カモン カモンのレビュー・感想・評価
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愛おしさが胸いっぱいに広がっていく
ただただ愛おしさがあふれて止まらなかった。本作には観客の心をふっと和らげて、肩にのしかかった重みを軽くしてくれる力がある。私の場合、特にインタビューマイクを向けられる子供たちの言葉に胸打たれた。これからの未来を担う彼らが放つ、どんな優れた哲学者や思想家よりも人をハッとさせる考察や思索。それは期せずして叔父と共に取材旅行を続けることになる9歳の甥にも通じることで、とりわけ彼が刻んだ言葉はこの時代を生き抜く上で指針となりうるもの。少なくとも私はこの先ずっと忘れないだろう。さらには、ホアキン・フェニックス演じる叔父と甥が無邪気に戯れるシーンの素晴らしさ。互いに心から信頼しあえる間柄でなければあんな空気感は醸成できない。濃密で生き生きとした関係性がそっくりそのまま映像に焼き付いているからこそ感動はひとしおだった。愛情や温もりに満ちたホアキンにこれほど優しい気持ちにさせられるとは思ってもみなかった。
ライフサイクルの再解釈
わかままで感情的な大人たちと、我慢ばかりして冷静な子どもたちの対比が面白い。
本の朗読と、子どもたちへのインタヴューシーンは魅力的な言葉に溢れている。特に星の子供たちの朗読は力強い。地球に生まれて星に帰るまで、大人でも子供でも立っている場所、見えているものは同じなのだ、人と人という意味で対等なのだと気付かされる。
カモンという英熟語に、強くお願いするというニュアンスが含まれている事を知り、大人も子供も立場に合わせて態度を取り繕う必要なんか無いのだという、メッセージを感じた。
佳作。でもそれ以上の何かを感じる。
佳作です。良い作品だけど、「生涯ナンバーワンだよ!」という位置付けには決してならない映画。けれども、なぜだか心に残っています。
ホアキンの演技は素晴らしい、本当にホアキン自身の話のように見えてしまう。あまりにも愛らしい2人の生活。映画を見たというよりは、その2人の本当の生活を見たような気分になります。
劇中にはさまれる子供たちのインタビューも、いまの時代のステレオタイプを脱ぎ捨てた、時代を射抜いた言葉たちが出てきます。この辺のセンスは素敵だなあ、と感じました。
そう、ものすごく何か、ってわけじゃないんだけど、
確実に大切な部分をコンコン当ててくる、
そのささやかながら実はすごい、ていうことをやってるんだと思います。
こんな映画が作れる人になれたらきっと幸せだろうと思います。
脚本:20/25 地味だけどいい 映像:15/25 モノクロにする...
脚本:20/25 地味だけどいい
映像:15/25 モノクロにする必然性は感じなかった
音響:12/25 作品の邪魔はしない
俳優:22/25 最高
何を感じて、この映画を録ろうと思ったんだろう。
デトロイト、ニューヨーク、オークランド
筋がない。家族の話。
「母親は物事の暗部に向き合わなければならない」
光がキラキラしている。
スナップショットのワンシーンになりそうなカットが多い。
モノクロの方が風景がくっきりはっきり見える
写真学校に入って1年間はモノクロ写真しかやっていなかったことを思い出した。
「カモンカモン」は「先へ先へ」
日本語だと来い来いって意味かと思う。
なぜ録音が好きか。
平凡なものを永遠にするってクール。
ひねくれた子供がそうする理由。
家族というきれない関係性のわずらわしさ
アメリカは、怒鳴ることが暴力だという認識がちゃんとある。
独り身のおじさん。子育てマジ大変。
取材してたから、
子供のことをわかっているつもりだった。
良い子じゃないと愛されない。
愛情を試している。
子供は環境を選べない。
放り出されたら生きていけない。
「全人生の妙なクソ人生」
割とまともな人間だからこそ悩む。
自然の中にいるときはカラーが良いと感じる
感情をコントロールすることが美徳とされる現代。
自分が感じているものを意識すること。
子供達は今の私たちより世界に対応してできるように進化していく。
「ふざけよう
コンマ
そうできてきるときは
ピリオド」
洗練されたハートフルストーリー
ウェルメイドな作品。ホアキン・フェニックスと子役の演技はとても良くて、安心して観ていられる。洗練されたアートシネマが好きな人ならみんな満足すると思う。
主人公のジョニーは、ラジオ局につとめるジャーナリストで、全米を移動しながら子どもたちに取材する仕事だ。彼の妹は結婚しているが、夫がメンタルを病んでいて、入院させるためにごたごたしている。そのため、彼女の息子であるジェシーの面倒を見てほしいと頼まれる。
ジョニーは仕事があるので、結局ジェシーをつれて旅を続けることになる。
ジェシーは賢いのだが、エキセントリックなところがある。親元を離れてすごす不安もあり、ジョニーは手を焼くことになる。しかし、そんな生活の中でも、徐々にふたりは信頼を構築していく。
たくさんの問いがあり、たくさんの答えがある。
ウイリアム・サローヤンの「パパ・ユーアクレイジー」を思い出した。
父と子の物語で、ふたりがたくさんのことについて話す。
