まともじゃないのは君も一緒のレビュー・感想・評価
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和製スクリューボールコメディの可能性
前田監督は、長編デビュー作『婚前特急』の時から、日本的な表現や制約は感じさえつつも、ルビッチ、ワイルダーに代表されるようなハリウッド黄金時代のスクリューボールコメディを彷彿とさせる珍しい作風だった。その後の監督作のすべてを追えているわけではないのだが、デビューから10年経った本作は、まさに王道のスクリューボールコメディであり、10年越しに元気だよと手紙が届いたような(友達でも知り合いでもないですが)、なんと嬉しくなる作品だった。
一見、そりの合わない男女が惹かれあう、というのがこのジャンルの定番なら、ほぼその通りの内容ながら、絶妙なバランス感覚で昨今問題になりがちな「歳の差」の扱いに向き合っているのもいい。タイトルには「まともじゃない」とあっても、こんなにまともで真っ当な映画もなかなかないんじゃないか。もちろん面白い映画の中で、ってことですが。
刻々と変わる二人の関係性がたまらない
前田作品はいつも、何気なく始まった会話が生き物のようにうねり、それにあわせて登場人物の内面や関係性が大きくうねる。とりわけ脚本の高田亮と組んだ作品はそういった場面のオンパレード。本作「まともじゃないのは君も一緒」も軽く楽しめるコメディに見えながら、このチームならではのこだわりが緻密かつ大胆にスパークしている。高田の紡ぐ言葉も面白ければ、その一言、一音に生命を吹き込む成田凌と清原果耶は、まるで往年のスクリューボールコメディから飛び出したかのような微笑ましい相棒ぶり。一方の前田監督は長回しを駆使しながら、二人に化学変化が降りてくるまでの過程を息長く、軽やかに写し撮る。そうやって織り成される描写は軽快さを通り越し、スリリングでさえある。”まともじゃない”と銘打つのは自ら難度のハードルをあげるようなもの。だが、本作は見事にそれを超えてきた。丁寧に醸成された空気感、そのクセになる味わいを堪能したい。
コメディも制した清原果耶に死角なし。「おかえりモネ」への期待も一層高まる
NHK朝ドラ「あさが来た」で見た時は可憐で演技もうまい子だな、ぐらいの印象だったが、“清原果耶”という女優を認識し注目し始めたのは「3月のライオン」から。当初のピュアな役柄に続き、十代後半ですでに卓越した表現力を身に着けたがゆえか、陰のある役、ダークな役も的確にこなしてきた。映画初主演作「宇宙でいちばんあかるい屋根」にも若干コミカルな要素があったが、「まともじゃないのは君も一緒」で遂にラブコメ主演を果たす。
高田亮の脚本と前田弘二監督の演出は清原のくるくる変わる表情の魅力と緩急自在の台詞回しを効果的に活かし、もうひとりのダブル主演・成田凌とも「ズレているのにテンポ良し」という高難易度の掛け合いを成立させた。“耳年増”だが実体験ゼロの女子高生・香住が、数学オタクでコミュ障気味の予備校講師・大野のためと称して、自分が憧れる青年実業家の婚約者を大野に誘惑させるが…というストーリーは、さして深みはないものの、とにかく軽妙な会話と小気味よい展開で、いつまでもこの世界に浸っていたいと思わせる。音楽の使い方も巧いと感じた。
5月からの清原の朝ドラ主演作「おかえりモネ」がますます楽しみになった。
成田凌と清原果耶の演技が冴え、脚本も面白くテンポの良いコメディー佳作。
本作は、何といっても「数学の予備校講師の成田凌」×「高校生の清原果耶」の化学反応が想像以上に面白かったです。
数学ネタは汎用性の高さが特徴で、本作でも物語のいろんな背景を際立たせるのに役立っています。
このように本作は、ベースはとても面白く良く出来た作品なのです。
ただ(私の本業でもあるからか)唯一気になってしまったのは、「予備校講師」と「生徒」という設定の「教室のシーン」です。
【見たところ、予備校講師というより、個別指導のような体系の塾講師という感じでしょうか。最初は設定通り「軽い雑談、そのあと授業」というルールを守っています。ただ次は、雑談だけで予備校を出てしまいます(時間給制なので「これはあり得るの?」と心配に)。さらに終盤では周りの人らが消えたのか、雑談で大声を出す異空間状態など、この初期設定だけはどうしてもフォローできない惜しい点でした。】
このような細かい設定さえ気にならなければ、とても面白く見ることができると思います。
成田凌と清原果耶の、これまでとはまた違った演技も見どころですが、小泉孝太郎の存在も面白さを増幅させています。おそらく小泉孝太郎の親族(政治家の弟、元政治家の父親)をイメージして当て書きしたのではないかと思える(ポエミーな)青年実業家をよくぞ引き受けてくれて、成田凌らのツッコミが見事に炸裂しているのも見どころです。
そもそもタイトルにもある「まとも」とは何か? こういう根本的なことを題材にして俯瞰して見せるなど、なかなか示唆に富む良質な作品でした。
映画に集中できないキャスティング
君島彩夏役の山谷花純が印象強すぎる。え、この子だれ?えええ?
