劇場公開日 2023年10月27日 PROMOTION

唄う六人の女 : 特集

2023年10月23日更新

【竹野内豊&山田孝之が監禁!?→めちゃくちゃにされる】
刺す女、濡れる女、撒き散らす女……森の奥深くにいた
のは、妖艶で奇妙な“六人の女たち”だった
映画を語るプロが唯一無二の“蠱惑的世界”を徹底解説

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主演は“実力派俳優”の竹野内豊&山田孝之。そんな2人が演じる男たちが“美しく奇妙な6人の女に監禁される”という設定だけでグイグイと惹きつけられてしまう――それが「ミロクローゼ」「オー!マイキー」シリーズの石橋義正監督がメガホンをとった「唄う六人の女」(10月27日公開)だ。

劇中に登場するのは“刺す女”“濡れる女”“撒き散らす女”“牙を剥く女”“見つめる女”“包み込む女”という呼称が付けられた謎のキャラクターたち。

ミステリアスな彼女たちが“監禁”するのだが……実は竹野内と山田は、さらに、さらに、めちゃくちゃにされてしまう。つまり、監禁は序の口。魅了され、翻ろうされ、惑わされ、やがて“ズタボロ”になっていく……。本作は、そんな光景とともに「サスペンス×スリラー」としての“真価”も存分に発揮されている一級のエンタメ作品だ。

本記事では、見どころとともに、映画系インフルエンサーの人間食べ食べカエル氏、数多くの取材を経験してきた映画ライターの新谷里映氏による渾身のレビューをお届けしよう。


【予告編】この森には、秘密がある――。

【美女6人が、竹野内豊&山田孝之をめちゃくちゃに】
何が起きてる? 先読み不可能! 3つの注目ポイント

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物語の軸を成すのは、疎遠だった父の訃報を受けて帰郷した萱島(竹野内)と、萱島の父が所有していた土地を譲り受けようとしている宇和島(山田)。2人が“禁断の森”に足を踏み入れたことで話が展開していくのだが……ハッキリ言っておこう。

ここからの展開は、一切予測不能。常に「一体何が…起きてる!?」という光景の連続なのだ……!


[一体何が…起きてる!?①]人里離れた山道で事故に遭遇 目覚めたら“監禁状態”!? しかも“宙吊り”ってどういうこと!?
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宇和島の運転する車で帰路につく萱島→車がトンネルを抜ける→妖艶な女性に気を取られたことで事故発生→“禁断の森”に足を踏み入れる……という“完璧な掴み”が描かれたうえでめちゃくちゃなひとときが始まっていく。

事故のショックから目覚めた萱島。腕は縄で縛られ、その近くには“刺す女”(水川あさみ)の姿が……。「ここはどこ?」「これは一体どういうこと?」と質問しても、回答無し……。

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しかも、宇和島に至っては、いっそう過激な事態に! 彼の傍にいるのは、殺気ムンムンの“牙を剥く女”(萩原みのり)。どうにか命は繋ぎ止めるのだが、なぜか宙吊りで縛り上げられることに……。一体どうなってんだ!?

全編で一貫しているのは「一寸先は闇」。あまりにも理不尽&理解不能……想像だにしない光景に、確実に思考停止してしまうはず。


[一体何が…起きてる!?②]刺されて、水責めにされて、撒き散らされて……六人の女の行動がヤバすぎる
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“美しく奇妙な六人の女”は、それぞれの呼称に見合った“攻撃”を繰り返してくる。その手法が相当ヤバい。

“刺す女”は切っ先が鋭利な棒で肉体を突き刺し、“濡れる女”(アオイヤマダ)は暗い水の底へと引きずり込もうとする。“撒き散らす女”(服部樹咲)は椅子に寝そべったまま動かないが、不気味な胞子を放出……。神秘的な光景ではあるが、目的が一切不明のため、安易に近づくことはできない。

