聖なる犯罪者のレビュー・感想・評価
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罪深き人々
なぜか感情移入もできないし、のめり込めなかった。ストーリーは予想した通りだったのですが、出所直後にいきなり不良に戻るんじゃないかという映像もあり、本当に改心したのか?という疑念が終始付きまとってしまいました。
司祭にしても「罪深いわたしのために神に祈ってください」と言うのだから、人間はみな罪人なのだと思っていますが、前科というものがついただけで聖職者になれないというのは不思議な感覚。正体を隠すことも罪なので、これはどうしようもないのですが・・・
新興宗教のようなパフォーマンスが許され、人々に受け入れられるという展開。どことなくアメリカ映画の牧師といった雰囲気もあるが、こうなりゃ、ゴスペル歌って踊って、バンドも始めてくれればいいのになぁ。
ダニエル=トマシュのくだりよりも、事故の原因となった男の妻が村八分にされていることの方が気になってしまいました。これが群集心理。キリスト教を外れているとも感じられる彼らを導くのがトマシュの天命となっていく。まるで『教祖誕生』。そんなやりすぎ感も過去を知る仲間等の存在で・・・
ちょっとわからなかったのが、物置の火災。少年院仲間の放火?それとも自然発火?それはともかく、これが実話だということが驚き!
やれば出来る?
実話を元にした映画らしいのです。洋画に飢えているので期待して鑑賞。成せばなる!を地で行くエセ神父様。門前の小僧が実体験を語って美辞麗句を並べないから、人間的に愛されてしまう内容には共感。ただ、タバコを吸わない人間が観ていると受動喫煙している気分になるので飲み物は必須の映画でした。
主人公に共感してしまった
少年院にいたダニエルは、前科者は聖職に就けないと知りながらも信仰心が高く神父になりたいと思っていた。仮釈放され立ち寄った田舎の教会で新任の司祭と間違われ、司祭の代理をすることになる。村人たちは司祭らしくないが本音で寄り添うダニエルを徐々に信頼するようになっていく。
交通事故で7人が死亡した凄惨な事故を知ったダニエルは、村人たちの心の傷を癒やそうと新興宗教の様な心の叫びを発散する方法などを実践したり、加害者とされた男の妻に対しても親身になって寄り添っていった。
しかしダニエルの過去を知る男が現れ・・・という話。
自分の様に宗教に関心の薄い人には難しい作品だった。ミサの重要性も理解してなくて、埋葬一つにしても勝手に埋めれば・・・なんて考えてしまった。
こんな不勉強な状態で観賞したが、主人公のダニエルに惹かれ、共感してしまった。
聖職者関係の作品って、実は・・・、みたいなのが多いのかな?難しいけど、色々考えさせられた。良い作品だと思います。
主演のバルトシュ・ビィエレニアが良かった。
現代に生きる教会
宗教は人間の想像による虚構。しかし、形が変われ、どの地域、どの時代もそこに生きる人々に何らかの秩序、美、感動、慰めをもたらしている。そんな虚構に無謀なリアリティを押し付ける想像力のない少年院の神父の振る舞いに大いなる怒りを感じる。素晴らしい映画です。
主役のリアルさが強烈な傑作
主役の存在感が危うくて、興味を引っ張り続ける力がある。殺人で少年院に入り、なぜかキリスト教に惹かれている姿が狂信的であり脆さも感じさせ、ブッとんでいるのだ。クスリも酒もやらないように少年院の神父と約束したそばからダンスミュージックがガンガンのクラブでクスリと酒と女とをひと通りした翌朝、神父に約束した製材所に向かう。
が、そこに収まれず、町の教会に入り込み、、、。
