キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

劇場公開日:

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

解説

マーティン・スコセッシ監督がレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーンら豪華キャストを迎え、実話を基に描いた西部劇サスペンス。

1920年代、オクラホマ州オーセージ郡。先住民であるオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして莫大な富を得た。その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める。

ジャーナリストのデビッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作に、「フォレスト・ガンプ 一期一会」などの脚本家エリック・ロスとスコセッシ監督が共同脚本を手がけた。第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、撮影賞など10部門でノミネートされた。

2023年製作/206分/PG12/アメリカ
原題:Killers of the Flower Moon
配給:東和ピクチャーズ
劇場公開日:2023年10月20日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第47回 日本アカデミー賞(2024年)

ノミネート

最優秀外国作品賞  

第96回 アカデミー賞(2024年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 マーティン・スコセッシ
主演女優賞 リリー・グラッドストーン
助演男優賞 ロバート・デ・ニーロ
美術賞  
撮影賞 ロドリゴ・プリエト
衣装デザイン賞  
編集賞 セルマ・スクーンメイカー
作曲賞 ロビー・ロバートソン
主題歌賞

第81回 ゴールデングローブ賞(2024年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) リリー・グラッドストーン

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) レオナルド・ディカプリオ
最優秀助演男優賞 ロバート・デ・ニーロ
最優秀監督賞 マーティン・スコセッシ
最優秀脚本賞 エリック・ロス マーティン・スコセッシ
最優秀作曲賞 ロビー・ロバートソン
詳細情報を表示

特集

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

映画レビュー

5.0スコセッシの限界ゆえに生まれた恐るべき怪作。

2023年11月30日
PCから投稿

本作にコンサルタントとして関わったオセージ族が、加害者である白人男性が主人公として描かれていることに複雑な胸中を表明したように、特権側の白人男性である監督がネイティブ・アメリカンの悲劇的な歴史を描く上で、どうしても限界が露呈している作品ではあると思う。しかし、原作では比重の大きかった白人捜査官を脇役に追いやり、関係者の中でも飛び抜けて情けない加害者を主人公に置いたことは、この連続殺人事件のどうしようもなさを描くにあたって現実的な策のひとつではあったと思う。

なぜ人はこれほどの愚行をしでかすのか。そして歴史的に愚かな蛮行はなぜ止むことがないのか。もちろん悪意が存在するからにほかならず、それをデ・ニーロ扮するキング・ヘイルが体現しているわけだが、キング・ヘイル単体で成し遂げられる悪徳などたかが知れている。ヘイルは自分よりも意志薄弱な者を操り、利用して、間接的に他人を支配する。その支配された側であるアーネスト(ディカプリオ)は、間違いなく加害者なのだが、同時に、日和見で長いものにまかれて、お人好しだけど善良ではない大衆の代表として機能している。

100%オセージ族の視点からこの歴史を描けばまたまったく違う物語になっただろうし、それはそれで非常に興味深い作品なはずでぜひ観てみたいと思うが、スコセッシが、ディカプリオがこの映画にアプローチしたときに、われわれはたやすく悪に加担する弱さを持っていることを明らかにする映画が生まれたことは、彼らが自分たちの限界を知った上での誠実さだと思うし、映画が、演技が、生き生きと輝きすぎていることは諸刃の剣ではあれど、人間のダメさを容赦なく描いた凄い作品であることは間違いないのではないだろうか。

コメントする (0件)
共感した! 10件)
村山章

5.0スコセッシ流の語り口のビートが3時間26分、一向に途切れない

2023年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

これは並外れた怪作である。まず驚かされるのは、冒頭のボルテージMAXの大噴射シーン。それを起点に3時間26分、いっさい弛まぬ物語のビートがゆっくりと魔術的なまでに高鳴り続ける。そこに現れる顔、顔、顔。ディカプリオ は若き日の精悍さとはまるで次元の違う底知れぬ人間性の境地へと辿り着き、口をへの字に曲げた表情などはジャック・ニコルソンの再来かと思えるほど。さらにデ・ニーロの温厚な中にクセある味わいが加わり、リリー・グラッドストンの芯のある眼差しが崇高さを添える。このアメリカの血塗られた歴史を象徴するノンフィクションを、ストーリー仕立てに脚色したエリック・ロスの筆致も実に見事。そしてなんといってもスコセッシの重厚な采配が冴え渡る。あらゆるシーンに乾いた凄みが迸ると同時に、人間の愚かさ、おぞましさ、口が開きっ放しになるほどの滑稽さと不可解さが詰まったエネルギッシュな仕上がり。その語り口を堪能した。

コメントする (0件)
共感した! 32件)
牛津厚信

5.0ディカプリオのダメ男ぶりがかつてないほど秀逸

2023年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

3時間26分。近頃長くなった映画の中でもダントツの長さだが、人にもよるだろうが体感時間は約2時間超。理由は、エリック・ロスの脚本と、それを手にしたマーティン・スコセッシの演出が、1920年代のオクラホマ州、オーセージで連続する先住民の不審死事件を、終始サスペンスタッチで描いているから。それも、観客の頭の中に早くから真犯人が浮かんでいるのにも関わらず、作劇が面白過ぎて全然退屈しないという奇跡のような作品だ。

作劇の基軸になるのは、石油鉱業権を取得した先住民、オーセージ族と白人の関係性が逆転したことによる不協和音というか、不吉なムードというか。

やがて、映画がアメリカの近代史の隙間に埋もれていた、どんな人種差別よりもえげつない恥部を炙り出し始めると、漂う空気はサスペンスから社会派ドラマへとシフトして行く。そして、そんな暗黒の時間に訳もわからず取り込まれ、利用されるディカプリオ扮する帰還兵、アーネストの存在が、余計に歯痒く、見る側の心を抉りまくる。今回のディカプリオのダメ男ぶりはかつてないほど秀逸だし、彼を介してこの物語にもう一つ痛烈な基軸を構築した脚本と演出の力には、改めて恐れ入る。

来るオスカーのフロントランナーという評判は正しかった。

コメントする 2件)
共感した! 60件)
清藤秀人

4.0先住民という概念を改めて考えるきっかけに

2024年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

先住民。元々そこに住んでいたのにも関わらず、
時代の流れに飲み込まれた彼らの部族のうちのひとつ
「オーセージ族」
彼らに対する謎の大量殺人が行われた事実から、
FBI発足のきっかけまでが丁寧に描かれていて。

この映画は全編を通して、人の弱さと強さを描いていたように思いました。
とにかく長い。長いけれども、長いからこそ見ながら考えることが出来る。
私にとってはそんな存在となった映画でした。

劇場で観た時、次々と亡くなっていく先住民の人々。
噂の範疇にすぎないけれども、皆が感じていた
「オイルマネーのために殺された」という状況証拠。
そして家族を疑わなくてはいけない状況の中で、
かろうじて壊れずに気持ちを保った女性。
家族を大切にしたいという気持ちと叔父との間で、惑い、
流されていく主人公。

雨の音、虫の音。
そして人の声。

劇場でこそ味わえる、考えることだけが出来る時間。

観る前に感じていたよりも、より深いアメリカの先住民の方々との歴史を
人の弱さを感じた一作でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ひなたんく
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る

他のユーザーは「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」以外にこんな作品をCheck-inしています。