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“牙を剥く女”は、非常に好戦的! スピーディな動きで近づき、斧をぶん回して襲ってくる。大人しい“見つめる女”(桃果)&優しそうな“包み込む女”(武田玲奈)は、一見害はなさそうにも見えるのだが……その“瞳”は何かを訴えているようにも“甘い罠”へと誘っているかのようにも感じとれる。この森では油断禁物。“一瞬の隙”が命取りとなるのだ。


[一体何が…起きてる!?③]演じることを躊躇した? 竹野内豊&山田孝之“正反対のキャラ”で挑む圧巻の演技合戦
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竹野内&山田が“めちゃくちゃになる”というのが、最大のポイント……ではあるのだが、さらに話が進んでいくと、2人が演じる萱島と宇和島が“禁断の森”を混沌に導いていくのだから驚きを禁じ得ない。

亡き父の“本当の姿”を知った萱島は、“ある目的”を隠していた宇和島と激しく対立。“六人の女”の命運をかけた闘いに身を投じていくという意外過ぎる展開に…! 物事を俯瞰しているかのような“冷静な一面”と、他者のために身命を賭すという“熱い一面”。実力派の竹野内だから表現できた“振り幅”と言えるだろう。

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そして、純粋なヒールに徹した山田がガチで怖い。やられっぱなしではなるものかと言わんばかり、己の欲望のために暴力をふるい、蛮行を繰り返していく。ここまでの悪役っぷりは、山田のキャリアでも珍しく、南丹市プレミア上映イベント登壇時には「今回はこの人にはなりたくないと思ってすごく憂鬱だった」と躊躇したほど。 このダーティな姿、マジで“必見”……!


[まとめ]まだまだあるぞ……!さらなる“めちゃくちゃ”が劇場で待ち受けている
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上記で紹介した“めちゃくちゃ”のポイントは、ほんの一部。そんな“衝撃”がまだまだ存在しているので、ぜひスクリーンで確認してみてほしい。思わず「いやぁ、これは“めちゃくちゃ”だ……」と声に出てしまうほどですから……。


【レビュー①】人間食べ食べカエル、予想外の展開に驚嘆
「よくぞここまで尖り切った映画を作ってくれた」

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ここからは“映画を語るプロ”に、本作の魅力を紐解いてもらおう。まずは、Twitter(現X)フォロワー数は18万、ホラー界隈で人気を博す人間食べ食べカエル氏。本作を鑑賞してもらうと、想像を超えた展開に“驚きの声”を吐露している。何故、そこまで響いてしまったのか……興奮のレビューをお届けする。


●本作ほど「怪作」という言葉が似合う作品も中々ない 主役級メンツの“怪演”に注目
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今年は邦画の勢いがいい。特にホラー/スリラーは、商業映画のギリギリを攻める作品が目立つと感じる。そこに新たな映画が殴り込みをかけてきた。それが「唄う六人の女」である。本作ほど「怪作」という言葉が似合う作品も中々ない。一体どんな作品なのか、ネタバレにならない範囲で紹介します。

最初にキャストの豪華っぷりに触れておきたい。なんと、竹野内豊と山田孝之がダブル主演! トップクラスの俳優2人が揃い踏みだ。で、その2人が揃って事故って監禁される!! この時点でツカミはバッチリである。男たちを捕らえたのはタイトルにもある通り、6人の女性たち。水川あさみ、武田玲奈を始め、こちらも豪華なメンバーが顔を揃えている。主役級のメンツが全員方向性の違う怪演技を披露するのが、この映画の見どころの一つだ。

●異常極まりない監禁生活 予想の斜め上を行く展開へ!
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主人公たちが出会う6人の女性は、みんな様子がおかしい。まず、言葉を一切発しない。そして、虫入りの味噌汁みたいなのを飲ませてくる。更には、彼女たちの意に反する動きをすると棒で引っぱたいてくる。意思の疎通が全くできないまま、山奥での生活に呑まれていく。果たして何の目的で男性2人は捕まったのか……。と、まあこんな感じで、理由も何も分からないまま、ひたすら異常極まりない監禁生活を見せられる。説明過多になりがちな風潮の真逆を行く理不尽映画、それが本作である。謎が謎を呼んで、それらが一切解決されないまま、新たな謎が運ばれてくる。そして、ただ自由を奪われるだけに収まらず、予想の斜め上を行く展開になだれ込んでいく。

