モガディシュ 脱出までの14日間のレビュー・感想・評価
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モガディシュの再現度と黒人俳優の存在感に韓国映画の力量を感じる
南北分断という政治状況をベースにした一級の娯楽作品であるが、よくぞ「ソマリア内戦」というネタを見つけてきたものだと、その企画力と取材力に感心させられる。また、現地でロケをしたかのように感じられるモガディシュの街並みの再現度の高さと、内戦の描写の臨場感にも目を見張らされる。
そして、極めつけは、現地の大人や子供を演じる黒人俳優の演技のリアルさ!日本映画では一番違和感を覚えてしまいそうな部分を、易々とクリアしている韓国映画の力量を、改めて感じてしまった。
終盤のカーアクションは、この映画のクライマックスであるが、その前の、自家用車に応急の防弾措置を施す場面も画期的で、緊迫感を盛り上げていた。そして、銃撃が発生してからの迫力あるカメラワークと手に汗握るアクションは、まさに見せ場の連続となっている。ただ、あれだけの銃弾を、あれだけの措置で防ぎきれるとは到底思えず、その結末には不自然さを感じてしまった。アクションを盛り上げるのはいいとして、さすがに、一人や二人は銃創を負うぐらいのリアリティーがあってもよかったのではないか?
それに続く空港での別れのシーンが切ない余韻を残すだけに、クライマックスでの「やり過ぎ感」がやや残念だった。
裏切りと殺戮が跋扈する地獄のソマリア内戦下に於いても南北朝鮮対立は揺るぎ無し! 果たして祖国の地を踏めるのか・・・
国連加盟を目指して韓国、北朝鮮がそれぞれ多数の投票権を持つアフリカ諸国へのロビー活動に励んでいた1990年、その相手先の一国であるソマリアで燻っていた内戦の火の手が上がり、両国の外交官とその家族たちが政府軍VS反乱軍の巻き添えや処刑の恐怖におびえながら国外脱出を目指すパニックムービー。
監督は『ベルリンファイル』や『ベテラン』等のアクション映画で知られるリュ=スンワン。
まずもって、それぞれの本国政府との通信が途絶した極限状況においてもお互いがお互いを亡命させようとする権謀術数・疑心暗鬼の仲に在り、個人レベルにおいても政治抜きには両国の関係が存立し得ない厳然たる事実に眩暈がします。
その一方で脱出劇はヒリヒリハラハラで、珠玉はクライマックスの白昼堂々のカーチェイス。完全非武装の逃げる主人公サイドに対して負う反政府軍側は車載の重機関銃等の完全武装、という絶望的且つ一方的な力の差で、それがゆえに超大作『ワイルドスピード』シリーズと比べてのそのスリルのほどは勝るとも劣りません!!
敵対する者達の壮絶な危機脱出劇
2021年度韓国映画興行収入NO.1に相応しい作品である。本作は、敵対する韓国と北朝鮮の大使館員達のソマリア内戦からの壮絶な脱出劇である。前半で脱出までの経緯を丁寧に描いた上で、後半で壮絶な脱出劇を描いている。前半は会話劇主体の静的ストーリーで、凡庸、退屈なところもあり、そんなに面白い作品?という感じもしたが、尻上がりに面白さが増し、後半の脱出劇でピークに達する。脱出劇は斬新なカーアクションであり、韓国映画のポテンシャルの高さに圧倒される。
本作の舞台は、1990年のアフリカ・ソマリア。国連への加盟を目指して、韓国、北朝鮮大使館は激烈なロビー活動を繰り広げていた。しかし、ソマリアで内戦が勃発し、各国大使館も攻撃対象となる。大使館を追われた北朝鮮大使リムは、敵対する韓国大使ハンに助けを求める。その後、両国は、一致団結してソマリア脱出に奔走し、イタリア大使館の協力を得る。そして、イタリア大使館を目指した脱出劇を決行する・・・。
本作は、序盤はイマイチだが、中盤、終盤と尻上がりに面白くなる。作品の理解度が深まるに連れて面白くなる。作品の勝負所は、やはり、後半、終盤、ラストであり、本作は、そういうストーリー構成だから面白い。
