夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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地味ですが良心的な作品でした
評判が良さそうなので見てきました。
経営者からすると頭の痛いテーマの作品です。
PMS(月経前症候群)とパニック障害で悩む男女二人の生活を丁寧に描く良作です。
二人を支える周りの人たちも過去に傷ついた経験があり優しく見守ります。
安易に恋愛関係になったり、お涙頂戴ものにしてないのも好感が持てました。
ドラマチックな展開はほとんどなく日常描写が続くドキュメンタリーのような作品ですが
心が癒される雰囲気が良かったです。おススメ度は普通のやや上です。
同情はしない
カメラは登場人物の意志や行動に向けられる。
しんどい部分、
つらい状況よりも、
フォーカスされるのは意志と行動。
同情はしない。
積極的とはいえないが強い意志、
消極的ではない小さな行動にピントは絞られる。
ヘアーカット、洗車のシーンは、少しズレた意志と行動を、
ユーモアで包む。
本人たちは、
互いのトリセツを発見したように良かれと思ってマッハ50で駆け抜けて、
ダウントリム90で沈みゆく、、、
自分たちはそんなタイプの人ではなかったのに、いつのまにか半歩踏み出していた、、。
絵作りも全カット、
全力で全パートが取り組んでいるのだろう。
カメラのフレーム内は、
基本的に人物の上下左右、
奥の奥まで空間を作り、
その空間には、
富士山、電車、ニワトリ、電灯、飲み物、コンセントの位置、クッションの置き方、本等美術装飾が密度の濃い飾りを仕込み、効果音、音楽も適材適所、素晴らしい。
全体的にポジティブな言動、
OK、
そのままでいい、
ありがとう、、、、
唯一NGを出すのはダンくん、
おもしろすぎる。
率直さにハッとさせられ、
無邪気さにニヤっとさせられる。
それらを集約して、
時空を超えて照らされる光は・・・
そして夜明けが来る。
【蛇足】
満席になってるのが嬉しい。
一見、何も起こってないような、静かな逸品が確かな眼力の人たちの間で話題になっているのだろう。
料理が美味しい理由は、
味の素、グルタミン酸ナトリウム、
化学式は書けない、
が、
おもしろさのうまみ、
感動の理由は何⁈
全カット、静止画で、
化学式風に、
何が凄いか説明したい!
(もちろん、的はずれのズレてる説明)
洗車のシーン、
洗剤が蠢く窓越しの人物、
カサヴェテスのグロリアの、
車内に弾丸を撃ち込む、
窓越しのグロリアみたいだった。
アポロ13より、スペースカウボーイより、
気になった。
前作についてはyoutubeで16㍉の苦言まで話してまーす!
♪月が空に張り付いてらー、
銀紙の星が揺れてらー、
誰もがポケットの中に孤独を隠し持ってるー♪
日常の、現状を知る映画
正直、上白石さんを拝見するために鑑賞しました。以前からカバーソングとかよく聴いてて、なんとなくファンです。
映画の内容はタイトル通り、日常で苦しんだりヒステリーやパニックになったりする事情を知ったような気分になる勉強になる映画だったと思います。色気も格好良さもありませんので、休日の娯楽とするのは辛いかも知れません。
上白石さんが演ずるところの主人公がPMSという症候群をお持ちと云うことで、突然にキレだしてしまう人の日常を描いた作品ということですが、「ああ、そういう人いるなあ」と感じました。ただ、この映画ほど重くは無いのかもしれないけど、やっぱり声を張り上げて切れる人や、依存症、症候群、恐怖症等々、みんな何らかの病的な問題を抱えていて、生き辛さを感じているのだろうなと思う。それでもお互い理解しながら生きていく。エンディングのスタッフロールで和やかな会社の日常を写す締めくくりはそういうことかと想いました。ちょっとキャッチボールはやり過ぎかなw でも、松村北斗さんの演ずるところの人物が、最初はぶっきらぼうだったのが、お菓子のやり取りにも慣れて、現在の仕事を続けていくことを決意し馴染んでいく姿は、良い成り行きだったと思います。でも移動式プラネタリウムの会社だったら素敵だし誰でもやりたくなっちゃいますね。
