猫は逃げたのレビュー・感想・評価
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猫“で”逃げた?
今泉力哉と城定秀夫がそれぞれ互いから提供された脚本で、R15+指定のラブストーリー映画を監督するコラボ企画「L/R15」の第2弾。先月公開された第1弾「愛なのに」と役割を入れ替え、この「猫は逃げた」は城定が脚本、今泉が監督を担っている。
漫画家の亜子と週刊誌記者の広重は、猫を拾ったことが縁で結婚したが、現在はそれぞれに不倫相手がいて離婚するつもり。ただし猫のカンタを自分が引き取ると言って互いに譲らず、そうこうしているうちにカンタが行方不明になる。
たとえば、夫婦とそれぞれの不倫相手の計4人が一堂に会し、気まずい雰囲気になったり言い争ったりするのは、今泉監督が得意とするシチュエーションであり、脚本を書いた城定によるリスペクトが感じられる。
ただまあ、恋、愛、セックスにユーモアを交えつつも真正面から向き合った「愛なのに」に比べると、本作のほうは飼い猫をめぐる騒動の尺が思いのほか長く、猫好きにとってはそれもまた魅力になりそうだが、相対的にL/R15としての特色が薄れてしまった印象だ。今泉監督がR15+要素から逃げた、というわけではないだろうけど。
出演陣の中では、広重の同僚で不倫相手の真実子を演じた手島実優の色香がとてもよかった。撮影は「少女邂逅」にも参加していた平見優子、本作でも大いに貢献している。
猫はかすがい
子はかすがいの例えの飼い猫版、醒めた夫婦が離婚寸前に愛猫の親権を巡ってうだうだする話、W不倫、ベッドシーンも交えてアメリカのB級映画の雰囲気丸出し。
猫を出汁にしたピンク映画かと思ったら、同病相哀れむなのか不倫相手同志がくっついて奇妙な四角関係成立。
現実には起きそうにない流れだし、猫がとりもつ縁というのも微妙。
結婚て何か、若者に問いかけるテーマなのか、男女関係の不可思議さを描きたかったのか、意味の分からないシュールな映画でした。
☆☆☆★★ ちょっとだけの感想で。 城定×今泉コラボの第二弾。 公...
☆☆☆★★
ちょっとだけの感想で。
城定×今泉コラボの第二弾。
公開は監督城定・脚本今泉の『愛なのに』が先でしたが、時間の都合でこちらから先の鑑賞。
その為に『愛なのに』を観たらオ◯ロ繋がりだったのをこの後に知る事になりました。
(直接的に2つの物語とは直結してはいませんが)
方向性は気軽に明るく楽しめるライトピンク(決してポルノではなく。ここ大事なところ)を目指していると思います。でも全然エロくないのはちょっと残念。ベットシーンにしろ裸の場面にしろパターンに変化がなさ過ぎて萎えて来る有様なんだもの(T-T)なんだよ〜!監督まさか童貞かよ〜!
肝心の中身はどこかで観たことがありそうな内容でした。ちょっと今すぐには思い出せないんですが、何となく既視感のある話ですね。その内に思い出したらレビューを改訂し記すかもしれません。
それでも、映画の取っ掛かり部分から暫くは面白く観てはいました。でも、次第に面白味を失って行ってしまったのですが。後半で『家族ゲーム』画角から始まる今泉印の場面が展開。
ん?ちょっとまてよ!これは城定脚本だったよなあ〜。
成る程!城定監督…どうやら今泉監督作品を研究している風な雰囲気がうかがわれますね。特にこの場面等は今泉監督の『街の上で』での、後半に於ける笑いが弾ける場面を踏襲している風な、、、多分、当たらずとは言え。この予想はかなり近いと思いますね。
但し、『街の上で』程には笑いが弾けてはいないのは。そこに至るまでが少しダラダラとした内容だったからでは…と思うんですよね〜。
以下、『愛なのに』へと続く。
2022年3月19日 丸の内TOEI 2
しょうもなさが愛しい群像劇の良作
登場人物も、メインとなるシチュエーションも、できる限り絞っている分、登場人物同士の関わり方が丁寧に描かれている。それにより、それぞれの関係が微妙に変化していく様も、説明ではなく、観客側の発見としてよく伝わってくる。
例えば、相手との営みが始まるきっかけとして、どちらが積極的に誘っているかとかなどのちょっとした仕草で、相手へののめり込み具合や、本気度が透けて見えてくるのだ。登場人物の口から語られる言葉と、行動のズレの積み重ねが、物語をとても豊かなものにしてると感じる。