こういう、普段あまり親しくないおとなと子どもが、ふたりだけの時間を過ごす中でたくさんの会話をして、互いを理解していく、という物語はたくさんある。ただ、2021年という時代にあらためて、コミュニケーションの大切さを問いかけたのはタイミングがよい。製作と配給はA24。この会社の企画力のうまさにはいつも感心する。
A24の作品は売れるアートシネマだ。
spotifyのヒットチャートに名を連ねているアーティストの楽曲に似た感覚がある。それは洗練されていて、軽やかで、かつ個性もある。ただ、魂を削るような凄みのある作品はチャートには出てこない。たくさんの人に聴いてもらえる曲なのだ。結構どぎつい歌詞の曲もあるのだが、それでもおしゃれになっている。
A24も空気感が似ている。丁寧に作られた作品であるのは否定しないのだけど、やっぱり、マーケティングとかビジネス的な計算といったものが先だっているように思う。「ミッドサマー」も強烈ではあるのだけれど、がっつりと心をつかまれるような凄みはない。
それでも、ホアキン・フェニックスは名優と言ってもよい俳優だし、子役もうまかった。映像もめちゃくちゃきれいで、センスの塊みたいな作品だった。でも感動はしなくて、映画の世界のトレンドをチェックしている感覚なのだ。
時代の空気感というものがあって、クリエイティブをやるのであれば、常にそれを追いかけていかなくてはならない。その空気感に対して、どんな問いを立ててなにを生み出していくのか、という作業が自分のクリエイティブになる。そういう意味ではA24のやっていることは正しいし、spotifyのランキングの上位にいるアーティストも時代の空気をうまくつかんでいるのだ。ただ、マーケティングと計算に基づいたプレゼンテーションみたいな作品は、とてもきれいで、たくさんの人が受け入れるのだろうけれど、やっぱり、リミッターが壊れたような凄みのある作品にはならないと思う。
そういう風に考えると、スコセッシとか、デヴィッド・フィンチャーみたいな人たちはやっぱりすごいんだと思う。
モノクロの世界
久しぶりにモノクロの映画を観た
こんなにも世の中色に溢れていたのかと、再認識
そういえば最近では夢もカラーだ
映画は
なぜ仲違いして気まずいのに兄に子供を預けたのか。本当はあの時は言いすぎた謝りたいと思っていたのか
ジェシーの父親のことを大丈夫だなんて嘘ついたのはなぜなのか。嘘はいつかバレるし、バレたらもっと傷つくのに
ジェシーはわがまま放題で母と叔父は振り回されてイライラする。もっとビシッと言って、その後優しく抱きしめればいいのに
初めて観たホアキン・フェニックスのヒューマンドラマ
ホアキン・フェニックスと言えばジョーカーだが、ヒューマンドラマは初めて。
気になったので観たが、演技はさすが。ただ、ストーリーはよくあるストーリー。観てよかった。CSで録画視聴。
哀愁
2ヶ月ほど前に見た。
あまり覚えていない、、。
ホアキン・フェニックスの哀愁が漂っていた記憶しかない。あまり起伏がない映画。もっと真剣に見れば面白いと感じたかも。
子育ては大変だが、素晴らしい経験であると感じた。
子供欲しいなぁ、、
なにこれゲロツマンナイ
大人も子どもも出てくる人間みんな不機嫌。ストーリーらしいストーリーもなく、人の人生タレ流し。子どもがいる人ならこれ感動作なの?実際の子育てがこうなんだとしてもそれは映画にする必要ないよね。全編に漂う『知的でござい』の雰囲気も不快。もうここに文句を書くために必死にしがみついて見てました。ホアキン・フェニックスって天才だと思うし出てれば見たいんだけど、たまにやらかすこの〝チャレンジングな作品〟に出るのホントに困る。
納得のモノクロ
はしゃいだ後のベットでの対話はもう恋人のピロートークのようでヤバい。
ニューヨークの夜景もベッドシーンも美しかったが、お別れの時の公園のシーンの木々を移した画面には息を呑んだ。モノクロに納得。
モノクロ映像の中に住む人々。言葉によって相手を知り自分を知る大切な物語。
ホアキン・フェニックスは
あのグラディエーターで脱皮し
役者としての巧みさはジョーカーを経て
また違った世界へと広がりを見せた。
この物語は ー
大人と子供の会話に重きを置いている。
ストレートで純真な子供達に比べ
知りすぎた大人達のぎこちなさは
ドキュメンタリーかと思うほど
可笑しく痛く切実に伝わってくる。
「大人と子供のセラピー」
言葉は、思いは、最後の最後まで
そんな風に描かれている。
そして優しく存在するモノクロ映像は
見えないものを探し、導き出す
登場人物達の心情を効果的にした。
※
やっぱり好きになれないわ………
こまっしゃくれた子供の言動に
大人が振り回されて
最後に人生を見つめ直す、って設定
彼の国の人達は好きですよね
でも、私はダメだ……つまり生意気な餓鬼がキライ。
その歳でその物言いは無いでしょう!って思いが先に来て……
やっぱり無理。
伯父と甥の葛藤をモノクロで描く
ホアキン・フェニックス主演ということと、現代劇をモノクロで描いたところに芸術性を期待して鑑賞。
しかし、本作の流れからしてモノクロの意義は?というところで早い段階から疑問を感じてしまい少々冷め気味に観てしまった。
ストーリー的にも、確かに一般的日常ではないものの、そこまで大袈裟に描くほどのことなのかと、どうにもバイアスがかかってしまい最後まで入り込めなかった。
本作がここまで注目されたのは、もしかして「ジョーカー」ありき?
