして商業映画として春画が描かれることは、結構快挙だ。自分たちの国の文化の魅力を自分たちで発信していくことは大事なことである。

春画と表現の自由を考えるドキュメンタリーとしては『春画と日本人』があったが、こちらは春画の魅力そのものに迫る内容だ。
春画の彫りの細かい技巧の巧みさや内容のユニークさ、それを当時どのように楽しんでいたのかが専門家や市井のコレクター、アーティストの口から語られる。春画そのものもたくさん画面に登場する。男女が平等に性を楽しめる表現として春画はあったのであり、展覧会にも女性客が多く詰めかけているという。春画をアニメーション化して森山未來と吉田羊が声を当てているシーンがいくつかあるんだけど、これが本当に面白くて笑える。春画は江戸時代「笑い絵」と呼ばれていたそうだが、まさに笑える部分も含めて魅力をたっぷり見せてくれる。

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杉本穂高

2.5蛸と海女のアニメーション良かった🤤

2024年1月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

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みき

4.0春画の芸術

2024年1月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

江戸時代に隆盛を極め、葛飾北斎、喜多川歌麿ら名だたる浮世絵師たちも描いた春画は、絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術によって数多くの名作が生み出された。しかし、明治時代になると猥褻だとして取締りの対象となり、日本文化から姿を消した。しかし、最近になって、出版物や展覧会などを通して芸術としての再評価の機運が高まってきた。
平田潤子監督が、日本国内のみならず、海外まで行き、美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、画家に取材を行い、傑作の数々を美しい映像で、エロだけではない多彩な表現内容や技巧、創造性に富んだ春画の魅力に迫る、というドキュメンタリー作品。

ここまでじっくり春画を鑑賞したのは初めてで、その技法の凄さ、繊細さ、難しさ、など芸術として素晴らしいものだと知れて良かった。
欧米と日本の違いを説明してくれる外国人がいたが、日本は超一流の画家が描いてるが、欧米ではそうではない、と言うのがとても印象的だった。
何でも極めた人の作品は本当に良いものなんだと納得した。
観れて良かった。

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りあの

3.0春画、猥雑さ故の自由

2024年1月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

春画は、鈴木春信、喜多川歌麿や葛飾北斎といった江戸浮世絵の巨匠たちによって描かれ、その技術的精巧さと芸術性ゆえに再評価が始まっているが、ご存じだろうか?

北斎の「蛸と海女」や春信の「艷色真似ゑもんシリーズ」をはじめとするその想像力、バライエティーの豊かさから江戸時代の人々の性に対する開放的な姿勢がよくわかる。そしてその根底には男女対等や女性の性的楽しみを肯定する姿勢がある自由な表現の場として機能していた背景があるようだ。

過剰といえる陰部と男女の行為描写は子だくさんの願いと表裏一体の関係にある。春画は平安時代から性教育の指南書や嫁入り道具として、さらに戦争に行く兵士がお守りにしたりと、春画が持つ文化的価値の多様性を示している。

制作には一流の絵師だけでなく、彫り師や摺り師も協力し、その結果として生まれる緻密な表現としての質の高さは、検閲する御上の目に触れない自由な場でしか発表できない至高の逸品といえるでしょう。

この「色好み」は伊勢物語から西鶴、谷崎潤一郎に至るまでの単なるエロティックな系譜の表現上にあるという指摘にとどまらず、画家・会田誠の言葉にあるように、春画は近代的な価値観に対するアンチテーゼとなり得る新たな見方も提供しているのではないか。

つまり、明治時代に入り「猥褻画」と見なされ、日本文化から姿を消した春画ではあるものの、翻って世界の美術史を眺めてみる。すると海外の画家たちが裸婦を描く一方で、春画は性行為を具体的に描写していて、春画は西洋美術とは異なる日本独自の表現として際立っている。それはまた性的行為表現の自由と規制に関する現代の議論にも重要な視座を与えているということであろう。

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ジャパニーズ先住民
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