前半は、韓国と北朝鮮大使館の熾烈なロビー活動をコミカル風味で描いてはいるが、両大使館の協力は有り得ないと観客が納得するには十分の敵対ぶりを見せつける。
身近なもので防弾対策をした車両で、弾丸を浴び続けながら、戦場を突破していく脱出劇は、従来にない斬新なカーアクションであり、何としてもイタリア大使館に辿り着くのだという韓国・北朝鮮大使館員達の強い思いが画面から伝わり胸が熱くなる。
ラストシーン。脱出劇は成功するが、韓国・北朝鮮大使館員達は従来の国家の枠組みを崩さない配慮をする。本作のメッセージは、危機が迫れば人は敵対する相手でも助け合えるである。
いつの日か、このメッセージが国家レベルで実現することを期待したい。
ハラハラドキドキ、北と南の複雑な関係
北朝鮮と韓国の対立する話が大好きなオイラ。
この作品のテーマは大好物ですわ。
ソマリアの内戦に巻き込まれて命からがら脱出を試みる両国。
行き場の無くなった北朝鮮の大使を含んだ子供や女性のいる家族を、苦悩の末保護することを決断する韓国の大使。
常に銃声が鳴り止まぬ危険と隣り合わせの環境の中での脱出劇は終始ハラハラの連続だ。
「白頭山大噴火」に続いて楽しませていただきました。
エゴマとマッドマックス
「モガディシュ 脱出までの14日間」韓国実録サスペンスは押し並べて秀作揃いなのは皆さんご存知だと思うんだけど、今作はそれにマッドマックスが衝突したハイパーでエンターテイメントな快作。なんだかわからないよと言う人はとにかく観てください。
ただ、ソマリア内戦の背景について描かれていないのと、ソマリアの人々の描写については少し疑問が残りました。そこが今作の弱点かな。
あと、エゴマの醤油漬けがイデオロギーで分断されてしまった人たちの心をささやかにつなぐシーンで登場します、あのシーンは本当に素敵。
治外法権
『ブラックホーク・ダウン』(2001)でもお馴染みのソマリア・モガディシュ。泥沼化した内戦の始まりの頃を描いた作品でもあり、治外法権も奪い去られたかのような各国大使館の奮闘ぶりがよくわかる。国連加盟のために奔走していた韓国と北朝鮮の大使たちも何とか脱出しようとするも、なかなか上手くいかない。やがて立てこもっていた韓国大使館に「人道的に」という言葉で北朝鮮が救いを求めてきた。ちなみに1991年に韓国、北朝鮮とも国連に加盟。
反乱軍に武器供与した疑惑が持たれていた北朝鮮。遠い地アフリカでもいがみ合いは続いていたのだが、とにかく両国が救難機を出してくれるというイタリア大使館に向かうストーリー。
中でもパスポートと一緒に「転向書」も偽造するシーンが秀逸。言ってみれば脱北宣誓書のようなものか?あくまでも国に忠誠を尽くす北朝鮮の大使たちが頑固者だったわけだ。
さらにクライマックスとなる4台の車による移動アクションが印象に残る。不要なハードカバーの書籍を車に貼り付け、銃弾を避けようとするユニークな作戦のですが、ひょんなことでことで政府軍による銃撃に遭ってしまう。道に転がる死体を避けながらのカーアクションはまるでゾンビ映画のそれみたい。そして、車外からの銃撃、窓ガラスが割れる、そして車内の映像といったシークエンス。どうやって撮ったの?と不思議な気持ちになるのですが、その後も車内人物をあちこち撮っていることにビックリ。まぁ、CGによる連結なんだろうけど、00年代の特殊映像には目を見張るものがありますね。
この映画でも軍隊による民間人への攻撃という恐怖が描かれてました。むしろ反政府ゲリラの方が民間人を標的にしていない。ただ、ゲリラ側は子供にも銃を持たせるという恐ろしさ。南北朝鮮は世代も移り変わったのだから、なんとか仲良くしてほしいと願うばかり。
胸アツ
極限状況下でむしろ問われる人間の尊厳と配慮。それを両大使の言動を通じて上手く描いていた。特に食事のシーンの機微は本当に素晴らしい描写だった。
そして「タクシー運転手」を超えるリアル「マッドマックスFR」感!素晴らしい。
最後の別れも良かったね。
しかしホントどうやって撮ったの…?