なぜそこで神父の制服を持っているのかは分からないが、ここで制服を纏ってからこの映画はコスチュームプレイとなる。主人公が制服のまま司祭を続けられるか、彼を知る少年院仲間が製材所に現れて、、、というサスペンスが映画を進めていくが、なにより主人公がとても魅力的なのだ。リアルなのだ。
塵に神の意思は宿るか
とある聖職者が誕生する話
予告編を見た時から、主演のバルトシュ・ビィエレニアのやばい感じが見たくてワクワクしていた。
彼は予想を超えてやばかった、犯罪者の顔と聖職者の顔、天使と悪魔、正気と狂気がない交ぜになった難しキャラクターをよく体現できなと思います。
もう劇中、ずっと目がはなせないですよ、彼の目が完全にイってます。吸い込まれそう。
物語が進むにつれて優しさというか使命感というか、信念を持ったいい顔になるのですが、彼の目を見ていると不安になる。
強烈なキャラクターで画面を凝視させるだけなくちゃんと物語も練られていて、宗教に対して深刻なメッセージを投げかけていて考えさせられる映画でした。
犯罪者の言葉でも心に刺さった棘を抜けるし、癒しを与えることもできる。
飲んだくれの司祭の言葉も村人の支えになる。
彼ら二人は聖職者として不適合かもしれないけれど、心を救う力は備わっている。
そこに素行の悪さや犯罪歴は関係ないのかも知れない。
もちろん信用が存在しなければ言葉の重みも変わってくるけれど。
宗教と言葉の力を使う者を斬新な角度で見せてくれた。
お気に入りのシーン
①初めてのミサで不安ながらも聖歌を歌いだし、笑顔がこぼれる場面。
「あ、これいけるわ」
って絶対思った瞬間だよねあの笑みは
②刑務所仲間と酒飲んで取引する場面
なんだかんだ主人公の説得スキルが上がって相手も弱みを見せ始めたのに・・・
③小屋が燃えてる場面
予告編でも見れるけれど、終わりの始まり、決戦の合図、炎に照らされた主人公の顔がなんとも
これら以外にもいいシーンというかバルトシュ・ビィエレニアが画面に出てるだけで画になる。
危うさや病的な風貌にここまで惹かれてしまうとは思わなかった。
一種の怖いもの見たさかも知れないけれど、目が釘付けになる俳優なので今後に期待ですね。
色んな映画を見て、やばかったなーと思うことは多い。
やばかったの種類もそれぞれだあるが、
「聖なる犯罪者」のやばかったが一番近いのは「暁に祈れ」のリアル囚人エキストラの方々のやばさかな。
全然違う色合いの作品だし役者と素人でまったくの比較できないけれど、映画という作り物を超えて、こいつヤバいと思ったところが共通点かも。
囚人エキストラは現役の受刑者達だから雰囲気と存在感は当たり前に有る、バルトシュ・ビィエレニアは演技とは思えない犯罪者の雰囲気と存在感が備わっている。
これが彼の演技か内面の一部かわからないけどもいい俳優だと思います。
たとえこの作品しか出なくても記憶に焼き付く演技でした。
映画の枠を超えて脳を刺激してくれた本作に感謝。
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劇中セリフより
「重要なのはどこから来たじゃない、どこへ行くかだ。流れに身を任せるだけさ」
行き当たりばったりな人生も神のご意思かもしれませんね。
彼は聖職者と言えるのか?
確かに彼には神父の素養があったのだろう
あれだけ人を引き付けるのだから
しかし、心の底から神に仕えているとは思えない
自分の神父になりたいという希望が叶えられないと、出所後は酒や薬や女に溺れる
製材所に行かなかったのも同じ
神父の(仮)職にあった時は十分に信者らしいが・・・
これは、キリスト教では何をしても懺悔すれば許されるとか、教会に行っていればさえ許されるとか、そんな風に思われるところ、そのままではないか・・・・
希望が通った時だけ機嫌が良いきかん坊の様
映画としては面白く、引き込まれて最後まで楽しめました
人は悪役を作りたい
ポーランド語?
