カモン カモンのレビュー・感想・評価
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「子供との接し方なんて誰にも分からない」
途中、「クソ世界へようこそ」というセリフと共に、表題のような母親のセリフがあった。途轍もないパンチラインでした。
自分は独身で子供も居ないので、このセリフは子供が居る親ならより響いた筈。
奇をてらわずに自身をさらけ出しながらの子育てロードムービー。モノクロの映像でスクリーンいっぱいに子供に苦悩と困惑を覚えながらも瑞々しく自分自身も成長していく様を見せつけたホアキン・フェニックスの演技が白眉でした。
また、随所に盛り込まれる地方ごとの様々な人へのインタビュー、これは日本人だとどうしても人種や地域ごとの特性が分かりづらくて完全には響かなかったが、映画全体の会話劇を構成する上でのグルーヴ感の醸成に役立ってたと思う。特に、バプテスト派の彼の死後の世界描写「草原に風がなびき大きな木が一本ある」ってのが良かった。
同じくモノクロ映像のベルファストと共に今年ベスト10には入りそうな傑作でした。
物心ついてからこれ迄の人生で自分が思った事・感じた事・考えた事・気付いた事・楽しかった事・悩んだ事・夢見た事・悲しかった事等々…の中で何かを置いて来てしまったのではと振り返った時に観たくなる映画だ…
①自分は子供の心を忘れていない大人だとずっと思って来たけれども、観ている途中で自分はずっとジョニー目線で見ていてジェシー目線では見ていない事に気付いてその自信が揺らいでしまった。②インタビューに対する子供達や若者達の答えを聞いていると、自分が同じ年代の時に同じ質問をされたら“さてどう答えるか”直ぐには思い付かない自分がいることにも気付いて、生活の為に忙しく働いているうちに摺りきれて“あの頃”に直ぐには戻れない自分になっていることにも気付かされた。③所詮人は自分というゾーンの中でしか生きていけないのだから、そのゾーンを豊かなものにしようとこうして映画を観たり本を読んだり音楽を聴いたり尊敬出来る人の生き方を取り入れようとして生きているわけだけれども、結構ボロボロと忘れたり置いて来てしまっているものですね。ジョニーはジェシーに一緒に過ごしたこの日々をジェシーが忘れたら「思い出させて上げるよ。」と約束したが、私も人生の中で何か大切なものを忘れてるな、どっかに置き忘れたな、と思った時は再度この映画を観てみようと思う。④『子供と動物とを相手に演技するのが一番難しい』と言われるが、天衣無縫なジェシー役の子役の自然な演技に的確にリアクトするホアキン・フェニックスにはいつ観ても上手いなぁ、と今更ながらに唸らされるが、ヴィヴ役の女優の面影にどっかで見たことあるなあ、と思っていたらギャビー・ホフマンが成長してこんな大人の女優になっていたとは。⑤結局人生は何が有っても前に進むしかないのだが、それが9歳の子供の口から出てくる(“C‘mon, C‘mon”)のが微笑ましい。⑥あと、私も弟を精神病で何回も入院させたし、自分も軽い双極性障害なので他人事には思えなかった部分もあります。
哲学映画
子供から大人への問い
大人から子供への問い
会話のキャッチボールを通して
見えてくるなにかを一生懸命に拾い上げたくなるような。
そんな映画でした
おしゃれすぎるし
キャッチーだし
今生きてる子たちに響く映画。
抜かりなく良い映画でそこがすこし悔しくてつまらなさもあるかなと思って星3.5です
