劇場公開日 2019年10月11日

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「ヤンキー感ある「薔薇」」ブルーアワーにぶっ飛ばす kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ヤンキー感ある「薔薇」

2020年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 2020年10月現在。地域別魅力度ランキングで7年連続最下位だった茨城県が42位にランクアップした(ブランド総合研究所)。何が良かったのだろうか?この映画のおかげ?最初にキヨちゃんが「ここに行きたい」と言ってた場所はたしかに気分が沈むけど、獅子頭展望台はなかなか魅力的!映画には登場しなかったけど、牛久大仏もちょっと体験したい・・・巨大化大好き!

 そんな茨城県の実家に思いついて帰省してみた砂田(夏帆)。お母さん役も南果歩だからカホカホ親子だ。本人は故郷が嫌いと言ってたり、家族を増やしたくないとも言ってたりと、ちょっと冷めた雰囲気も持つ女性ですが、堂々と不倫してたり、酒飲んで無茶苦茶になったり、現代的な女性でもある。キヨが車を買ったから、憂さ晴らしのように茨木へ・・・

 全体的には砂ちゃんの心象風景がメインなのですが、その映像の焦点からずれたところにキヨの姿がある。ホームビデオを回していることもあるけど、そのキヨの言葉が毎回面白いのです。シム・ウンギョンは『新聞記者』でも日本語を駆使してましたが、この作品でも台詞や仕草が面白く、2回目を観る際にはずっとチェックしてみるのもいいかもしれない。

 先日見た『レネットとミラベル』でも「青い時間」として描かれてましたが、幻想的でもある日の出前の青い時間に砂ちゃんの幼少期とダブらせて草原を歩いてる姿が印象的でした。また、夕暮れ時を「マジックアワー」とも表現されるし、映像では対照的ながらも神秘的な入れ替わりの時間帯だ。残念なのはエンディング映像がブルーアワーじゃなかったことくらいかな・・・

 たわいない会話や下ネタ会話、そして骨董品に凝ってる父、TVと会話している母、引きこもり教師の兄など、どことなく孤独を感じる家族を描いて、自分の居場所も見つからない様子。それでも客であるキヨはこだわりもなく溶け込んでいる感じがいい。

 こだわってたのは自分だけ?トンボを残酷なまでに殺したり、猫の最期を告げられた子ども時代。そして今高齢であるおばあちゃんも死に近づいているといった死生観も感じられる。その猫の死が影響したのか、「犬のおまわりさん」の絶唱にも心が映されたかのようだったし、終盤の夫との会話で猫アレルギーであることも発覚。ちょっとした会話にも色んな仕掛けがありそうで再鑑賞するのも楽しみになる作品でした。2回目は絶対シム・ウンギョンに注目で。

kossy
masamiさんのコメント
2020年10月16日

kossy様お褒めのお言葉ありがとうございます😊本来、私のレビューはネタバレはしない主義ですが、難しいので全面ネタバレしました。すみません。
関係ないのですが横浜の異臭騒ぎでドキドキしています。

masami