遺灰は語る

劇場公開日:

遺灰は語る

解説

イタリアの名匠タビアーニ兄弟の弟パオロ・タビアーニが兄ビットリオの死後初めて単独でメガホンをとり、ノーベル賞作家の遺灰を運ぶ波乱万丈な旅の行方を、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜながら描いたドラマ。

1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ルイジ・ピランデッロは自分の遺灰を故郷シチリアへ移すよう遺言を残すが、独裁者ムッソリーニは彼の名声を利用するため遺灰をローマに留め置いてしまう。戦後、ピランデッロの遺灰はようやくシチリアへ帰還することになり、シチリア島特使がその重要な役目を命じられる。しかし、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、遺灰の入った壺がどこかへ消えてしまったりと、次々とトラブルが起こり……。

エピローグには、ピランデッロの遺作「釘」を映像化した短編を収録。2022年・第72回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。

2022年製作/90分/PG12/イタリア
原題:Leonora addio
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2023年6月23日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第72回 ベルリン国際映画祭(2022年)

出品

コンペティション部門 出品作品 パオロ・タビアーニ
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(C)Umberto Montiroli

映画レビュー

3.590歳を超えた名匠による無二の語り口

2023年6月26日
PCから投稿

共に映画を作り続けた兄ヴィットリオを喪い、自身も90歳を超え、もうパオロ・タヴィアーニの新作を拝める機会なんてないのでは・・・と感じていたが、本作と出会えたことを嬉しく思う。とはいえ、この物語は不思議な語り口で「過ぎゆく時」をゆっくりと紡ぐ。それに、主人公ともいうべきノーベル賞作家はあっという間に死を迎えて遺灰と化し、しかし埋葬に関する遺言はなかなか叶えてもらえず、戦後になってようやく念願の故郷シチリアへ向かうことに・・・。モノクロームがもたらすノスタルジックな色合いと、時折ビュウと吹き付ける潮風ががなんとも言えない心地よさをもたらす。誰かを糾弾するわけでも、高らかにメッセージが発せられるわけでもない。葬礼中も子供同士の屈託のない会話でクスッと微笑みが伝染し合うような、柔らかさが優しい。頭をよぎるのは「ヴィットリオに捧ぐ」の文字。弟から兄へ。彼なりの追悼の想いがこもった映画のように思えた。

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牛津厚信

4.0主役は遺灰!?

2023年12月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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雨雲模様

4.5映像作家としてのタビアーニ監督の、卓越した映像感覚と語り口を十二分に堪能できる一作

2023年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イタリアを代表する映画監督であるタビアーニ兄弟の、弟パオロ・タビアーノが兄ビットリオの死後(2018年死去)、単独で監督した長編作品です。

本作の「主人公」は、実在するイタリアの作家、ルイジ・ピランデッロですが、物語は彼が亡くなるところから始まります。その彼の独白がしばらく物語を引っ張っていくため、「遺灰は語る」という題名は、抽象表現や比喩などではなく、物語そのものをずばりと言い表していることが分かります。

冒頭で見せる、ちょっと『2001年宇宙の旅』(1968)に通じるようなシンプルかつ抽象的な現代アートのような構図と、時間感覚を飛び越えるような不思議な演出は、一瞬で忘れがたい印象を残します。

そこからピランデッロの遺灰が辿る数奇な運命を描いた本編は、一転してユーモアと皮肉を加味した極めて写実的な描写となっています。

上映時間約90分と、近年の映画作品の中では比較的コンパクトですが、モノクロームの美しさを最大限に引き出しつつ、変幻自在の語り口で様々な人間ドラマを見せるという密度の濃さは、短さや物足りなさを全く感じさせません。

イタリア映画の巨匠作品と身構える必要は全くない作品なので、本作をタビアーニ作品の入り口とすることも全く問題ないと思います!

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yui

2.0映画館に行って損した気分になる映画

2023年8月30日
PCから投稿

寝られる

シニカルなコメディにしたかったのかもだが、ぬるくて笑うところに到達しない。
余った灰を海に向かって散骨したところからピランデッロの短編「釘」の映像化作品になるので、訳分からんエピローグと思ったら、「併映」なのか。
ノーベル賞作家が死の直前に書いた短編とのことでなんか意味があるんだろうが本人にしか分からないたぐいのものでしょう。
毎年墓参りしているのが加害少年だったら、「on purpose」は彼が毎年そこに来ざるを得ない目的のための殺害??
よっぽどのファンでない限り、作家の頭の中を理解したい欲求は湧かないと思います。

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かばこ
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