是非観てね。
英語が勉強したくなる作品(笑)
作品は良かったし、好きな映画だが…
言葉が多く、字幕じゃなくて英語でしっかりと理解出来ないと、字幕ばかり目で追い、読んでから理解するからなかなか映像を楽しめなかったのが残念
実に A24制作っぽい
地球や社会の将来に関する現代の子供たちの素直な考えを全米各地で拾いつづけてきたジャーナリストが、世間の常識よりもだいぶ自分の感情に素直な甥っ子と、諸々般々の事情で二人で過ごした一ヶ月くらいがおこした心の変化の物語
ホアキン•フェニックス伯父さんと張る甥っ子、ウディー•ノーマンがとにかく凄い、その年端でそこまで深く人間を描けるかね
ロサンゼルス・ニューヨーク・ニューオリンズ、とても彩度の高い街をあえてモノクロームで撮ることで一人一人の感情が際立つ、普通にフルカラーだったら燻んでしまってたろう
いまのアメリカにとって制作陣が大事だと思うメッセージを子供の声に載せて届ける、演出も内容も、なんとも A24っぽい
寄り添う事の難しいさ
「叫んでいいよ!ゆっくりでいいから…」
認知症の母を看取り、夫の看護…不仲だった兄に息子を託し…
主人公ジョニーの妹ヴィヴを優しく抱きしめてあげたい
彼女の進む方角が少しでも煌めく未来であります様に⭐️
本当にアメリカ映画なのかと疑ってしまった
伯父さんと甥っ子。シーンの多くがふたりのやり取りに割かれる。情緒の発露とその後の反省、そして人生観。ふたりの演技があまりにもハイレベルで、本当の伯父さんと甥っ子にしか思えなかった。ホアキン・フェニックスの演技が名人級なのは映画「ジョーカー」で納得していたが、甥っ子のジェシーを演じた子役が凄い。
子供たちへのインタビューは、用意された台詞を話しているのだと思う。子供たちの答えがあまりにも哲学的すぎるし、洞察力に優れすぎている。こんな子供ばかりだったら世界はあっという間によくなるだろう。そう願っての台詞かもしれない。本当にアメリカ映画なのかと疑ってしまった。もちろん肯定的な意味合いである。
ジェシーが自問自答のインタビューで答えた「予想したことは何も起こらない。そして思いもよらないことが起こる。僕たちは進み続けるしかない。どこまでもどこまでも(カモンカモン、カモンカモン)」という台詞が、おそらくコロナ禍を踏まえてのものだと分かる。奇しくも寺田寅彦の名言「天災は忘れた頃にやってくる」を思い出した。
ドビュッシーの「月の光」がジェシーとジョニーの心模様を彩る。何度も使われるこの名曲が流れるとき、ふたりの心が揺らいでいくシーンが映る。この曲を聞く度にこの映画を思い出すことになりそうだ。
伯父と甥のストーリーというよりもコミュニケーションのお話?
人は完璧ではない。それは大人も子供も。良いところもあれば悪いところもある。
でも子供は良いところも悪いところもひっくるめて親を鏡にしたように取り込んでしまう。
憎い時もあれば、愛しさが溢れる時もある。
話さなければ解らないけど、話しても解らないことがある。
自分を表現する術を教えてもらえる幸福。
なんか抽象的になってしまったけど、そんな感じの映画。
育児は育自のあるあるでしょうか。
独身の伯父が、期間限定で甥っ子の面倒をみることになる、という状況を生み出すためのプロットがちょっとあざとかったかな。それと、モノクロ映像の必然性?同じ週に見た「ベルファスト」ほどにもなかったように思えた。
辛口になってしまったのは、自分がワンオペ育児経験者だからか?