また、「おお、そこにスポットを当てるんか。でも、言われてみれば確かになぁ」というエピソードの選択もうまい。
出てくる主要人物たち、それぞれがしょうもない。けれど、そのしょうもなさが愛しい。
タイトルにも出てくる「猫」について。
「岩合光昭のネコ歩き」かとツッコミたくなるくらい、こちらもとても丁寧に撮影されていた。猫たちは、まるで監督の指示を受けて演技しているかのように、その場にピッタリな動きを見せるのだが、どうやって撮影したのだろうか。
猫を飼ったことのない私は、サッシの隙間が開いているだけで、「あっ逃げちゃう」とドキドキしていたが、一緒に観ていた妻から「猫は、人じゃなくて、家に懐くって言われるくらいだから大丈夫じゃない? オスは発情期になるとどっかに行っちゃうこともあるみたいだけどね」とプチ情報を聞き、より豊かにストーリーを楽しめた。お茶の間で映画を観る良さっていうのもあるなぁと改めて感じた一コマ。
他にも、オズワルド伊藤演じる映画監督をコケにする場面が、個人的にかなりツボった。「アガペーとエロース」が、しばらくクセになりそう。
「愛なのに」も好きだったが、こちらもとっても好きだった。やっぱ、自分は城定秀夫が好きなんだなぁと再確認。
今泉×城定
離婚寸前の夫婦の物語。お互いに不倫をしていて、離婚届にハンを
押しながらも、猫がいなくなったことをきっかけに、中々前へ進まなく
なり、ゆっくりとストーリーが進行していきます。ダラダラとした
展開なのですが、この脱力感がこの映画の魅力なんでしょうね。
夫婦とお互いの不倫相手、4人の掛け合い、本来なら
ものすごい修羅場になるはずなんですが、コメディタッチで展開。
ラストも、そうくるか、という感じですね。
この映画は、今泉力哉さんと城定秀夫さんが脚本を提供しあって
R15+指定の映画をつくるというコラボレーション企画「L/R15」
の中の1本で、こちらが第2弾だそうです。
しかし、なぜ、R15+というシバリを設けたんだろうな?
なくてもいいような気がしました。
そんなドラマを堪能!
台詞回しがイイ❗
間合いがイイ❗
ゆるりとした、時間の流れの中
時折顔を出す緊張感。
ドラマの醍醐味と、充実感がここに感じられました。
愛すべき空気を持ち合わせた作品。
私も良く足をツル❗
つい先日も寝起きにツッタ、両足いっぺんに。
面白い‼︎
かなり面白くて終盤は1人でくすくす笑っていました。
かんたくん可愛すぎなんですけどΣ( ˙꒳˙ )!?
猫はかすがいだにゃあ。
もう1回みたい。
ベッドシーンはあんまりいらんかったな。
意味あるん?
ベッドシーンあるせいでえろ親父寄ってくるじゃん。ハゲ頭の短足で、椅子からはみ出て光ってる。頭動かすなやって思いながら見てた。
亜子のおっぱいは控えめで良かった。
最後の4人で話し合うシーンが面白すぎた‼︎
そして最後はまさかの結末。むふふ
まるで40年まえのATG映画
大した理由もなく男と女は惹かれ合い、
大した理由もなく男と女は倦怠期をすごす。
そして (ここ重要)、
大した理由もなく 拾った猫の思い出だけで男と女は同じ家に帰宅できるのだ。
春になると月の夜は賑やかだ。町内の野良猫たちが“盛り”を催して集会をひらく。
これ、まるで40年まえのATG映画のようでした。2人の監督による実験的作品とのことです。一昔前の日本の映画を勉強してきたってことがその作風からはっきりとわかります。
あの頃なら歌はガロか かぐや姫。4人のうちの1人は秋吉久美子だったでしょうね。
ノンポリでダラダラとした若者たちの、学生気分が抜けない、失業と仕事とセックスの様子が、まるで猫たちの恋の集会のように見える、どうでも良いおはなしでした。
でもその“脱力感”がなんとも懐かしくて、始終笑いが止まらなかったです。
猫のカンタと4人の人間は同じ町内の住民。
互いの家を徒歩圏内で行き来をし、
スワップ をしながら情夫が漬けた漬け物をみんなで食べ、ハーブティーを飲み、持ってきてくれた地酒も楽しみ、同じソファーで喧嘩もし・・
さいごには4人全員が参加賞のお土産の仔猫をもらってお家に帰るのですから(笑)
こうして始まった可笑しなコミュニティは、たぶん今後も「4人+猫」のへんてこな関係のままずっと続くんではないだろうか。
すなわち