●凄いものを目にした……どんなジャンルにも属さない唯一無二の映画
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よくぞここまで尖り切った映画を作ってくれたと賛辞を送りたい。話がどこに転がるか全く分からない。それが面白い。こんなにつかみどころのない内容だと観客が置いてきぼりになりそう、という心配もあるが、そこは名優たちの極限追い詰められ&多種多様なサイコ演技が素晴らしく、観客の目を画面から引き離す隙を与えない。突き放されるのに引き込まれる、そんな稀有な体験をさせてくれる作品である。

ここまで終始ふわふわしたことしか書いていないが、説明しようのない特異な映画であることと、これ以上踏み込むと物語の根幹にかかわるネタバレになってしまうかもしれないからなので、どうかご容赦ください。百聞は一見にしかず。スリリングで不穏でサイケでフォークホラーな味わいも楽しめる、でもどんなジャンルにも属さない唯一無二の映画。凄いものを目にしました。

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【レビュー②】新谷里映は“思い込み”をひっくり返された!
「そういうことだったのか……強い畏敬を感じるはず」

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続いて、本作の世界観にどっぷりと浸かったのは、映画ライターの新谷里映氏。フォーカスしたのは“六人の女”について。彼女たちの“美しい容姿”が何を意味しているのか……。このレビューを読めば、きっと本作の理解度がグッと深まるはずだ!


●想像以上に深いテーマ 最初の思い込みが心地よくひっくり返される
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タイトルにある通り、この映画には6人の女が登場する。刺す女、牙を剥く女、見つめる女、濡れる女、包み込む女、撒き散らす女。この○○女という表現から、映画を観る前は、女性キャラクターの性格の一部を表しているのか?とも捉えられるが、観終わる頃には「そういうことだったのか!」と、最初の思い込みは心地よくひっくり返される。想像以上に深いテーマが潜んでいるのだ。そのテーマとは何なのか──については、竹野内豊の演じる萱島の目線で追ってもらうとして、ここでは“六人の女”について掘り下げてみたい。

6人の女たちに共通するのは、山奥に住んでいること、言葉を話さないこと、美しい容姿であることが挙げられる。彼女たちが何者であるのかは明確には提示されていないが、物語がすすむにつれて、6人それぞれあるものを具現化していると気づくだろう。

●映画の面白さのひとつは「観客の想像を掻き立てる設定」
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最初に登場する“刺す女”は虫をパクりと食べる。“見つめる女”は小動物にかぶりつく。女たちは男たちを捕食するのか?ホラー的な物語なのか?想像は無限に広がっていく。観客の想像を掻き立てる設定もこの映画の面白さのひとつであり、想像が広がるほど、膨らむほど、「そういうことだったのか!」に辿り着いたとき、強く畏敬を感じるはずだ。

●容姿の意味――畏敬につながる美しさ
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美しい容姿であることにも、もちろん意味がある。人は、美しいものを前にしたとき、どんな反応をするだろうか。ごく身近にある“美”の場合、たとえば花屋に陳列された花は手に取ることができる。百貨店のショウケースに並ぶジュエリーも手が届かないわけではない。日常生活のなかにある“美”は、自分の意志で手に入れることができる、ことが多い。また、美しいものを手に入れたいという欲求は人間が持つごく当たり前の心理でもある。

しかし、美しいと感じるその対象が大きくなると、欲求ではなく畏敬に変わるのではないか。大自然を前にしたとき、人は、自分(人間)がいかに小さな存在であるかを突き付けられる。スマホひとつあれば世界中どこにいても連絡がとれる、買い物もできる、あらゆる情報を得られる。けれど、そういった文明の産物を纏わずに身ひとつになったとき、自然に放り込まれたとき、普段は美しいと思っていた自然に人は畏敬の目を向ける。この映画「唄う六人の女」を観て感じたのは、そんな畏敬につながる美しさだった。

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