とは言え、子供達の意見や引用文等が効果的に使われていたあたりは、本作の魅力と言えるだろう。
子育ては自分育てでもある
昨年劇場で観たかったけれど諸事情で断念した作品をPrimeでやっと鑑賞
亡き母の看病などで疎遠になっていた兄妹
妹の息子である甥を預かることになるが、なかなか妹が戻って来れず、予想外に長い同居生活に。
伯父であるジョニーは初めての子育て体験がユニークな甥ジェシーの言動や行動に翻弄されながらも気負わず甥と真っ正面から向き合っていてこちらも心がほっこりしながら観ることができました
伯父ジョニーの仕事で子供たちにインタビューしているシーンがたくさん出てきますが、その子供たちの言葉も心に染みるものが多かったです
外国の、子供も1人の人間として接するやり方は私の映画を観る上で楽しみなことの1つです
そして、改めて子育ては大変なことですね
良い映画でした
地球の時間の川に飛び込むのだ♥
『地球の時間の川に飛び込むのだ。
空っぽな変わり続ける人生の意味を
そして、星に還る日が来たら、不思議な美しい世界との別れがつらくなる』
『書いてある通りだ。すべて忘れる』
この詩が良かった。
ドビュッシーの『月の光』とモーツァルトの『レクイエム』が良いね。
『そして、未来を考えた事ある。
あるよ。
起きると思うことは絶対に起きない。考えもしないような事が起きる。だから、先へ進む以外ない。どんどん先へ。』
そして、少年は親離れするんだ。
しかし、彼にはDNAの問題とか、思春期の問題が残っている。だから、インタビューも思春期前の幼い子が多かった。
最後がいらない。『イル・ポスティーノ』見たく終わって欲しかった。カモン・カモンで終われば良いのにと思った。
追記
最後に『輪廻転生』の話で締めくくられたが、アメリカに東洋系の移民が増えている象徴なのだろうか?キリスト教では生まれ変わりの概念はないと思う。
禅問答?
急遽、訳アリの妹の9歳の息子ジェシーの面倒をみるはめになった伯父さんジョニーの奮闘記。マイク・ミルズ監督はジョニーをラジオのルポルタージュ製作者に設定し子供たちに、未来をどう思うか、死んだらどうなるかなど脈略のない哲学的な質問を投げかけます、面白いのは答える子供たちが仕込みの子役でなくリアルなこと、答える内容はこれまたびっくりな高尚さや辛辣さを含んでいて驚きました。
映画の半分はそのドキュメンタリーのような部分でしょう、言葉の魔力をより感じさせるためにあえてモノクロ撮影というフィルターをかけたのでしょう。
ただ、ロスの陽光に充ちた自然の風景やビルのそびえる大都会ニューヨーク、JAZZの都ニューオリンズなどが舞台なのでカラーで楽しみたかった気もします。
伯父さん映画ではジャック・タチの「ぼくの伯父さん」シリーズの方が好みですね、本作は禅問答のような会話に溢れていて分かったような分からないシーン、セリフの洪水で翻弄されっぱなしでした。
子どもにどう向き合うか
父親の精神的不安定のゆえ、伯父ジョニーに預けられることになった少年。多動気味の「甘やかされてる」、大人たちがすぐに「静かにしなさい」「言うことを聞きなさい」といってしまうような子に、ジョニーは自分の都合で傷つけることなく、向き合おうとする。そんなことなかなかできない、と斜に構えそうになったけど、その態度はそんな自分を反省させてくれる。
亡くなった母と、母に対する態度の違いでギクシャクするようになった姉。物語にはいくつかの本が登場し、読み聞かせたりする。姉が呼んでいる、子育ての全てが母親に丸投げされている」という内容の本には、本当にそうだと思った。そして「星の子供」という絵本。この訳はジョニーが泣くほどすてきなものだ。
ラジオインタビュアーでいろいろな子供にホアキンは実際にアドリブで質問しているそうだ。問題の多い今を生きる子どもたちは、それでも前を向き(カモン、カモン…)、自分たちにできることを考え、親を思い、優しい人になれればと答えてくれる。前編モノクロのノスタルジックで内省的な映像の最後に、このインタビューが流れ続けるエンテォングも素晴らしかった。
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