けだし名言が散りばめられている。とりわけ訳知りな少年ジェシーが言っていた(再現の正
確性に欠けるのですが、)「起こると心配していたことは起こらない。思いがけないことこそが起こるものさ」という人生訓がひどく腑に落ちた。
二人の演技力凄い。
ホアキンジョーカーの演技に魅せられたため、ホアキン目当てで映画館に行きました。ホアキンのほんとにこういう伯父さんいそうだなぁっていう雰囲気が最高でした。そして子役の演技もめちゃくちゃ自然で約二時間ずっとこの世界に浸ってました。白黒の映像もなんだか新鮮に感じました。
大人子供
久々にホアキン・フェニックスが観れるなーと思い鑑賞。
うーん説教くさい作品だなと思いました。娯楽というよりかは監督の言いたいことを役者に乗せて伝えてガミガミ言われているようでした。
ジェシーの妙に大人びて冷静に物事を見れる…と言うと聞こえはいいですが、やけに大人を煽ったり茶化したりしていますし、急に元の年齢以下の駄々をこねたり叫んだりする様子が受け付けられませんでした。自分自身過去実習などでジェシーくらいの年齢の子の我儘っぷりに翻弄されて子供にあまり耐性のない人間なのでトラウマになったいたものを思い出してしまいました。その二面性を使い分けるウッディ・ノーマンは凄いなと思いました。
まぁそれ抜きにしても映画としての魅力を感じない作品でした。叔父と甥っ子の日常風景を何の変化もなく見せられてもふーんって感想しか出てこないくらい成長が感じられなかったです。所々に監督流の子供との向き合い方を押し付けられていてとてもむず痒かったです。ジェシーを甘やかしすぎて今後モンスターになる可能性も否定できないので、監督とそもそも子供という生き物との関わり方が全くを持って違うんだなと思いました。
エンドロール中もずっとインタビューが流れていますが、キャスト陣も流れながら字幕も出てと脳に送られる情報が多すぎてややパンクしました。あと変化の無さすぎさとシアターの椅子の気持ちよさに5分ほど寝ました。申し訳ない。
鑑賞日 4/26
鑑賞時間 13:50〜15:50
座席 F-3
心を抉られるコミュニケーション
ひさしぶりに映画館に行くのに、リハビリ的な映画を選んだつもりだったのだが、完全に心を抉られてしまった。
伯父さんと甥っ子の触れ合い映画、回復映画としてほのぼの癒されて観ることも勿論できたと思うけど、皆、誰もが決して全てを素直に口にできないまま抱えていることが多すぎる。だから「ペラッペラ」な言葉で表現するし、決まった理論の台本を使ってコミュニケーションしようとする。
あのような父親を持った子、どこかそこに「将来の自分」を見てしまう子、自分の感情を「奇妙な」様態でしか伝える術を持たない子。そして親と子、兄と妹のうっすらと見える複雑な 関係性を見つめながら、「孤独が怖い、他人のことは完全に理解できない」という子どものインタビューがこだまする。
それでもやっぱり、人と人は近づけるし、分かろうとしあえる。大人は(かつて自分がそうだった)子どもの話を聞き、大人もまた不器用に感情を見せる。「大丈夫じゃなくても大丈夫」なのは、大丈夫じゃないと言える場所があるからなのだ、と思う。そういう場所が誰にでも必要だし、誰かの必要な場所になれたらいい。
ホアキン・フェニックスがこの作品にものすごく複雑味を足していると感じた。インタビューは台本なしで行ったそうだけども、ある時は奇矯にもなり得る性格俳優・ホアキン・フェニックスが子どもの話を聴く、というのが、なんというか、美しかった。そして子どもたちは語るのに飢えているのかもしれないとも。コミュニケーションが美しく見えるなら、それは多分コミュニケーションが足りていないからなのだ。
ジョーカーよりジョニー
最近のトレンドなのか、モノクロ作品が多く、今回は9歳の甥っ子君を預かることになった中年男性のドラマです。冒頭からインタビューの膨大なセリフに飲み込まれ、とっつきが悪くどうなることかと思いました。ところが、この二人の生活シーンになると、穏やかで淡々とした展開ながらも親子でも友達でもない微妙な距離感や9歳の少年の内面の揺れが上手く描かれていて感心しました。父親がメンタルに問題があっても、母親と離れていても、前へ前へとつぶやく少年のセリフにしんみりします。子役のウッディ君、なかなか上手です。また、決して大人目線にならず対等に9歳児に向き合う、ホアキン・フェニックスの眼差しも優しくていい感じです。『ジョーカー』の演技の評価が高かったけど、むしろこんな穏やかな感じの役柄の方が、彼の演技の上手さが感じられました。
子どもと大人、自分の中に存在する2人
とにかくウディ・ノーマンくんがすごい!という話を聞き、本日鑑賞。
ホアキン・フェニックスも大好きなのでワクワクして観に行きました。
ホアキンさんがきちんと演技をしている…と感じるほど、ウディくんが終始自然体で、本当に素晴らしい役者さんでした。
もちろんホアキンフェニックスも最高。
というか、話が進むにつれてどんどん伯父さんの顔になっていく。
2人のタッグは奇跡だなあと感じました…!
