劇場公開日 2019年3月15日

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「歴史モノ、政治劇としての重厚感と、人間ドラマとしての繊細さと儚さ」ふたりの女王 メアリーとエリザベス ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歴史モノ、政治劇としての重厚感と、人間ドラマとしての繊細さと儚さ

2019年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

歴史モノは苦手、特にイギリスのごちゃごちゃした時代の王室モノはちょっと、という人にも、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーという実力派が女王として主演する本作は、幾分フレッシュな気持ちで歴史を紐解く絶好の機会となるはずだ。

かつて『エリザベス/ゴールデン・エイジ』で描かれたエリザベスとメアリーの確執だが、本作では安易に「敵味方」の二分立で描くのではなく、ふたりの心に「国家の頂きに立つ女性ならではの共振」を芽生えさせているのが特徴的だ。この点にこそ、現代に本作が解き放たれる究極の意義が集約されるのだろう。

忘れてはならないのがボー・ウィリモンの脚本。かつてG.クルーニー監督作『スーパー・チューズデー』を手がけた彼らしく、本作もまた良質なポリティカル・ドラマとしての側面が強い。特に中盤の情報戦、相手の弱みを握って出し抜く際の描写はお見事。現代劇以上にドキドキする政治ドラマと言えよう。

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牛津厚信