病症については色々議論が生まれそうな話だと思います。「蓋を開ける音を立てるな。水ばっか飲んでないで仕事しろ」ってキレるのも、ヒステリックなキレ方は問題だとしても、よく考えてみれば、非常に真っ当な意見ですよね。モヤモヤしたまま、みんな腹の底で思っていても口に出せない。中には溜め込まずにポイポイと周囲にツッコミ入れるような人も居ますが。そういう人、口やかましいけど、案外良い人だったり。
漫画「銃夢」の登場人物、ノヴァ博士の「この世に正気と狂気など無い。あるのは一千の貌(かお)の狂気だけです」というセリフ。この映画に例えて云うなら、「この世に健康な人なんて居ない。居るのは一千の病人だけ」なんでしょう。病病看護ということでしょうか。上白石さんが仕事の斡旋を受けるときにも、相手が子供の電話に出ているところも印象的でした。誰もが何か問題を抱えている。松村北斗さんがパニックしている上白石さんを上手く誘導していましたが、私達だって病人なんです。「みんな病人なんだからお互い理解し合おう」と言われたって、みんな病気で弱気だからやっぱり怖い。パニックの相手を責めるつもりは無いけど、距離を置きたくなるのも仕方ない、というのが、こういう場合の私の意見です。
映画として、内容はごく普通の日常を描いているようで、「上白石さんがいつキレ出すのか」、それがハラハラドキドキでした。ああ、ここで来るのか、おいおい、プラネタリウムの途中でキレたらどうするんだ、などと心配でたまらない。ちょっとしたホラー感も感じました。それほどに上白石さんのキレ芸のキレ味が凄まじい。
最後に、これはまったくの余談ですが、私が見た2024年2月15日の10時8分。京都河原町で鑑賞していたのですが、劇中で地震が起こって停電になるまったく同じタイミングに、震度3マグニチュード3.7の地震が現実に起こりました。一瞬、映画館の演出装置なのかと思い込んだぐらい、奇跡的な同じタイミングです。これはニュースにでもして良いくらいです。でもこんな奇跡、先の災害があっただけに、起こってほしくないですね。
(追記)
時間をおいて少し考えて見たのですが、上白石さんがプラネタリウムのナレーションをしていたシーンは、松村北斗さんが職場に馴染んだ変化と同様に、PMSという症候群を抱えながらも成長した成果を現すシーンではないかと考えます。そういう症候群を抱えていることを知りながらも、会社の同僚達は上白石さんに任せてみようと見守っていたのかと。勿論、これは私個人の解釈に過ぎません。
それにしても、やっぱり上白石さんのナレーションは素晴らしかったですね。町工場のようなところで、あれほど上手にナレーションができる人はそうそう居ないでしょう。そこだけは非現実的でしたw
北極星を道標に。
予告の感じから勝手に心に問題を抱える男女の恋愛映画と思っていたので、この展開は予想外。目には見えない病のことを分かりやすい表現で掘り下げていて重くなり過ぎず、かと言って決して簡単でもなくとても考えさせられる内容でした。
家庭用のプラネタリウムを作っている社員数人の小さな会社で働く、長年PMSに悩まされている藤沢さんと2年前にパニック障害の診断を受けた山添君。突然キレ出したり、発作を起こしたりする二人を周りの社員さん達が大袈裟にしたりせず、寄り添って支える。そんな日々がまるで当然の事のように淡々と描かれている。
人と人とが何かしらの繋がりや関わりを持って社会生活は成り立っているのに、世界がこの小さな会社のようになるまで道程はまだまだ遠いと感じた。でも出来る事はある。私も近くで苦しい思いをしている人がいたら、理解する事、知る事から始めてみようと思った。
エンドロールの最後までブレることなく、そしてなんといっても上白石萌音と松村北斗が自然体でめちゃくちゃ良かった。
優しい気持ちになりました