見てると作品にのまれるリアリティーのある作品。
しかしミステリアスで各キャラも良いのに、ストーリーの深掘りが足りていない印象。
フィクション要素を加えればもっと化けただろう。
良い点
・主人公の雰囲気が絶妙
・各々の演技
悪い点
・喫煙多め
・尺が足りていないか
・ゾンビ映画オチ
世の中はグレーでできている
本作は非常に難しいテーマだった。
実話というが、そこにも驚きである。
本作の色調がニュアンスカラーというかハッキリしないように、世の中は常にグレー。だから私たちは白黒ハッキリと付けたがるんだ。
神父、犯罪者、善人、悪人、経営者、被害者、加害者
何でもかんでも型にはめようとするが、様々な角度から見れば全てグレー、善悪、良否あってほんの些細なことでものの簡単にひっくり返ってしまう。
本作の主人公だって、神父らしいことをしていたかと思えば狂った様に踊り狂ったり、事故の加害者の妻もある意味被害者である。
何が正しくて、何が美しくて、何が善人で悪人なのか、
人は常にどちらにも転びどちらにもなれる。
言ってしまえば、世界はそんなものなんだと。
一つ言えるのは信仰心のある人、信念を持つ人は強いということ。
ラストの展開には少し残念だ。
赦しとは?
少年院を仮出院したダニエルは、ふとしたきっかけで偽の司祭となる
しかし彼の話す言葉には、何か表面的ではない真実が感じられた
素朴な村の人々にもそれは伝わっていたように思えます。
人は人を赦せるのか? キリスト教が一般的である欧米では一般的な
テーマであるのかもしれません。
人を赦すように、諭すのは簡単でも、自身が他人を赦すのは並大抵では
できないのではないでしょうか?
そして自分は何時、誰に赦してもらうのでしょうか?
ダニエルの心に平安は訪れるのでしょうか?
信仰を持たない自分は鑑賞後にこんな事を考えています。
18禁だから
これって学校で映せるくらい真面目な映画ですわ。
ラブシーンだけで決めちゃうのはどうですか?
赦す赦さないって、其処に行くまでの背景が少し説明書不足かな。
実話ベースということでそちらに寄せたか。全体的にモヤモヤが残りました。
良い映画ですが、消化不良です。
素晴らしいシーンが多く、とても楽しめました。登場人物達も魅力的で素晴らしかったです。その魅力的な登場人物達を演じる役者の皆さんもまた素晴らしかったです。
それだけにラストシーンは少し残念に感じました。もう少し答えと説明があれば、ググッと刺さると思うのですが…(しかしそうしたらしたで押し付けがましいとかいうかもしれませんね、観客とは贅沢なものなので)。ポーランドのユースカルチャーの面でもとても楽しめました。ヤンキーの直視に耐えないみっともなさと哀れさ、社会についていけない前科者の苦悩を感じます。そういった人たちを救うのが宗教、特にキリスト教だと思っていますが、(マルコ福音書 2:17 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 )残念ながら現代カトリックの組織としての方針は異なっているようです。本当に前科者が聖職者になれないというのはおかしな話ですね…
この題名は誰のこと?人間?
とっても見たかった作品。楽しみにしていた甲斐がありました。
製作した国が近いからでしょうか?最近観た「異端の鳥」と似たような雰囲気があるんです。
テーマも、似たような「人間って・・・」って感じですし。
「異端の鳥」のようなモノクロ映像ではないですが、どんよりした薄暗い空の下でカラー作品を観ているかのような、まぁ、色が色をなしてない感じの映像が似ているなぁって感じました。
その雰囲気は人間っていう得体の知れない生き物の内面そのものなのかも知れません。
ちなみに、暴力描写ハンパないです。オープニングの工場のいじめシーン、めちゃくちゃ痛そうです。(よくもまぁこんな痛ぶり方を思いつくもんだと)苦手な方はご注意を。
本作は神父の仕事に憧れた罪を犯した男の出所後を描いてるものですが、
「犯罪者が聖職者の真似事をした」という単純な話ではないと思います。
事実、神父になりすまし村の信用を得た男はいたみたいですが(それが基になってるんですね)それを描くことでその裏にあるテーマを掘り下げているのではないでしょうか?
