劇場公開日 2019年11月8日

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「全国の図書館に置いたらどうでしょうか その前に、劇場の支配人さん、ちょっと考えて❗ 真面目なレビューです」夕陽のあと カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0全国の図書館に置いたらどうでしょうか その前に、劇場の支配人さん、ちょっと考えて❗ 真面目なレビューです

2019年12月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

単純に産みの母親の葛藤と里親の意地の話しではないところまで昇華されている美しい映画でした。

特別養子縁組制度について考えるきっかけになりました。ただ、映画の冒頭にテロップで説明が少しありましたが、この制度で縁組が成立した例は非常に少ない。子供は産みの親の戸籍から完全に抹消され、永遠に育ての親だけの子供になるらしい。この映画の作り手はこの制度に対するあからさまな反対は表明はしていない。しかし、映画の冒頭で単なる里親からの養子縁組との違いをテロップで示しているので、何らかのメッセージを感じる。制度自体が広く理解されている訳ではなく、まずは産んだ子供を手放した親の事情や心理、里親になることを志願した家族の事情や本当の親になろうとする努力、揺らぐ心の様を理解しなければ、この制度を云々することには遠く及ばないと思って、この映画を作ったのだと思います。
セリフ一つ一つに無駄がなく、必要ギリギリに削がれ、貫地谷しほり、山田真歩の演技に委ねられていたと思います。複雑な状況なので、言葉で説明し過ぎがちになるところを、お二方の演技力と細かな場面設定で映画にしました❗

個人情報保護法もあり、この制度自体が産んだ母親が自分の子供がどこで暮らしているかも知ることさえ出来ない。
だから、この映画のようなことは、突っ込むつもりもありませんが、あり得ない。いくら後悔しても、謝りたくても出来ない。育ての親ともニアミスしても、わかりようもない。それでは、物語にはならないわけです。物語にならなければ、両者の心を直に戦わせることも、理解し、許し、感謝することもない。ファンタジーと言ってしまえば、それっきりです。だからこそこの映画は素晴らしいと思います。

 子供はまだ何も知りません。子役の豊和くん、とよかずじゃありません。とわ です。いい名前。可愛くて、個性的な子で、大きくなって、俳優をやるんなら、うんと応援したくなりました(柳楽優弥みたいになりませんように)。地元の皆さん。とわくんがぐれたりしないようにサポートお願いします。

美しい自然、海の幸に恵まれた小さな漁村の美しい夕陽。一隻の漁船が湾に出て行きます。二人の母親を乗せて。
幸せになって欲しいと願わずにはいられません。

詳しいことは他の人のレビューを読んで下さい。みんないいレビューです。

11月13日 シネマカリテにて

追記
役所の男性職員役が宇野祥平さんで、なんか悪さすんじゃないかと、ちょっと冷や冷やしました。真面目な役も🆗✌️でした

カールⅢ世