となりましたが、「らんまん」にも出演していた俳優さんですよね。
インスタもフォローしていたし。ハハハ。
清原果耶はテンションを緩めたり張りつめたりと、
演技の幅が広いのと、成田凌の空気読めない感がスポっと
はまってて、ラブコメ的には何作か共演してほしいふたり。
脚本の構成的には、もうじれったいよねすれ違い系なので、
定番安心二塁打的な、心地いい感が満載だ。
ただし、清原果耶の設定が女子高生(高3)といういろいろ
恋愛してはいけない(大人とは)形なので、映画的にこの二人が
プラトニックで進むべきところだね、と温かく見守れる。
受験生だけど、ほとんど勉強しているシーンがないので
イラン部分カットしての進行なんだけども
予備校設定がもちっと活かしてほしいなぁ。
年齢的な背伸び葛藤がこざっぱりしているので、
若い子が観るってよりも、大人が観てのほほんとする映画。
「普通」
普通という概念が理解できない数学の予備校講師大野。
彼の担当生徒の秋元との余談はいつも会話にならないのは、彼女がよく遣う「普通」という概念が大野には理解できないからだ。
ある日秋元は詰め込み知識の数学に飽き飽きして、これからの未来を主張するおもちゃメーカー社長宮本の理論を夢中になって話す。
会話はかみ合わないものの、大野の性格や話し方などから、秋元が大野に「結婚は無理だ」と断言したことで、彼の不安が大きくなり、秋元の言う「普通」の感覚を養って女性と結婚できるための課外授業を開始した。
この作品のテーマは「普通」
この誰もが普通に使う「普通」という言葉には、似たような関係者にしかわからないニュアンスがある。
みな意外にそんなことを気にせず使っている変な言葉なのかもしれない。その普通が理解できれば仲間で理解できなければ部外者だ。
その意味が理解できないのが数学講師という設定も面白い。
数学にのめりこんで趣味も数学という大野には、普通の女子高生が言う「普通」を理解するために彼女の授業のようなものを受けることになるのがこの物語の原動力であり面白いところだ。
秋元から見て大野の話し方や考え方は全く理解できないが、「僕には君が必要なんだ」とストレートに言われたことが胸に突き刺さってしまう。
このあたりから彼の恋愛アドバイザーが、彼の恋愛を邪魔するようになる。そしてそんな自分の気持ちがよくわからない。
宮本に呼び出されホテルに入る秋元。後日大野は「普通なんかどうでもいい。君が遣う普通は、何かをあきらめる口実でしかない」「僕は君を傷つけた宮本を許さない」と明言した。
大野には曖昧なものなどないのだろう。この男らしさのギャップが秋元の心に響いた。
口先だけの男宮本。秋元は彼の講演で質問するが、彼の言葉は嘘で塗り固められているような気がしてならない。何一つ心に響くものがない。
作品のタイトルの意味は、大野から秋元に投げかけられるのかなと思っていたが、当たり前のように「普通」を連呼する人誰もに投げかけているのかもしれない。
二人で森に出かけ、秋元は大野に告白するが、大野の反応はいまひとつ。でもそれは彼特有の考え方の裏返し。
この作品の登場人物に小泉孝太郎を採用したのは、監督の何らかの意図があったのかなと深読みしてしまいそうになる。
気になったのはそのくらいで、基本的に面白い作品だった。
いや、いいぞ 邦画嫌いを自称する私ですが良かった 原作があるなと勘...
いや、いいぞ
邦画嫌いを自称する私ですが良かった
原作があるなと勘違いしたぐらい小説的というか
文字にしても可笑しさが楽しい作品だろうと
キービジュアルもいいよね
邦画のビジュアルほんまにダサくて、それだけで一つマイナスやけどこれは単館ぽさもありながらポップ
邦画の大嫌いなありがちなドヤ感も白々しい間もない
感謝
頭でっかち
2023年11月9日
映画 #まともじゃないのは君も一緒 (2020年)鑑賞
数学一筋でコミュニケーション能力ゼロの予備校講師が、恋愛がしたいと、恋愛経験ゼロの知ったかぶり女子高生にアドバイスを求める
テンポ良い会話がとても面白かった
共演の #泉里香 と #小泉孝太郎 がいい味出してる。特に孝太郎
ナヨナヨ成田凌
共感力高い人は共感性羞恥で序盤死にそうになるから心して臨んで欲しい。
タイトル通りまともじゃない事は別に悪いことじゃないしみんなそれぞれまともじゃないところがありますよって話なんだけど、それを言葉で言うのではなく映画で表現する事の意味とそれによって表現される豊かさがしっかりとある作品です。
周囲の噂とかで勝手にイメージを作られた人と実際に接してみるとこんな人だったんだ!的な新鮮な驚き描写が好きすぎる。
あと、ナヨナヨしてる成田凌っていいよね。
泉にはイライラし、清原は1番おかしい 成田は変わり者だけどまともじ...
