劇場公開日 2020年6月5日

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「今一番欲しいもの」デッド・ドント・ダイ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今一番欲しいもの

2020年6月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ストレンジでラブリー、エキセントリックでチャーミーなゾンビムービー。

近づく地球の終わりとまずい結末に少しずつゾクゾクしてみたり、ユニークなゾンビたちにヘラッと笑ってみたり、時折挟まれる風変わりなシーンに少し驚いてみたり。

確実に非日常が侵食しているはずなのに、常に柔らかくてのほほーんとした空気に包まれている。これが「ジム・ジャームッシュ節」というものなのかしら。
居心地の良い空気感にのんびり浸れるゾンビ映画って、あり?…あり!

「言葉を発するゾンビ」というのが新鮮だった。
コーヒーだの、Wi-Fiだの、シャルドネだの…「今一番欲しているもの」を繰り返し声に零しているのかな。
私がゾンビになったら何を言うかな、と考えてみたりして。今一番欲しいもの、なんだろう…ボールペン?香水?服?恋人?靴?マスク無し密密密の日々?欲が深すぎて絞れないな!

程よい個性を持った登場人物たちが愛おしい。
彼らと彼女らのゆるい掛け合いも好き。
少年院みたいな所の3人組がお気に入り。彼らはどこに行って、どうなったのか。気になる。

そして何より強烈だった、ゼルダのキャラクター。
直角に曲がる歩き方が好き。
ドラァグクィーン風磨の死化粧のシーンがツボで、声に出して笑ってしまった。ギャグ線高いのでは。
終盤の衝撃的な展開にも心奪われた。本当に何なの。
彼女のキャラクター性が映画の中でアクセントになっていたと思う。

この映画は何か伝えたいことがあったのかしら。
良い気分で観ていたけれど、特にグッと胸掴まれるようなことはなかった。
スリルも何もないし、でもラスト辺りはなかなか素っ頓狂で面白いし…なんとも不思議な感覚になる。
結局私、何を観ていたのかな?という気分。

メタ的な発言や小ネタにニヤリとできて良かった。
すごく面白いとは思わないけれど、確実に好き。

KinA