劇場公開日 2021年11月19日

パワー・オブ・ザ・ドッグのレビュー・感想・評価

全142件中、121~140件目を表示

4.0簡単な映画ではない

2021年11月23日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

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goshira

4.0心を締めつけられる映画だった

2021年11月23日
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鑑賞方法:映画館

 本作品でベネディクト・カンバーバッチが演じたフィル・バーバンクは「本物の男」という言葉を使った。しかし多分「本物の男」は「本物の男」という言葉は使わないと思う。「本物の男」には「本物の男」という概念がないからだ。

 主人公フィルはエール大学を卒業した秀才だが、牧場経営者として汗臭いカウボーイの仕事を率先して行なっている。弟のジョージは管理が仕事で、兄弟でそこそこ上手くやっている。
 フィルは秀才であるが故に、強さや勇敢さに憧れている。しかし彼にできるのは勇敢なフリだけだ。本当は臆病で繊細な人間である。粗野な振舞いや乱暴な言葉遣いは、弱さを見せないための精一杯の自己演出なのだ。
 彼が出逢った「本物の男」ヘンリーは、彼の最初で最後の男だった。フィルはそれ以来、ヘンリーの面影が頭から離れない。それはある意味「乙女心」かもしれない。フィルは自分の中の「乙女心」を隠し、無慈悲で冷酷な人間を演じる。知性的な人間が反知性的な人間のフリをすることは可能である。逆は不可能だ。フィルは自分の中の二面性に引き裂かれそうになりながら、あくまでも豪胆さを演じ続ける。この複雑な役柄をカンバーバッチはいとも容易く演じてみせた。凄い演技力だと思う。

 不幸のはじまりは弟のジョージが未亡人ローズと結婚したことである。ローズはアル中だが性根は腐っていない。気のいいジョージはローズを救い出したかったのだ。そして第二の主人公とも言うべきローズの息子ピーター。医学生でひょろっとしたピーターは、外見からはいかにも弱そうに見えるが、夏休みにフィルの牧場に来たとき、その本当の姿を見せる。
 タイトルの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は解釈がいろいろあるだろうが、フィルとピーターの会話の中で言われるのは、岩山が犬に見えるという話だ。フィルにとっては岩山が犬に見えるのが「本物の男」だ。フィルは犬に見えるまでに長い時間を要したが、ピーターは初見で見えてしまう。フィルが驚いたのはこれだけではない。ピーターの生命に対する無慈悲にも驚く。もしかしたらピーターこそ「本物の男」なのか。

 一方のピーターは母ローズに向かって「ボクがママを守る」と約束する。フィルはローズを依存症呼ばわりし、人格を否定する。フィルはママの敵だ。ピーターは馬に乗れるようになると単身で岩山に入り、死んだ野牛の皮膚を採取する。野牛の死因は炭疽菌だ。医学生のピーターにはすぐに解る。
 ピーターはフィルと違って能書きを言わない。話すのは事実だけだ。フィルを真っ直ぐに見つめる眼の力強さは、平凡な男のそれではない。いつの間にかピーターはフィルに対して心理的に優位に立っている。フィルは微かな怯えを覚えるとともに、心の奥底にしまってあった「乙女心」がうごめくのを感じる。

 本作品は広大な大牧場と牧場主の大邸宅を舞台にしているが、どちらかと言えば自然と人間の関わりよりも、人間同士の関わりあいを表現する心理劇だ。主人公フィルの心の揺れを全身で表現したカンバーバッチはやはり大したものである。観ているこちらの心も揺れっぱなしで、あっという間に終わってしまった。「本物の男」に憧れたフィルと、そんな概念を持ったこともないピーター。心を締めつけられる映画だった。

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耶馬英彦

2.0全然面白くない。

2021年11月23日
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高級そうだが全然面白くない。
語らな過ぎの度合いを間違えている。
そして実はテーマが凡庸だ。
尤もらしいが。

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きねまっきい

5.0【「見えないのは、いないも同じ」/映像だからこそ伝わるもの】

2021年11月23日
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ワンコ

4.0粗暴で妖艶なカンバーバッチと犬の力。

2021年11月23日
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mk♪

4.0これは切ない悲劇だった

2021年11月22日
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お久しぶり過ぎるジェーン・カンピオン監督。
そしてこれは今年の外国映画のベストの一本となる傑作。

