まともじゃないのは君も一緒

劇場公開日:

まともじゃないのは君も一緒

解説

「婚前特急」の監督・前田弘二と脚本・高田亮が再タッグを組み、成田凌と清原果耶がダブル主演を務めた恋愛ドラマ。人とのコミュニケーションが苦手で、数学ひと筋で生きてきた予備校講師の大野。今の生活に不満はないが、このままずっと1人でいることに漠然とした不安を抱えている。世間知らずで「普通」が何かわからない彼は、女の子とデートをしてもどこかピントがずれているような空気を感じる。教え子の香住は、そんな大野を「普通じゃない」と指摘してくれる唯一の相手だ。恋愛経験はないが恋愛雑学だけは豊富な香住に、「普通」を教えてほしいと頼み込む大野だったが……。

2021年製作/98分/G/日本
配給:エイベックス・ピクチャーズ
劇場公開日:2021年3月19日

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(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

映画レビュー

4.0和製スクリューボールコメディの可能性

2021年4月30日
PCから投稿

前田監督は、長編デビュー作『婚前特急』の時から、日本的な表現や制約は感じさえつつも、ルビッチ、ワイルダーに代表されるようなハリウッド黄金時代のスクリューボールコメディを彷彿とさせる珍しい作風だった。その後の監督作のすべてを追えているわけではないのだが、デビューから10年経った本作は、まさに王道のスクリューボールコメディであり、10年越しに元気だよと手紙が届いたような(友達でも知り合いでもないですが)、なんと嬉しくなる作品だった。

一見、そりの合わない男女が惹かれあう、というのがこのジャンルの定番なら、ほぼその通りの内容ながら、絶妙なバランス感覚で昨今問題になりがちな「歳の差」の扱いに向き合っているのもいい。タイトルには「まともじゃない」とあっても、こんなにまともで真っ当な映画もなかなかないんじゃないか。もちろん面白い映画の中で、ってことですが。

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村山章

4.0刻々と変わる二人の関係性がたまらない

2021年3月30日
PCから投稿

前田作品はいつも、何気なく始まった会話が生き物のようにうねり、それにあわせて登場人物の内面や関係性が大きくうねる。とりわけ脚本の高田亮と組んだ作品はそういった場面のオンパレード。本作「まともじゃないのは君も一緒」も軽く楽しめるコメディに見えながら、このチームならではのこだわりが緻密かつ大胆にスパークしている。高田の紡ぐ言葉も面白ければ、その一言、一音に生命を吹き込む成田凌と清原果耶は、まるで往年のスクリューボールコメディから飛び出したかのような微笑ましい相棒ぶり。一方の前田監督は長回しを駆使しながら、二人に化学変化が降りてくるまでの過程を息長く、軽やかに写し撮る。そうやって織り成される描写は軽快さを通り越し、スリリングでさえある。”まともじゃない”と銘打つのは自ら難度のハードルをあげるようなもの。だが、本作は見事にそれを超えてきた。丁寧に醸成された空気感、そのクセになる味わいを堪能したい。

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牛津厚信

4.5コメディも制した清原果耶に死角なし。「おかえりモネ」への期待も一層高まる

2021年3月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

NHK朝ドラ「あさが来た」で見た時は可憐で演技もうまい子だな、ぐらいの印象だったが、“清原果耶”という女優を認識し注目し始めたのは「3月のライオン」から。当初のピュアな役柄に続き、十代後半ですでに卓越した表現力を身に着けたがゆえか、陰のある役、ダークな役も的確にこなしてきた。映画初主演作「宇宙でいちばんあかるい屋根」にも若干コミカルな要素があったが、「まともじゃないのは君も一緒」で遂にラブコメ主演を果たす。

高田亮の脚本と前田弘二監督の演出は清原のくるくる変わる表情の魅力と緩急自在の台詞回しを効果的に活かし、もうひとりのダブル主演・成田凌とも「ズレているのにテンポ良し」という高難易度の掛け合いを成立させた。“耳年増”だが実体験ゼロの女子高生・香住が、数学オタクでコミュ障気味の予備校講師・大野のためと称して、自分が憧れる青年実業家の婚約者を大野に誘惑させるが…というストーリーは、さして深みはないものの、とにかく軽妙な会話と小気味よい展開で、いつまでもこの世界に浸っていたいと思わせる。音楽の使い方も巧いと感じた。

5月からの清原の朝ドラ主演作「おかえりモネ」がますます楽しみになった。

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高森 郁哉

4.0成田凌と清原果耶の演技が冴え、脚本も面白くテンポの良いコメディー佳作。

2021年3月19日
PCから投稿

本作は、何といっても「数学の予備校講師の成田凌」×「高校生の清原果耶」の化学反応が想像以上に面白かったです。
数学ネタは汎用性の高さが特徴で、本作でも物語のいろんな背景を際立たせるのに役立っています。
このように本作は、ベースはとても面白く良く出来た作品なのです。
ただ(私の本業でもあるからか)唯一気になってしまったのは、「予備校講師」と「生徒」という設定の「教室のシーン」です。
【見たところ、予備校講師というより、個別指導のような体系の塾講師という感じでしょうか。最初は設定通り「軽い雑談、そのあと授業」というルールを守っています。ただ次は、雑談だけで予備校を出てしまいます(時間給制なので「これはあり得るの?」と心配に)。さらに終盤では周りの人らが消えたのか、雑談で大声を出す異空間状態など、この初期設定だけはどうしてもフォローできない惜しい点でした。】

このような細かい設定さえ気にならなければ、とても面白く見ることができると思います。
成田凌と清原果耶の、これまでとはまた違った演技も見どころですが、小泉孝太郎の存在も面白さを増幅させています。おそらく小泉孝太郎の親族(政治家の弟、元政治家の父親)をイメージして当て書きしたのではないかと思える(ポエミーな)青年実業家をよくぞ引き受けてくれて、成田凌らのツッコミが見事に炸裂しているのも見どころです。
そもそもタイトルにもある「まとも」とは何か? こういう根本的なことを題材にして俯瞰して見せるなど、なかなか示唆に富む良質な作品でした。

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細野真宏
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