「エロース」=お互いを占有して縛る愛から博愛の「フィリア」への展開でのエンディングです。
どこかヒッピー・ムーブメント回帰の、これはグループホームとか ルームシェアリングとかの、共同生活の新しい姿なのかも知れないなぁ。
そういえば
うちの猫は僕が出張から戻ると、必ず僕の目の前で、僕の布団にウンチをする子だった・・
「留守中どんなに寂しかったか分かってよ!」と甘えて抗議して 必ずウンチを。
どうやら犬は飼い主を人間と認識しているらしいが、猫は人間のことを大きな猫だと思っているようなのです。
劇中で、カンタは離婚届の上でオシッコでしたね。
見てるんですよ、“仲間”のことをね。邪魔をしたり、場を外したりしてね。気ー遣いなんですよ、猫ってね。
たくさん思い出しました、僕も7匹の猫たちと暮した日々を。
女性ってやっぱり口達者
今泉力哉監督の真骨頂である男女の恋愛群像劇がここでも観られる。長回しのカットで4人のやりとりのカットが一番盛り上がる場面で、おもしろかった。
女性ってやはり男より口が達者だなぁって思う。こういう場面は特に女性の方が言葉が強くて淀みなく出てくる。かといって、男性も言葉少ないながらも場をなごむような感じがあって、男女の掛け合わせっていいなと思える。
オリジナル脚本でうまくできた脚本だなと思ったし、猫によって人がつながったりしておもしろい設定。映画撮影的には、猫のような気まぐれな動物のシーンをうまく撮っていて、猫の行動パパターンをよく知ったスタッフがいたんだなと思いました。
あとは、今泉作品では毎熊克哉が出演していて、その後の定番の若葉竜也が出演していない。このイケメンで優男は今泉作品のキーな役回りになっていて、毎熊克哉もハードな役柄をイメージしていましたが、この優男系もいい味出してました。それから、手島実優も艶っぽくて可愛かったです。
一発カンタくん
初鑑賞
監督と脚本は『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』『街の上で』『あの頃。』の今泉力哉
脚本は他に『女子高生に殺されたい』の城定秀夫
R15
ベッドシーンちょっと多め
それほど過激ではない
毎熊に井之脇に比較的マイナーな女優で内容もアレだし
それでも宮城県では仙台駅東口のチネラビィータだけではなくイオンシネマでも上映された
今泉監督の力量が窺える
離婚寸前の夫婦が飼い猫カンタ(♂)の所有権を争うわけだがそのカンタがいなくなる話
泥棒猫ならぬ猫泥棒
いや泥棒猫でもあるか
夫の愛人が妻の愛人に問い詰められるもカンタをタマと言い張るシーン好き
面白い
アガペーからエロース
しつこい
シュールだけど映画におけるお笑い芸人の正しい起用法
亜子がカラオケで『あなたに会えて良かった』を歌うシーンが印象的
この作品なんかジワジワきた
亜子の仕事場で主要の4人が集まりやりとりする一連のシーン好き
高級なコント
カンタは腎不全で死ぬが近所の婆さんが飼っているミーコの子猫を4人がそれぞれ一匹ずつ預かり飼うことになる
世の中こんな感じでまるくおさまれば良いんだけどね
ゆるいけどなんか強引にねじ伏せられた気もする
ゲイビデオに裸の女が出たらゲイの人は不快だろう
猫好きなら『猫が逃げた』よりNHK BSプレミアムの『世界猫歩き』を観た方がいいと思う
僕は猫も邦画も好きなのでどうってことない
レディコミ漫画家の町田亜子に山本奈衣瑠
亜子の夫で週刊誌記者(小説家希望)の町田広重に毎熊克哉
広重の後輩の週刊誌カメラマン(写真家希望)で広重の浮気相手・沢口真実子に手島実優
亜子の浮気相手の雑誌編集者・松山俊也に井之脇海
エロ映画監督の味澤忠太郎に伊藤俊介
広重の上司・竹原に芹澤興人
町田家の近所に住む老婦人・和江に中村久美
若手女優でモデルの長谷川一花に萌菜
喫茶店の店員で若手女優の塩田しのに詩野
コンビニの店員・別府愛子に海沼未羽
アガペとエロース
「アガペ」とはキリストの無償の愛のことで、
「エロース」とは、プラトンの自己愛のこと。
(こういう単語を会話に潜ませると利口そうに聞こえます)
味澤監督(伊藤俊介)が、それをやります。
巧みな脚本でした。
もう、「うーんスゲェ」
と、唸るしかなかなかったですよ。
オズワルドの伊藤俊介(伊藤茉莉のお兄ちゃんなのね)
(さすがのお笑い芸人)
