ホムンクルスのレビュー・感想・評価
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不気味なのに、時々エモい
漫画は読んでいません。
個人的にはジャンルが好みではないので点数は低めです。
綾野剛さんが好きなのと、予告編に興味をそそられての観賞。まずカメレオン俳優 綾野剛の凄みを実感したが、それ以上に成田凌の演技力には圧倒された。本作の中でもある時は真面目な研修医、ある時はパンクロッカーー、ある時はオネエ系っぽく?
一番謎に包まれた男が成田凌演じる伊藤であった。
(最後には伊藤の背景も描かれるが、その描き方も曖昧でもう少し深堀りして欲しいところ)
ミステリアスな世界観、人間の深層や裏の部分などを描き炙り出す作品には興味をそそられるが、完全に理解できない部分も多く、それなりに難易度が高い作品ではある。(特に女子高生のエピソードは私には理解できなかった)
人によってはエグい(グロい)描写も多いので要注意。
『愛がなんだ』の主演の岸田ゆきのと成田凌の二人のシーンが少しだけ観れたことに、ちょっと嬉しかったり。
伏線からの回収は巧みではあるが、少し突っ込みどころも多い…。エンドロール後はお楽しみシーンがありますので席は立たぬように!
アレンジ・追加要素でもうグチャグチャ
結論から言うと、近年まれにみるほどの酷い映画だった。
とにかく映画用にアレンジした内容にまとまりがない。
原作知らないと「?」の連続になること必至。
後半なんて間延びして「もういいわ終わってくれ」って心で何度か念じた程だ。
ちなみに私は原作はもちろんのこと、山本英夫の漫画は全て読了済み。
なのでこの惨劇は予想できた。何故なら映画「殺し屋1」も相当酷かったのだから。
(※「殺し屋1」も山本英夫原作、三池崇史監督で映画化。原作は大好き)
キャスティングに関して言うと、綾野剛の無駄使いだなあ…と感じた。
【内容に関して】
原作のほぼ全編に渡るエピソードを2時間程に無理矢理まとめた内容になっている。
以下で唯一わかりやすいと感じるのはヤクザ組長編のみだった。
・ヤクザ組長編
・女子高生編
・伊藤学編
・ななこ編
【女子高生編へのつっこみ】
女子高生は結局何のトラウマなのかよくわからない。原作だと親の異様さが丁寧に描かれているのでまだわかりやすい。しかし映画だと、何となく病んでいてリストカットしちゃっているんだなあ…とふわっとした印象にしかならないのだ。
それに車内で行為に及んだ下り。どうして表向きは拒否しつつも心ではひとつになろうとしているのか?映画だけだとわけがわからないと思う。
しかも何で彼女の母親がいきなりフラっとあらわれるのだろうか…?
【ななこ編へのつっこみ】
ななこ編も酷かった。酷すぎた。
ななこ(ちひろ)は元カノだと思っていたら別の人物だった。そして実は元カノ(なな子)を死なせてしまった人物でもある。しかもちひろは伊藤からトレパネーションを施されていたという衝撃の事実。
いや、もうわけわからん。どうしてこうなった感が凄い。
一応言っておくと、原作の設定を所々で踏襲していのは確か。
・なな子は元カノ
・別の女性を元カノだと勘違いする
・別の女性(原作だと「ななみ」という名前)もトレパネーションされる(原作だと名越に施される)
しかし、その各設定を一旦バラバラにして大雑把に組み直したという印象であった。
ちゃんとストーリーを練りなおしたのだろうか?とさえ思った。真面目にやってんのか…?
【伊藤編】
伊藤のトラウマもふわっとした描き方になっている。
父親の方が金魚を可愛がっていたというアレンジには驚いた。(原作だと逆で伊藤学がかわいがっていた)
しかも伊藤自身がトレパネーションを施すに至った心情は全く描かれておらず、やはり雑すぎる追加要素だと言わざるを得ない。(原作だとトレパネーションで気が狂うのは名越の方)
【CGのクオリティについて】
CGのクオリティもいまいちだと感じた。海外の名だたるCGプロダクションが生み出した超一流のCGに慣れてしまっているからだろうか。
・砂の女子高生
・伊藤の水人間
・街行くホムンクルス達
全てに違和感。すなわち、現実の世界に溶け込んでそこに存在しているような完成度は感じなかった。
ちなみに原作の解説については拙ブログにまとめているので、もし興味があればご覧頂きたい。
綾野剛&成田凌、凄くいいです
原作未読です。
オープニングがすごーくよくて何度も繰り返し見たい程でした。映像ーアングルも照明もーとmillennium paradeの音楽、両方がかっこいい世界を作ってました!
名越が見た、ヤクザや伊藤の脳内映像は、深層心理とかトラウマというものではなくて、子どもの頃の心の棘だと思う。そんな棘なんて誰だって持ってるじゃない?嫌だったら克服するために何かしようとか思わなかったの?と疑問だらけで説得力ありませんでした。女子高生の方は、~歳であればもう~でしょう、とか、女の子は~であるべきに押しつぶされている、と理解しましたが、母と娘の関係かなとも思いました。自傷の原因が母親であること、結構多いからです。
伊藤の最後の姿と表情、成田凌の狂ってる感は最高でした!
伊藤の父親の趣味に対しては突っ込みどころ満載!大のおとなが金魚鉢に金魚1匹ーーー!有り得ない!でも、いいです、もう。
この映画は室内劇で、綾野剛と成田凌の二人の会話、或いは一人で居るときの芝居の部分が導入でもあり肝要な役割を担っていると思いました。たった一人の場面での演技、凄く良く、非日常と日常を違和感なく行き来していた綾野剛と成田凌、素晴らしいです。ただ、綾野サイドの最後のまとめ方はこれでいいのかな❓️でした。
ホームレスのおじちゃんに、人間を値段で表すな!と怒鳴られた、そういう仕事をしてた名越。チヤホヤされても金持ちでも、そこはわかってたんだね、名越くん。
血もいっぱい出て、室内劇っぽさから、久しぶりにケン・ラッセルの映画を思い出しました。あと、生物の教科書だったか、身体の重要性に合わせて、脳内における大きさを表したらこんな風だよ、という図像(ペンフィールドのホムンクルス)があって、それがあまりに怖かったので、その図像のページはホッチキスで留めて、見ないようにしてたことを思い出しました。
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