劇場公開日 2022年11月11日

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「老人版「リトル・フォレスト」」土を喰らう十二ヵ月 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0老人版「リトル・フォレスト」

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

レンタルビデオで視聴。
沢田研二演じる老作家ツトムのある1年を、食を通して描くというコンセプトは、老人版「リトル・フォレスト」という感じ。もしくはリトル~の方が原作となる水上勉の料理エッセイに影響を受けている可能性もあるけど。
ここ何年かの流行として、洋の東西を問わず老いや死について描く「老人エンターテイメント」的作品が増えている印象だけど、本作もその系譜にあって、前半では食=生をメインに描き、中盤のツトムが心筋梗塞で倒れてからは老い=死が物語を侵食し、そしてラストは再び食=生で〆るという構成になっていて、これは若い人にはピンとこないだろうと。
逆に人生を重ねた中高年には、土井善晴が手掛けた劇中の素朴な料理やツトムの生活も含め、メッチャ刺さるんじゃないかな。里山で採れた山菜の味同様、年を重ねないと理解できない世界もあって、本作はそれを描いているのだと思う。
ただ、劇中で描かれるツトムと編集者で恋人の真知子との関係や距離感が、島耕作的なというかお爺ちゃんの妄想っぽくて、いくら沢田研二とはいえやや気持ち悪さを感じた。

青空ぷらす