泉にはイライラし、清原は1番おかしい
成田は変わり者だけどまともじゃないとはいえない経験がないだけの人間
まともじゃないのは清原だけやし清原も結構イラつくし
スッキリしない不完全燃焼って感じで見るんじゃなかった
笑うことはなかった、普通の物語
よく言いがちな「普通はそうでしょう」ってことを風刺する意図が透けてみえすぎてしまうことがあって。いやそもそも普通なんてないと思っているひとからすれば、この登場人物の個性の物語ってことで、風刺やコメディさえ感じない。なので、ほとんど笑えなかった。
成田凌の得意なクールさが出ていて、この登場人物、成田凌なんだなと思っただけ。女子高生もあんなにズケズケと言うことってある?もう少しなんだか言葉にできないもどかしさがある感じの方がよかったのではないかと思って、なんだか生意気さ、強がりだけが目立ってしまったような、作った感じが出てしまっているような。なんだかコメディでもなく、なんだか中途半端だったな。いや、勝手に笑いを期待していただけに肩透かしだったので、余計にそう思っただけかも。
会話の妙・・
設定が小林啓一監督作品に似てるからと言う事でお薦めを頂き鑑賞。もしかしたら小林監督の創作の原点を見つけらると思って見たがこの作品の方が小林監督の様式が確立される遥か後の作品・・・影響を受ける事はあっても影響を与える事は物理的に無い。しかも見てみると分かるがこの作品のセリフ回しには明らかにシナリオ制作側のキャラクター設定が透けて見える。視点はあくまでの主人公の女子高生で、相手役の数学の先生はあくまでも狂言回しでキャラが作中でぶれていく。いやこれが普通なのである。漫才でもそうでボケはツッコミの良きトリックスターであることから優れたコントが成立する。ひとつの設定で複数のキャラが独立した人格を以ってあたかも全く影響を与えて無いかのような自然な様相を以って進行すると言うのは極めて難しくドラマ史、物語史の中でかつて成立したのを見たことがない。それほどまでに小林ワールドは異様なのであり特異なのだ。
話が反れたが小林作品と比べなければこの作品、十分面白く、見応えはあるし楽しめる作品であることに変わりはない。良作である。
普通じゃなくていいいね
すごい良かった。話のテンポ感、崩し、人物相関が完全に自分のツボだった、成田凌さんの演技幅にも驚かされたし、この脚本家さんはかなり笑いのセンスが高いと思った。
サブストーリーも後の物語に繋がってるのが綺麗でまとまってて凄い見やすったです。
とても笑ったし。恋愛とはこういうものなのかなとも考えた、少し変わった。
ありがとうございました。
何かとても癒される
成田凌と清原果耶がとにかく良い。
これは何だろう?ロマンティックコメディとでもいうのかな。
冒頭5分で伝わってくる、先生も生徒も両方ヤベェ感。
それとこの二人のやりとりがひたすらに楽しい。
そのスピード感といい、とてもテンポが良いのですね。
スーツ買いに来た時の続けて出る「じゃ私のも買お!」は声出して笑いましたw
スタートはのんびりなんですけど、段々と引き込まれる感じが何だかくすぐったい。
色々なシーンが面白いのだけど、商店街のおっちゃん達に愚痴ってるところとかすごい好きです。
そこからの無銭飲食とか、細かい演出がやっぱりうまい。
バックで流れる調子を落とした音楽が、何だか二人みたいでぴったり。これも作品にあってました。
それと本当、服選びって大事だなって思いましたね。
エンドロールでかかるCHARM PARKも良い。
日曜の夜「あした仕事かぁヤダなぁ…」って感じで見始めたんですが、終わる頃にはすごいすっきりな気分に。
何かとても癒される作品でした。
会話のテンポ
清原果耶ちゃんが大好きなので見ました。結構評判良くて楽しみにしてたけど、期待通りの面白さ!
そんなに派手な映画ではないけど、会話のテンポがよくて、主演2人の演技も自然でいい。軽く見ることができる。
果耶ちゃん演じる秋本が成田凌演じる先生を次第に意識しているく様子も見ていていじらしくて面白い。
内容もさながら、役者としての成田凌と清原果耶の技量の高さを感じる作品だった。見て損はない。
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