こういう感じの韓国映画って外さないよね、 って思うカテゴリーのひと...
こういう感じの韓国映画って外さないよね、
って思うカテゴリーのひとつ。
後味もよし。
南北の協力こそ本来あるべき姿
内戦が勃発したソマリアの首都モガディシュに取り残された韓国と北朝鮮の大使館員とその家族。対立しつつも協力して脱出を試みる。
南北の協力する姿はやはり観ていて良い。
カーアクションに関して、韓国のエンタメ力の高さに驚かされるクオリティだった。
後味はちょっと切ないが、国民同士が対立しているのではなく、分かりあうことはできると期待と希望を持たせてくれた。
カーアクションシーンとか盛り上げるためにかなり盛っている部分もあったのだろうが、
黒金星みたいに北と南の葛藤と友情をもっと感動的に描いても良いのかなと思った。
【”同一民族分断の壁を越えて・・。”国連加盟の為にソマリア大使館にいた韓国大使館員、北朝鮮大使館員が経験した激烈な脱出劇を描く。現況下の世界情勢の中で今作を観ると、色々と考えさせられる第一級の作品。】
ー 実際の事件の基づいた大使館人質映画と言えば、ペルー日本大使公邸占拠事件を扱った「ベル・カント とらわれのアリア」や、在イランアメリカ大使館人質事件を扱った「アルゴ」が記憶に新しいが、この映画の元となった事件は知らなかった・・。-
■1991年、ソマリアで起きたバーレ大統領の政策を独裁的である、と批判する反政府派が起こしたソマリア内戦。アイディード将軍が制圧したソマリアの首都、モガディシュの混乱を収めようとしたアメリカ軍が壊滅的被害を受け、撤退する様を描いた「ブラックホーク・ダウン」を思い出す。
◆感想
・国連加盟のために、“第3世界”であるアフリカ各国の支援を受けようと、当時の韓国と北朝鮮が、ソマリアを始めとした各国に大使館を設け、国連加入を求めようとする動きがまず、冒頭で描かれる。
ー この際の、韓国大使館のカン参事官(チョ・インソン)と、テ・ジョンギ参事官(ク・ギョファン)の険悪な会話。テ・ジョンギ参事官が言い放った、”我が国は、南よりも20年も前からアフリカ諸国と関係を築いて来た!”
