劇場公開日 2022年3月25日

「「仏つくって魂入れず」の空疎さ」ナイトメア・アリー 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5「仏つくって魂入れず」の空疎さ

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

デル・トロ作品はいくつも観ているのだが、深い印象を受けた試しがない。
映像はかなり凝っているし、ストーリーもよく出来ているし、キャラクターも明確だが、何故か印象が薄い。アカデミー賞を獲るなど、この監督への評価が高い理由がわからない。

本作もレトロ、ノスタルジックなセットと色彩と、昔あった見世物小屋の中の昔風のストーリーで、一応形だけはよく出来ている。
「蛇女」「可哀そうなのはこの子でござい」などと、異形の生物に見せかけた人間のトリックを連想させる「獣人」が出てくるが、小生はこの「獣人」が逃げ出した時点で、作品の結末が読めてしまったw

その後も、ケイト・ブランシェットの心理学者はよく出来ていたが、肝心の主人公の人物造形が浅薄なため、心理を読み合う2人の戦いとしては淡泊すぎてつまらない。
その後の顛末も、意外性はなく、最後は予想通りに落ち着く。

何と言うか、「仏つくって魂入れず」の空疎さなのが残念だ。

徒然草枕