劇場公開日 2019年11月8日

  • 予告編を見る

「15年後も家族は繋がっていた」ひとよ さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.015年後も家族は繋がっていた

2019年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

冒頭から殺人シーンで一気に作品に引き込まれた。
白石監督ならではの暴力シーン、かなりの迫力。この父親から解放されるにはどうするのが1番の方法だったのか。母親にもDVはしていたのか。そして、殺人に善はあるものなのか、殺人を犯した者が罪を償ったからといって、家族であれど素直に受け入れられるものなのか、様々な疑問が浮かんだ。

登場人物の各々に葛藤があるが、みな家族という括りの中で、離婚問題に揺れる長男、介護問題だったり、自分と同じ道を歩み始めてしまった息子など、日常よくありうる問題を抱えている。それぞれが自分の人生が上手くいかない理由を母の犯した事件のせいにしたいのだ。本当は自分自身の問題だとわかっていながら…

母であるこはるだって、私は間違ってないと自分に言い聞かせるように言ってたけど、相当な覚悟と葛藤、苦しみに苛まれたはずだ。作品を鑑賞中、お母さん自殺しないでほしいと願いながら観ていた。

最終的に母の思いは真っ直ぐにではないが、ちゃんと子供達の心に届いていた。雄二が15年経っても、母から貰ったICレコーダーを使い続けていること、母を売った記事のデータを削除したこと。なかなか本心を言わない雄二が言った、父の命と引き換えにもらった自由を絶対に無駄にしたくなかったって台詞に、全てが詰まっていた気がする。

家族って難しい。1番近いけど、本音も言い合えなかったり、大切なことを言葉で伝えられなくて、理解してもらえなかったりする。恨んだり、憎んだりもあるかもしれないが、家族という血の繋がりだけは、どうやっても切ることはできないのだ。

さくらん