だが、そんな南北朝鮮の目論見を、反政府側のゲリラの銃撃が打ち砕く。-
・首都、モガディシュは混乱の極みとなり、北朝鮮大使館が襲撃され、大使館員及び家族たちの命に危険が及ぶ。
ー ご存じの通り、大使館の土地に許可なく踏み入る事は出来ない。如何に異常事態だったかが分かるシーンである。-
・北朝鮮大使、リム(ホ・ジュノ)は、大使館に留まるのは危険と判断し、中国大使館に向かうが中国大使館も火を放たれていた・・。
ー 仕方なく、韓国大使館に身を寄せようとするリム大使。テ・ジョンギ参事官は不本意そうだが、そんなことを言ってられる状況ではなく・・。-
・韓国大使ハン(キム・ユンソク)は、リム大使の”家族の命が危険だ・・”と言う訴えに、渋々扉を開ける。そして、韓国大使館の家族たちが“北の子供たちは、素手で人を殺すそうよ‥”と呟く姿。
ー 長きに亘る、同一民族分断は、ここまで相手に対する誤った認識を育んでしまうのか・・。一緒に食事をする際にも、北朝鮮側は食事に手を付けない。それを見たハン韓国大使は、敢えてリム大使の前の飯を取って口にする。ー
・カン参事官は密かに、北朝鮮大使館員達のパスポートから”転向書”を密かに偽造するシーン。”そんなことをやっている場合ではないだろう!”と内心、激しく突っ込む。カン参事官の偽造に気付いたテ・ジョンギ参事官とで、取っ組み合いの喧嘩になるが、その間に韓国大使館を護衛していた警官達は”人数が多すぎる”と追加料金を請求。そして、却下されいなくなる。
ー 韓国大使館の護衛が居なくなった瞬間である。本来であれば、同一民族同士、助け合うべき時なのに・・・。だが、流石に事、ここに至り両国大使館員たちは、力を併せ脱出することを決意する。車の外面に大使館中の本や、衣服を弾丸除けとして取り付け、韓国大使側は、イタリア大使館へ。北朝鮮側は、エジプト大使館へ。-
■ここまで観ると、平常時の外交力の大切さが良く分かる。
イタリア大使館は韓国大使館員たちを赤十字の避難機に乗せる事を許すが、北朝鮮側は、エジプト大使館側から匿うのを拒否される。
■コーランの祈りの時間に、4台の車に分乗した南北大使館員達は、遺体がゴロゴロと転がる道を猛スピードで、イタリア大使館へ突っ走る。物凄い銃撃を受けながらも・・。
ー 観ている最中に”早く到着しろ!”と内心、叫ぶ。物凄い緊張感と、迫力である。
そして、漸く大使館に到着するも、最後に着いた北朝鮮テ・ジョンギ参事官は、運転席で事切れていた・・。-
◆沁みたシーン
・韓国、ハン大使は北朝鮮大使館員達を”南に転向した”と、イタリアに説明し、南北朝鮮大使館員達は無事、赤十字の避難機に乗れたシーン。
・そして、安全な土地に下りた際に、北朝鮮テ・ジョンギ参事官の無念の死を見たそれまで彼と対立していたカン参事官が、自分達を迎えに来た韓国の(多分、KCIAであろうと、推測。)の姿を見て、北朝鮮大使、リム達、北朝鮮の大使館員たちに言った言葉。
”俺たちの後についてくるな!外国人たちの後から下りて来い!”
- 勿論、北朝鮮の大使館員たちの身柄を気遣っての事である。-
<朝鮮の同一民族分断は、この事件をきっかけにしても一向に改善の兆しは見受けられない。更に、ソマリア内戦も一向に集結する見通しはない。
現況下の世界情勢の中で、今作を観ると、イロイロと考えさせられる作品。
だが、後半の大使館脱出のシーンの、物凄い緊張感と、迫力を醸し出す演出力や、重いテーマを一級の娯楽作品として魅せる韓国映画の力業には、改めて驚いた作品でもある。>
胸熱
100本目。
アメリカ視点だったかなぁ、似た作品観た気がする。
それはまあ、いいとして。
人としての良心か、大使としての使命かの葛藤。
最後に胸熱。
迎えの人が、何か態とらしくは見えたけど。
脚色は当然あるのだろうけど、あの人に運転させちゃダメでしょ。
ある意味、期待に応えてはいるけど。
色々なメッーセージが。
「トンマッコルへようこそ」を超えるかもしれない。トンマッコルがおとぎ話だとするとこちらはやはり実話ベースの話で皮肉や人間の愚かさが出ている大人向けと言える。まずシナリオが素晴らしい、嫌味のように南北の話ではなく同じ朝鮮人としてどう乗り切るかの話をしているが、その奥には人間としてどう判断するかが描かれている。多く子供のカットやシーンが多いのも人間を描こうとしているからだと思う。食事のシーンも毒見の話があり、えごまの漬物のシーンが次にきているのも良い。食の前には人間平等でなければならないし、食を得るために助け合わねばならない。内戦のシーンをかなりリアルで話に引き込まれる。ラストのカーチェイスも映画のクライマックスとしてはかなり良い。退屈になる前にど派手なカーアクションで観客を逃さない。
説教のようなシーンばかりでも飽きるし、アクションだけでも萎えるし、絶妙なシーンの羅列で傑作。
前半は国連加盟を賭けての工作合戦は、コメディー調に当時の時代背景を...