1920年代のモンタナ、クソ田舎とか僻地とかいった言葉では足りない辺境の地だった。彼の地で牧場を営む兄フィルと弟ジョージ、そして弟の妻となる未亡人ローズとその息子ピーターの物語。

牧場主として、男としてプライドの高いフィルの抱える秘密。当時としては決して口にすることができない禁断の秘密。

ローズは心を許さないフィルを恐れた。
耐えられずアルコールに溺れた。
ピーターには母親がすべてだった。

フィルとピーターの対峙。
ホント緊張した。

父性に目覚めたのか優しくなっていくフィルの幸せを手を合わせて祈ったのだが。

動き出した悲劇を止めることはできなかった。

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エロくそチキン

4.0愛情とは

2021年11月22日
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兄弟愛、親子愛、夫婦愛、恋愛、師弟愛(とはちょっと違うか)。

いろいろな愛の形が観れました。

しかしカンパーバッチ、荒野が似合うのね。

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persimmon orange

4.0【”動物の生皮を剥いで、綱を編む・・。”脳内フル回転で観る映画。今作をミステリーとして観るか、青年の成長物語として観るか、は観る側の感性次第である作品。】

2021年11月22日
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怖い

知的

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NOBU

4.0ピーターの覚悟

2021年11月22日
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人生や人間関係といったものの難解さを切り取って観せられたような作品でした。
フィルとジョージの関係性、フィルのブロンコ•ヘンリーに対する敬愛、ローズ、フィル、ジョージそれぞれの対立、そしてピーターが3人に対して抱く感情。どれも簡単に説明できるものではありませんでした。橋田壽賀子の「渡る世間は鬼ばかり」を思わせるような。
そして、全ては冒頭のピーターの覚悟に集約されました。ただそれもスカッとするものではありませんでした。

でも、28年前に観た「ピアノ•レッスン」で受けた衝撃からの期待には応えてもらえました。
いずれも理屈では説明できない人間の感情がつくるドラマ。それが人生そのものなのか、なんて考えさせてもらいました。

ちなみに、本作のキーとなる、人と動物の共通感染症「炭疽」が傷口から感染する病気だっていう情報をもっていたりすると、より楽しめるでしょうか。

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Eiji

4.0余韻が素晴らしい

2021年11月22日
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悲しい

知的

難しい

大牧場主のフィルと弟ジョージの兄弟は地元の未亡人ローズとその息子ピーターと出会い、フィルは女々しいピーターをからかった。しかし、ジョージはローズに惚れ彼女と結婚し家に迎え入れた。よく思わないフィルは、2人に対して嫌がらせをした。しかし、残忍だったフィルが夏休みで大学から帰って来たピーターに乗馬を教え、丘に連れて行き、ロープを作ってやり、と可愛がるようになっていった。めでたしめでたし・・・ではなく・・・え、って話。
牧場、丘、川、森、空、自然の美しさを満喫できる。
馬の皮膚をここまで拡大してみたのは初めてかも。良かった。
ピーターの怖さを知ることになるストーリーも驚きとともに凄いと思った。
フィル役のカンバーバッチが心の変化を上手く演じてた。肉体美も含めて素晴らしかった。
余韻がすごくて、ピーターはもしかしたら父親も・・・なんて想像してしまった。

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りあの

3.0難しかった

2021年11月21日
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xxminaxx

3.0私の魂を剣から、私の命を犬の力から救い出してください

2021年11月21日
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私の魂を剣から、私の命を犬の力から救い出してください
原作も未読、聖書よく分からない勢で(聖書分からないと理解できる!となる作品が減ってしまいますよね)なかなか理解できなかった部分も多かったと思いますが、備忘録で…
新しい世代と旧時代のおじさんという構図?と一見思いますが、作品で出てくる「障害」があるということで、お互いに本質は変わらないのかなという作品?です。
カウボーイのことは本質なことが分からないので、文化的にイメージが固定している、日本だと忍者的な感じが自分の中であるのですが、とても感銘を受けた作品であるブロークバックマウンテンを今回は思い出していました…
障害と、秘密と孤独を感じるなかで、犬の力から抜け出す力を持っていたのは、彼なのですね。

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shio

3.0これさー、最後はピアノとギターでセッションして終わるんじゃないのぉ...