病気が原因で周囲と繰り返しトラブルになる人、そういう人は今自分の周りにはいないけれど、寄り添うことが必要な人は身近にいる。
観終わった後で自分にも出来ることがあるはず、きちんと向き合わなきゃと思わされました。
素敵な映画を観ることが出来て感謝です。
胃がもたれないお茶漬けの味
1 傍目からは健康そうに見えても、心と体の不調を抱える男女が自分なりに歩んでいく様を描く人間ドラマ
2 粗筋はつぎのようなところ
月経前のいらいらが起因する病気により変人と思われる上白石とパニック障害を抱え無気力に見られがちな北村が主人公。上白石が転職していた小さな会社に北村が大企業から一時的に移り同僚となる。些細なことからふたりの関係は険悪となるが互いの病気を知ったことから助け合っていく。そして・・・。
3 本作は、粗筋の内容が主軸となるが、サイドスト-リとも言うべき会社内でのお仕事映画の側面もある。そしてこのことで作品に厚みと温かさが加わった。2人が勤めている会社の社長と北村が勤めていた会社の元上司は肉親を自殺でなくしている。このことで弱者に対する眼差しが優しい。病気のある二人に対しては、あくまでも普通に接しながら能力を発揮できるようバックアップしている。同僚達も気を掛け手を指しのべてくれる。こうした関係性は、最後まで一貫している。
4 映画のテンポはほぼ同じリズムを刻み、各シーンは恬淡にして深堀りすることはなく、切りの良いところで次に繋いでいく。三宅は感情に訴えることをせず、全体的にさらりとした演出で物語を紡ぎ、見る者に安らぎを与える映画にした。
5 上白石と北村の普通っぽさと最初のおずおずもぞもぞした関係性が次第に変わっていく様と光石研の渋い存在感が好印象
6 意地悪かもしれないが、心の中では「北村がいた社員のメンタルヘルスを大事にする会社は物語だけの世界。現実世界では病気を理解 されず、不当に扱われてしまうのではないか」と思ってしまう。
心暖まる映画です。
この映画を観た時間が有意義でゆっくり時間が流れる、また感じたい映画です。
また明日からも頑張ろうと思えました。
パニック障害の方など出会えた時、
私は力になれるのか微々でもなりたいと思えました。
綺麗事だと言われてしまえばそれで終わりですが、この映画を通してそう思えました。
優しい世界
優しい世界であっという間に読了した瀬尾まいこさんの原作と内容は少し変わっていたけど、優しい空気感はそのままでした。
フィルムで撮影されてたのかな、少し荒いぐらいの映像がとても良かった。
萌音ちゃんの心地よい声でのプラネタリウム見たくなったな〜。
みんな
何か抱えながら生きてるんだなと思います。
PMSやパニック障害など名前が付いた症状であったり、名前のつかない症状だったり…親の介護や家庭の事情、人間関係。何も背負ってない人はこの世にはいないので、他人に少しでも優しくできれば良いなぁとこの映画を見て改めて思いました。
あと、ここに出てくる会社ってめちゃくちゃホワイトだよね?羨ましすぎ…と思っちゃいました。
ホリプロ発だけど意外と観れるよ
冒頭の語りが全体を表していると思う。聞き手を想定していながらも、自分に対して言い聞かせて自身を納得させているようなナレーション。自分の中にいる他者というか制御できない部分を常に感じて実務的に対応している。この態度は全編を通じて一貫している。
この映画では病名付き発作性の精神疾患で悩む男女2名の交流を軸に社会的に適応していく、というまぁ、芸能プロダクション発の企画らしいこと。映画ではなくスペシャルドラマ向きなのでは?と感じつつ、この女優演技できるんだ、と驚きました。
最後クレジットの箱庭的な絵がカメラの近くまで飛んでくるボールで絵が崩れるところにはゾクゾクした。この感覚は共有し辛いんだけど...いい映画だと思います。
優しく寄り添ってくれる映画
日々の中でちょっとした息苦しさを感じる2人が主人公。
2人だけでなく、周りの人たちもちょっとずつ痛みを抱えていたり、気づかなくても自分のすぐ近くに起こっていそうな、大きな事件が起こるわけでなく、静に進んでいく。