前半は国連加盟を賭けての工作合戦は、コメディー調に当時の時代背景を説明し、
後半の内戦勃発より徐々に緊張感が増すと共に、終盤の脱出パートではそのピークに達する流れ
緊張の末のラストシーンは、なんとも言えない余韻を与えてくれて、凄く良かった
実録「呉越同舟」
過去を舞台にしているとはいえ、こんなフィクションを思いつくなんてすごい、北朝鮮の外交官の行動がめちゃくちゃリアル。なんて、間抜けな感想を抱いた僕ちゃんですが、鑑賞後、実話ベースと知って更に驚いてしまった。
ソマリアといえば、内戦と海賊の悪名しか記憶にない国。そんなソマリアが内戦に突入した1990年に、韓国・北朝鮮の大使館が共に反乱軍の襲撃を受けて、窮地に陥ってしまう。通信も遮断され、国外に脱出するしか道はない。
仇敵同士が、一時休戦をして手を組むなんてマンガみたいな展開。だけれども、散発的、断続的に続く銃声の中、統制されていない反乱軍が暴れまくる様子は、当時の緊迫感をリアルに感じる。
北朝鮮の外交官は、家族の一人を平壌に人質にとられていて、簡単に亡命ができない。両国とも保安部の要員が大使館にいて、波乱含みの展開で物語は進んでいく。
この作品が上手いところは、絶妙にコミカルなシーンをぶっ込んで、緊張を和らげる点。
白旗を掲げるときに、誤って棒だけを突き出して銃弾を雨あられのように浴びるシーンがまさにそれなんだけど、絶対、脚色だよね。面白いから許しちゃうけど。
韓国と北朝鮮は体制は違えど同じ民族。究極のシチュエーションで見せる人間ドラマに感動しちゃいました。
南北朝鮮は戦争をしてたんだということを思わせる、すごい緊張感、緊迫...
南北朝鮮は戦争をしてたんだということを思わせる、すごい緊張感、緊迫感。南北問題だけでなく、自国の戦争がこのリスクの只中にある。もちろん、関わらなければ独立した問題だったから、ここにはむしろ和解の素地がある。この意味でラストの表情は険しいけど、熱い気持ちが溢れてくる。
主人公は、ソン・ガンホみたいに、ノーマルなおじさんが淡々とヒューマンでクールな解決をしていく。
そして、ソマリア。少年兵の存在が酷い。暴力。ただ、ソマリア人の描き方については他者化している。それともこういう嫌なやつがいっぱいいたのかな?