2021年11月21日
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これさー、最後はピアノとギターでセッションして終わるんじゃないのぉぉー?
なんて真逆な想像をしてしまった自分が恥ずかしい。

主要キャラの表の顔と裏の顔どこにも感情移入することが難しいくらい皆さん壊れていらっしゃる。
怖い方に想像しだすとどこまでも恐ろしくなっていくのが凄い。
ピーターがフラフープしてる姿をローズが見たのはいつ何をした後以来なんだろうか。。。とか。

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まん坊

2.5そりゃねえぜ

2021年11月21日
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ネトフリ作品でパンフレットないので☆0.5減。
嫌な感じの映画でしたね。エンドロールの曲からも監督の全力でこちらを不快な気分で終わらせようとしている意思が伺えます。

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ガゾーサ

4.0黒い。どす黒い。

2021年11月21日
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bloodtrail

4.0モンタナの山々、牛、馬、男たちが美しい

2021年11月21日
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大吉

4.0不思議な作品です。

2021年11月21日
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休日に、何かやってないかなーで入った感じです。

時代は1925年のカウボーイを世界観に進みます。
うーーん、無能な母・都会派(効率)な弟・サイコな連れ子・闇ありの兄と表現すれば分かりやすいでしょうか。

カンバーバッチが今まで観たことのない粗野な役柄でありつつ、一種難しい役を演じています。(裸体=神聖)

とても良い映画なのは間違いないのですが、勧めるというと難しいかもです(*´Д`)
ただ、一昔前のアメリカを感じたい方は是非、観て下さい。衣装・環境背景など造り込みが凝っています。(そういえば、この時代=の拳銃・猟銃が一度も出てきません)

あまり上映が多く無いですが、是非観て下さい。

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白長須鯨

3.0ブロンコ・ヘンリーの教えって…

2021年11月20日
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怖い

難しい

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Bacchus

5.0できれば、映画館で全集中で観ていただきたい

2021年11月19日
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グレシャムの法則

5.0ラデツキー行進曲を口笛で吹くー明るく不穏

2021年11月19日
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怖い

興奮

知的

台詞の一つ一つ、映像の一つ一つが磨かれていた。美しい珠のようにそれが繋がって、ある所からロープのようにねじれていく。

ホモソーシャルでミソジニーの世界の中で、インテリ=マチズモのフィルは自分と真逆の弟の所在をしょっちゅう尋ねて気にしている。他者を威嚇しつつ他者に依存するフィルは矛盾そのものだが、自分はそこから目を逸らしている。

ウサギ、ロープからだんだんと逆転が始まる。「僕には最初から犬が見えていた」。ピーターのこの言葉が想像を超えていたのはフィルの驚愕した表情からもわかる。ピーターの年齢だった頃の自分と今の自分。非合理な社会的「常識」を正しく認識し批判できる知的強さが「犬の力」に対抗できる。対抗できなかった自分と対抗できる可能性を秘めたピーター。ピーターに色々と教えてあげたい、ロープを作ってあげたい。そのための皮が消えてしまったことを知ってフィルは目に涙をいっぱい溜めて取り乱す。フィルは実は純粋で単純な男の子。一方、それを待っていたピーターは賢く粘着質の男。

Cumberbatchの俳優魂、素晴らしい。タバコを巻いて吸ってバンジョー弾いて馬に乗る姿が生まれつきのカウボーイのようで、タバコと土と汗と動物の匂いが染みついた体臭が漂ってくるようだった。一方でイニシャル刺繍入りの布を肌に這わせて目を閉じ水に浮かぶ裸のフィルは静謐で美しい。なんて複雑で難しい役柄なんだろう。役を徹底的に洞察し追求するCumberbatchにはいつも感動する。今回もすごい。

キャンピオン監督、素晴らしい。フィル役をCumberbatchにキャスティングした感覚が凄い。マッチョと程遠い役者、どちらかといえば年齢より若く見えるし、天才とか繊細な性格やフェアな役をしている俳優をこの役にしたのが凄い。彼がやるからいい。

おまけ
カウボーイのゲイの恋愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」もこの映画も、マッチョで男らしい強いアメリカの象徴の(今は居ない)「カウボーイ」を使って価値観の変化を観客に示している。それくらいのレベルの映画は日本で作れるのかな?作って欲しい。

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talisman