ウディくん演じるジェシーが不器用なりに甘える姿、
言葉が追いつかない故に上手く表せない不安な気持ち、
子どもの頃に感じていたことが映像となって帰ってきた気がしました。
最近心理学に触れる機会があり、生まれ持った性質はあれど幼少期の養育環境というものがどんなにその人の人生に影響を与えるかを実感したところだったので、ジェシーと真剣に向き合う大人たちの姿に心を打たれました。
母親は、社会の上手くいっていない部分を全て背負わされてしまう。
これも今の世界に共通する問題だと思います。
複雑で、全ての人間には伝わらないかもしれませんが
この作品はとても分かりやすく観客に伝えてくれます。
大人になった今、不安ばかり抱えている私にとって
"起こりそうだと思ったことは起こらない、思いもよらないことが起こるのだから先へ進むしかない"という言葉は
いつからか立ち止まってしまっていた足を一歩踏み出させてくれるものだと感じました。
ジョニーは大人を、ジェシーは子どもをそれぞれ体現したような人物像で、お互いを全て理解することはできないけれど相手を尊重する気持ちを持って接すれば、歩み寄ることはできる。
観ていた私自身も、まだ子どものままの自分と、大人になった自分の2人がこの映画を観ていた気がします。
正直なところマイク・ミルズ監督の『21センチュリーウーマン』が自分には少し難しく感じていたのですが
本作は子どもたちのインタビューや既存の文章の一部を引用することで、とてもシンプルでわかりやすく心にスッと入ってくるような作品でした。
やさしい映像に、マスクがびたびたになる程涙が出てしまったので替えのマスクを用意することをおすすめします🙇♀️笑
今年観た映画では、友人達に1番勧めたい映画です!
ジェシーの天真爛漫に振り回されながら大切なことに気づかされるどこまでも優しくてキラキラ眩しいモノクロームが似合うドラマ
物凄く優しい作品。様々な街に暮らすティーンエイジャーにインタビューして回ることに打ち込むジョニー、精神的な問題に悩む別居中の夫と一人息子ジェシーを甲斐甲斐しく世話するヴィヴ。母の死をきっかけにギクシャクするようになった二人の間を取り持つジェシーの天真爛漫さに振り回されながら自分の中にあるのに認めたくなかったものと向き合うことになる過程が美しいモノクロ映像で綴られています。
ティーンエイジャーとジョニーの対話部分はドキュメンタリーになっていて、大人達とは全く異なる感性を持つ彼らの言葉の一つ一つがかつて彼らと同じように世界に対して疑問を持っていたはずの我々の胸に響きます。
唯一無二の
フィクションの中に、おそらく演出無しと思われる子供たちのインタビューが差し込まれるちょっと独特の作りだが、全編を美しい撮影のモノクロ映像で描く。
そうした効果もあってか、ホアキンと子役の演技の上手さからか、二人が段々と距離を縮めてゆく様がリアリティを持って胸に迫ってくる。
なんてことない、でも、かけがえのない、そういう瞬間が捉えられていると思われる、唯一無二の作品。
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