無理をせず、そっと寄り添うキャラクターたちの作品でした。
すでに今年1じゃないかと思うくらい良作。
2回以上見ることをおススメ
私は原作本を読んでから映画を観たのですが、1度目は、原作との設定の違いが多いことに気を取られて、なかなか集中することができませんでした。
それから、恋愛物でも、アクション系でもない、こういった作風の映画を観ることが初めてだったので、起承転結のはっきりしないものにも不慣れでした。
でも・・・
心にじわっと温かい物が残る映画だったので、パンフレットを読んで、もう一度観ました。
2回目は、登場人物すべての人の温かさに心打たれながら、心地よい時を共有し、「夜明け前が一番暗い」「出会えてよかった」というワードが心に響きました。
他の方のレビューを見ていると、私の初回のような感想の方も結構いらっしゃるようですが、ぜひ、もう一度観ていただきたい。
2度目は、登場人物すべてが愛おしく感じると思います。
結局、今のところ5回も観ていますが、また、会いに行きたいと思っています。
最高の良作
大きな事件が起こるわけでも2人が恋愛関係になるでもなく静かなストーリーなのにこんなに心揺さぶられるとは思いもしませんでした。
原作が大好きで、原作から改変されているところも多いけれど見終わったあと、原作と同じ夜明けのすべての世界観だと思いました。
特に上白石萌音さんの演技は圧巻!PMSになってるだろうイライラ感、体調の悪さなど語らずともその表情で分かるし普段の穏やかな藤沢さんとは別人のようで、少し変わったところも原作の藤沢さんそのままでした。この難しい役を自然に演じた萌音さんは必見です。
人は見た目じゃわからない
一見平凡な人々。でも他人には理解されない体質や悩みや病気などを抱えて日々生活している。この映画では会社や同僚の理解があり、仕事しやすい環境になっている。でもその周囲に甘え過ぎず、自分と向き合い自分のペースで少しずつ改善している。地味だけど自然体で良かった。
上白石萌音が好演
ふだんは周囲に対して、過ぎるくらいに気を遣って生活しているのに、月に一度、PMSでイライラが抑えられなくなって、暴言を吐いてしまう藤沢さんを、上白石萌音が見事に表現していた。
しかし、それ以外の部分が、あまりにも淡々と、坦々としていて、残念ながら自分には合わない映画だった。
穏やかな日常にこそ幸せがある
三宅唱監督のファンです。
やはりこんな時代にこそ必要とされるべき映画で、こんな映画こそ辛い時に見るべき作品だと思いました。
俳優陣の実存感のある芝居、主役のお二人は当前のこと、職場の全員が悩みや、苦悩までが伝わってくるくらいそこにリアリティを感じた。なんて素晴らしい世界観なんだろうと。
青山真治監督の作品に出てくるふたりもいい味出してて泣ける。
プラネタリウムのくだり、もうあの場面は白眉でした。映画でしかできないような、表現に感服。
みな人知れず戦っている
PSMというものがあるのは、この映画で初めて知りました😳
ネットでは時たま女性のヒステリックを揶揄しているのを見かけるが、この病気(?)があるということを知らなければならないですね。。
さて映画のほうは、とても丁寧に心情や苦悩が描けていて見入ってしまった!最後は劇的に何かが変わったわけではないが、2人とも前向きな一歩を踏み出せたのでは。
主演の俳優陣も素晴らしい👍
萌音ちゃんはキレ始める前から、空気が違っててすごかった!
北斗君はメキメキと実力をつけてますね。
もう一度見たい
映画は頻繁に見る方ではなく、好きな俳優さんが出演しているので見に行きました。
序盤は症状がでているのをみて、つらくなりましたが、話しが進むにつれて、クスッとなるところもあり、こちらの心も軽くなっていきました。
ものすごく、ハッピーエンドではないけれど見終わってから、じわじわくる感じ。
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