韓国の活動についてもう少し説明があってもよかったかも…(補足入れてます)。
今年192本目(合計468本目/今月(2022年7月度)4本目)。
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※ なお、以下では北朝鮮は便宜上の国家扱いとして扱います。
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韓国が国連に加盟したのは「意外」と最近の1991年ですが、その加盟に向けていろいろ活動していた中で起きた騒ぎを描く映画(この点字幕が不足している点は下記で補足いれてます)。
一応、「史実に基づく」としますが(公式サイト)、意外と「最近」とはいえ、あのような特異な状況では当時の実際の映像などはあっても数点程度で(まったくないわけでもない模様)、また、史実として北朝鮮と協力した事実はあるとしても、またそれを深く掘り下げるには当然北朝鮮の協力も必要なところ、韓国もある程度は交渉したのだとは思いますが、やはり限界もあったようで(協力がもらえないものはどうにもならない)、その関係で韓国目線になっている部分はどうしてもあります。ただこの点はもう仕方がないという点です。
当然、史実に基づく以上、あることないこと書けませんし、一方で、いわゆる「撃ち合い」のようなことは実際にはほとんどなく、「いかに安全に国外に脱出するか」というのが論点だったので、「この意味で」アクションシーンは少なめです(せいぜい、車に追いかけられて撃たれたり、という程度)。
リアル社会では、日によってミサイルが飛んできたりという北朝鮮ですが、もとはといえば朝鮮戦争という特異な事情で、さらにそこに民主主義を掲げるアメリカと、共産主義を掲げるロシア(旧ソ連)が対立していた中でのいわゆる「代理戦争」であった面は否めず、朝鮮戦争は公式には「休戦」扱いですが、やがては何らかの方法で統一ないし正式な意味での二国の「正式な」独立(国際的には、ある程度の差はあってもいわゆる民主主義が掲げられていて、途上の状態にあるなら、あまり言われないのが普通。いきなり民主主義を完全に達成することは難しいため)として、うまく解決することを願ってやまないところです。
映画の内容としては確かに史実に基づくとした以上、上記のような事情で、「北朝鮮側の言い分」も反映ができなかった(事実上、できなかった)という点は理解が可能であり、まさかあることないこと韓国が「極端に」美化して、「だから韓国はすごいんですよ」という趣旨の映画に無理やり改変しているというようにとらえるのは無理なので(その意味で、検証が難しい映画の類型)、フルスコアにしています。
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▼ (参考/韓国・北朝鮮の国連加盟)
・ 韓国・北朝鮮の国連加盟はくしくも同じ日で、1991年9月18日です。
日本が第二次世界大戦に敗戦すると、朝鮮半島はその数年後に朝鮮戦争が始まるように、国全体が混乱状態に陥りました(済州4・3事件、順天・麗水事件など。「スープとイデオロギー」参照)。
そうして始まった朝鮮戦争も数年で「事実上」終戦しましたが(歴史上正しくは「休戦」であり、終戦はしていない)、ここから韓国の国連加盟は苦難の道のりとなってしまいます。
上記に書いたように、民主主義をかかげたアメリカが支援した韓国と、ロシア(旧ソ連)が支援した北朝鮮はそれぞれ国連加盟を目指しましたが、韓国の国連加盟に否定的だったソ連は(ソ連は当時、北朝鮮に肩入れしていたため)、国連加盟の場で常任理事国の拒否権を乱発し、まったく動きが取れなくなりました。その間にも中国(ここでは、狭い意味での中国。台湾・香港などを含まない)が1971年に常任理事国になると、ますます難しくなりました(当時、やはり中国は北朝鮮との交流を優先していたため)。
ただ、韓国はやがて中国との関係を改善させ(この裏には、東ヨーロッパ(ソ連含む)の混乱も背景にあり、中国も韓国と喧嘩ばかりしている状況ではなくなった)、ソ連とも国交を結びました(1990年)。こうした事情があり、常任理事国の拒否権乱発による「無条件で拒否」はなくなったものの、ソ連(現ロシア)から多大な経済的援助を受けていたアフリカの各国から賛成票を取り付けるのは容易ではなく(このことは、今のウクライナ侵攻でも、ロシアを支持する国家が少なからずあることと、事実上同じです。経済的援助を受けている以上、ロシアを否定できない)、最終的に「票数勝負」に持ち込んで、くしくも北朝鮮と同じ日である1991年9月18日に国連加盟が実現したのです。
事実を元にした映画?
日本は平和で良いと思える内容でした。
30年前の話とはいえ、いまもアフリカ現実の話。と、同時に、韓国と北朝鮮では現在も継続中の問題。
ドンパチもありますが、人間ドラマの映画です。
ちょっと、カッコよすぎるというか、ドラマチック過ぎるところもありますが、映画として面白いです。
韓国では、IMAX、4DX、スクリーンXまであったのかとびっくり。
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