彼の出演シーンは爆笑でした。
愛妻家が建前の映画監督で、真美子に「浮気現場」を
パパラッチされる役。
昨今のセクハラ・スキャンダルもまな板に乗せて、
笑わせて貰いました。
ある意味で一番強烈な個性
(加齢臭&ニンニク臭の混合キャラ?=御免なさい)
彼の演じた映画監督の胡散臭さ・・・
(4人の主演陣をぶっ飛ばす勢いでしたね)
今泉力哉監督と城定秀雄監督が、互いに脚本を提供しあう
コラボレーション企画「L/R 15」の2作目。
1作目の「愛なのに」
(一方通行の愛の行方と、その機微がとても愛おしかった)
今作「猫は逃げた」は、
離婚間近の夫婦が、飼い猫「カンタ」を、
どちらが引き取るかで揉める。
その話しを軸に、互いの浮気相手が絡むストーリー。
時間軸が過去そして現在と、交差して、
説明して行く手法も良かったです。
(亜子と広重夫妻の「愛の歴史」が、浮かんできます)
「愛し合って、結ばれたのに・・・」
「なんで今、こうなってしまったの?」
猫ちゃんの演技をどうつけるのか分かりませんが、
(カンタは堂々の貫禄で役者でした。
(ニコリともしないのに、大人4人が右往左往)
題名は「猫が逃げた」出なくて、
「猫は逃げた」
この「は」と「が」の違い?!
ここに秘密が隠れていました。
猫の行方不明に、ある計画が絡んでいたとは!
広重(毎熊克哉)の恋人で後輩のカメラマンの
真美子(手島実優)が良かった!!
悪い娘かも知れないけれど、一生懸命なところ、頑張り屋のところ、
敵にはしたくないけれど、タフさがちょっと好き。
漫画家の亜子(山本奈衣瑠)の恋人の担当編集者、
松山(井之脇海)も可愛いかった。
手作り浅漬けとか薬膳茶・・・
スパイスになってましたし、
男の子が泣くと、
(凄く、ほだされます、男の人の涙に弱いので、)
猫を触媒に4人の男女の愛が交錯して、
喧嘩して、心の中をさらけ出して、
ラストはまさかの大団円。
とても面白かったです。
ジェンダー論語っちゃいけない場面とかないから
ドロっとした色恋の話かと思いきや、みっともない大人たちの人間ドラマへと転換していく構成が見事でした。
ちょっとしたセリフやアイテムも伏線になっていて無駄がなく、2度見返して楽しめました。
「しょうもない人たち」で終わらせない4人の丁寧な演技も素晴らしかったです。
一点だけ、ジェンダー論の話がありながら、性的描写のシーンで女性だけ露出が過度だったのが気になりました。
R15のラインまで持っていかなくてはならなかったのかもしれませんが、あのレベルの露出がなくてもエロースの関係性は描けていると思いました。
とにかく色々な意味で、「外し方」に身を委ねるべき一作
今泉力哉監督と城定秀夫監督、彼らの近作を好きな人なら必ずどこか響くところのあるであろう作品です。
表題どおりの事件はもちろん起きるし、実は予告編で結構重要な場面を見せちゃってるんだけど、そこに至るまでの過程が全く先の読めない展開で、観ている側は見事に城定秀夫脚本に翻弄されてしまいます。
予告編にも、夫に話しかけているように思わせておいて、実は猫(カンタ)に話しかけていた、という印象的な映像が含まれていましたが、とにかく演技にしてもセリフにしても、そして映像の切り取り方にしても、必ず何らかの形で観客の予断を、ちょっとだけ”ずらす”工夫が盛り込まれています。こうした演出・展開の巧みさはさすがの一言。
脚本では簡潔に書かれていたという、劇中のある作品についてのアイデアは、今泉監督が独自に味付けし、膨らませたそうで、城定監督も仕上がりを見て驚いたそう。このさりげないけど、むちゃくちゃ入念に仕組んだ付け足しもすごい。この部分はまた、作中で一番笑ってしまうポイントになっています(繰り返されるフレーズが頭から離れなくなる!)。
そしてもちろん、「猫映画」としても素晴らしく良くできていて、主人公(?)のカンタだけでなくそのお友達もまた、一体どうやって演技を付けたんだ、と感心させられます。とても良くできた作品なんだけど、四者の恋愛模様を結構直接的に描いているため、対象年齢がちょっと高め。この点だけは留意しておきましょう。
俺は今泉脚本が好きなようだ
離婚を決めたふたりだが、飼っていた猫をどちらが引き取るかが決まらず離婚届を出せずにいる。そこにお互いの現在の恋人が絡まり合って、どうなるかという話。
