劇場公開日 2021年2月26日

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「小説が表情ゆたかに立ち上がっていた」あのこは貴族 motuniさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0小説が表情ゆたかに立ち上がっていた

2021年3月8日
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山内マリコさんの小説が好きなこともあり、観に行きました。
他の方も書かれているように、主演陣の演技が良かった。もし漫画みたくデフォルメされたザ・お嬢様と苦労人というキャラクター作りだったら、面白くなかったかもしれない。この映画では門脇麦と水原希子が細やかな演技をしていて、絶妙にあどけない華子の不器用さと、世馴れていつつ優しさのある美紀の姿が見応えがありました。石橋静河の自立した人間でありたいと願う女性像も、本当に身近にいそうな感じがする。

原作小説を読んだときは階級差への驚きと淋しさのようなものを強く感じ、読後感は明るいけど少し淋しかったのを覚えています。
恐らく、映画では「この子達、貴族だ…」のセリフで表される階級差へのショックが、美紀のモノローグで詳細に語られる場面が印象的だったから。
映像化されることによってモノローグが減り、代わりに交わされる表情のやりとりから、より優しさやシスターフッドのようなものを感じました。

この作品を観たら皆自分の出身について語りたくなると思うけれど、東京出身の私は大人になって他の地方から来た友人達と仲良くなり、自分も色んなことを教えてもらってきたのを思い出しました。

映画になってくれて良かった。

motuni