善悪とは何で決まるのか?決められるのか?
目に見えることが真実なのか?もしかしてそれに惑わされていないか?
多数派が生み出す静かなる暴力。
加害と被害は表裏一体。
結局人間は許せる(赦せる)のか?
などなどの人間という複雑怪奇な生き物をニセ神父のエピソードで浮き彫りにしていきます。
そもそも、人を欺いていながらも、小教区の村の司祭となる主人公ダニエルの存在自体が矛盾でありかつ、複雑な人間そのものです。また彼を取り巻く村自体が人間社会そのものとして描かれている点が非常に興味深いです。
ただの「ニセ神父によるエピソード」に終わらせることなく、村の中にあるタブーを通して人間の闇(前述のテーマですね)を描いていきます。その物語の作り方は見事でした。
また、ダニエルの心情の変化も丁寧に描かれていると思います。逃げるための手立てではなく、自身が神父としての存在意義を見出す瞬間があります。そこが見事です、セリフも含め。あぁ、彼は何かを見つけたなって思わせます。
犯罪者であり、刑期の中で触れた(であろう)キリスト教に魅せられたダニエルの言葉は、現実的でありかつ純粋なのでしょう。キリストの教えは泥水をすするように酷い刑務所生活の中での一筋の光だったのかも?生きた言葉ゆえにシンプルで本質をついています。彼の言葉は村人に届き、そして救いをもたらしたのかも知れません。
なんとなくですが、村全体に明かりが灯るかのようにクライマックスの映像は明るく、未来を予見できるような感じでした。(あくまで村のですが)
さて、そんなダニエルはどう裁かれるのか?どのような未来を迎えるのか?
ラストは、ラストに至るプロセスは・・・これまた本作のテーマに沿ったもので、かつ(考えすぎでしょうが)キリスト教の教えそのものと人間社会の現実って違うんだって痛烈に訴えている気がしました。戦争がなくならないのはなぜ?戦いがなくならないのはなぜ?教えはいったい何を教えてくれるんだ?現実ってこうですよ!って。
ひっくるめて現実の人間社会なんですよね。悲しいけど。
なお原題は「Boże Ciało」直訳で「神の体」日本語では「聖体」だそうです。
またネットで調べただけですが、原題は「聖体の祝日もしくは聖体節と呼ばれるカトリックの祝日」とも言われてます。この日は各地でprocesja(プロツェシア)とよばれる行列があるそうです。
村でのエピソードのクライマックスのシーンはこれを想像させます。
だからこの題名なのかなぁ?
キリスト教に詳しければさらに興味深い作品かもしれません。
ポーランド映画、初めてみましたが素晴らしかったです。
難を言えば、ダニエルがキリスト教に魅せられていく過程を詳しく知りたかったなぁ。
沈黙は祈りか犯罪か。
冒頭で司祭になりすました主人公が、「沈黙も祈りである。」という。
この沈黙の意味が、これほど深く響くことになるなんてまず思わない。
彼の正体がいつバレてしまうかの危うさと裏腹に、着実に住民たちの
心を拓き繋げていくその行動を、善悪で片付けられないところで唸り、
悲しい事故の真相を、事故で亡くなった家族の醜態を、黙して語らぬ
こともまた祈りであることを、まさかの人物に教えられるという衝撃。
罪人は死ぬまで罪人なのか
ポーランドとフランスの合作、所謂少年刑務所な所で信仰に目覚め、出所してひょんな間違いから、村の神父に成り変わり、自身の視点で村人を救おうと罪人の事を隠し、神父を続けて充実をした毎日を送って、そこの村の事件を解決などしたり、人を救ったりしてるが、身分を知る少年が現れ、そこから…
とてもシリアスで切ない話です、私には信仰がないので共感は出来ないですが、頑なに悪者を決めつけ排除しようとする村人、そっちの方が罪人ではないか。
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