「かぼちゃとアーモンド」KESARI ケサリ 21人の勇者たち everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
かぼちゃとアーモンド
1897年9月12日、21人からなる第36シク連隊が、1万人のパシュトゥーン部族の侵攻に抵抗すべく、Saragarhi砦で約8時間ノンストップで闘い抜いたという史実に基づいた作品。
主人公はその隊長Havildar Ishar Singh。
背景として、1849年にシク王国はイギリスに降伏し、シク教徒の兵士達は英国軍の指揮下にありました。
歴史を知らなくても説明があるので、それぞれの大まかな立ち位置が理解できます。
現在では死を美化し過ぎるのもどうかと思いますが、シク兵士の思考回路は、日本古来の武士道に通じるものがあるようでした。
彼らを奴隷と見下す英国軍人、残虐なイスラム教徒達に憤怒し、ならば我らの気高い精神をとくと見るがいいと戦います。
生きる自由も死ぬ自由も得た兵士達。
他の要塞を守るための時間稼ぎとして、自ら捨て駒となったのでした。
連絡係君が最期まで詳細を隣の砦に伝達していたので、正確な記録が残っているとのことです。
シク教の教義は全く知りませんでしたが、肉類の食事や他宗教にも寛容で、出身で格差を作らないよう姓を統一したり、祈りに時間を費やすよりも勤労で切磋琢磨すべしと教えたり、現世を生きる上では合理的で好感が持てます。神から与えられた体はいじってはダメということで、あらゆる毛は伸び放題ですが、そもそも身体の重要箇所を守るべく生えているものですし、長髪とターバンによってバイク運転時のヘルメット着用が免除されていたりと、重たくて首が凝りそうですがそこまで不条理という規律でもないです。髭剃りや剃刀は売れないでしょうけどね。
特にイスラム教との大きな違いは、負傷者や死者の扱いで目立っていました。
隊長役は生理のヒーローパッドマンを演じた俳優さんです(^^)。さすが女性に優しいのね〜と思いましたが、シク教において女性は穢れではなく男性と同じく神の被造物なため、女性を虐待したり売り物にしたりする行為とは戦わなければならないのだそう。素敵だわ。
サフラン色の誇り高きターバン。
頭と手首の輪っかがカッコ良いです。
皆さん可愛いかぼちゃ頭に長い髭なので、一部兵士達の見分けが付きませんでした。
演出は、非常に分かりやすいけどよく分からない(^_^;)…と言いますか(特にあのオカマ風の人)、ややチープなCGとB級コント感を微笑ましく観ていられるか、イライラするかは観客次第かと。
大袈裟過ぎるサントラに、スローモーションを多用しまくるので、結構頻繁にダレてしまいます。
高レビューに惹かれて鑑賞しましたが…
崇高なシク教を知ることが出来たのが一番の収穫でした。
そして、助け合いに国境はない。
無理矢理国境線を引いた英国の罪…。
時間に余裕があればどうぞ。