今回の作品は、今泉監督と城定監督が、お互いに脚本を提供しあって、相手の脚本を監督して作品を作るという企画。だからこの映画は、城定監督が書いた脚本を今泉監督が監督して作った方の作品。今回、両方の作品を観て、どちらも面白かったが「脚本のよい映画はおもしろい」のではないかと感じた。そして今回は、脚本の面では今泉さんがうまいなあ、という印象だ。話が俺の好みとあっているんだろうな。
本作の感想だが、「愛の源の映画です。いいかい、"アガペー" から "エロース" に進化したんだよ」 と繰り返されるフレーズの劇中映画が変に印象的。そういうこと、力説する監督いそうだよね。というか、検索すると出てくるから、愛を描く人には当たり前の概念なのかもな。
アガペー:キリストが説く無償の愛。与える愛。
フィリア:アリストテレスが説く共通の価値をともにする愛。友情。同等の関係。
エロース:プラトンが説く何かを求める欲求。
プラトニックとは、「プラトン的な」という意味だそうです。いや変な面で勉強になったな。俺にとって哲学はまだまだ遠い遠いところもある存在だな。
会話中の自動車の音とかが、今泉監督っぽい演出と言うか編集だな、と思いました。さりげなく日常を感じさせる工夫を差し込んでいるよね。
ベッドシーンこそ、この映画の主題では?
前半、4人の男女の関係性の描写に、ややテンポの悪さが感じられるが、猫の誘拐を巡るドタバタからは、俄然、物語が動き出す。特に、4人が横一線になって、(主として女性2人が)言いたいことを言い合う長回しは圧巻で、本作の一番の見どころとなっている。
ベッドシーンは、製作に当たっての約束事であったようだが、決してサービスで挿入されている訳ではないだろう。夫婦のそれぞれの浮気相手とのベッドシーンはあるが、夫婦のそれはないところに、この映画の主題が隠されているように思えるのである。それは、夫婦の関係を続けていく上で重要なのは、セックスではなく、相手と一緒にいたいという気持ちであるということではないだろうか?
そして、セックスよりも愛の方を肯定しているという点において、言いたいことは、「愛なのに」と同じであるということに気付かされるのである。
猫は逃げたら何が残る…?こんがらがった4つの気持ちに見える想いと滑稽さ
『愛なのに』を観てから早2ヶ月。待望のもう一編をようやく。序盤はヌルく感じたけど、愛の歪な形が浮き上がって来たときにはトリコ。やっぱり好きだな…。
こちらは城定秀夫氏の脚本、今泉力哉監督のメガホン。比べることでもないが、柔くも繋がったこの世界観を思い出しながら潜っていく。下北沢トリウッド特有の距離感もあってか、これまた余韻が心を軽くする。服が鮮やかに見え、晴れた空に好きな人を思い浮かべる。心地良い休日だ。
「猫をどちらが飼うのか…」不毛な様で大事な議論、なんて彼らは言う。離婚寸前の夫婦に巻き起こる、こんがらがった愛の行方。言い訳のように考えていたはずの猫の引き取りを、気が付けば猫によって見透かされていく。そこに滲む滑稽さと人間らしい愛らしさがクセになる。多面的な表情と考えをシーンによって出す顔を変え、それを魅力的に映し出す手腕に改めて驚く。
「L/R15」の主題でもある、R-15の描写も、もちろんきっちり押さえられている。しかしながら、城定秀夫監督の撮り方が上手いのだと感心する形に。こちらは動機ではあるとはいえ、やっぱりそれに説得力を持たせられることは容易でない。その比較が出来るのもこの企画の面白さかも。
主演は山本奈衣瑠さん。本作をきっかけに知ったが、どの色にも染まっていないその魅力に唸る。カジュアルなコーデに可愛らしさを覚えつつ、普段の姿に少しの油断とスイッチの切り替えを持っているようで、一段と引き込まれる。
毎熊克哉さんも良いナヨナヨ具合でちょっと腹が立つし(笑)、井之脇海さんも可愛い顔して意外と攻めるところは攻めるいい役どころだった。そして何より手島実優さん。HARIBOで何でも出来ると思ってる彼女よ。いい感じの小悪魔で、もっとこういう役どころで見たいと言わせてくれる説得力をしていた。
ちょうどK2で今泉力哉監督の特集をしていた。恋愛映画の名手と例えられることが多くなってきた彼だが、脚本が変わるとまた違った説得力になる。凄く面白い体験だった。
全92件中、1~20件目を表示