劇場公開日 2019年1月18日

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「条件付きシャマランの最高傑作」ミスター・ガラス つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0条件付きシャマランの最高傑作

2024年1月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

シャマラン監督はあまり好きではないので、「シックスセンス」「サイン」「ヴィレッジ」「アンブレイカブル」「スプリット」くらいしか観ていないが、その中では確実に一番面白い。
ただし条件があって、「アンブレイカブル」と「スプリット」は絶対に観ておかなければならない。出来ればなるべく直近で。

なぜなら、本作ではキャラクターの説明が一応されるものの、圧倒的に足りない。
この作品は三人の主要キャラクターと世界観をどれだけわかっているかにかかっている。
世界観とは、リアルな現代と考えて大体いいが、その中に非現実的な存在がポンっと放り込まれてリアルなのかファンタジーなのかあやふやな、現実世界で起こる可能性のある非現実のブレンド。

このあやふやさが序盤の物語をスリリングにしている。何かが起こりそうだという予感だけで、もうたまらんのだが、はっきりいって前半半分くらいは本当に何も起こらないと言っていいほどに何もない。
それを一番象徴する男がミスターガラス。作品のタイトルにもなっている彼は中盤あたりまで出てきません。やっと出てきたと思ったら一言もしゃべりません。おいおい、仮にもタイトルは「GLASS」だぜ、本作の主人公ではないのか?もっと頑張れよ、くらい思ってしまう。しかしこの不気味さこそ楽しむべきポイントなのだ。

終盤、三人が病院を脱出したあたりからは怒濤の展開。やっぱりミスターガラスは企んでたよ!
そのあとクローバーのイレズミの謎の集団の目的が明らかになる。彼らのやろうとしていること、思想は理解できる。恐らく彼らは「正義」なのだろう。しかし特殊な人間を排除しようとする考えは、近年の映画でもよくある、性的や人種的マイノリティの排除は悪いことだという今の世界的「正義」に反することであり、正義の反対が悪であるならばクローバーの彼らは「悪」ということになる。
するとどうでしょう。本来は悪役であったはずのビーストとミスターガラスに肩入れしている自分に気付くはずだ。

「己の身を犠牲にして事を成す」これだけ聞いたらスゴくヒーロー的じゃない?。ヴィランだったミスターガラスがヒーローに見えてくるでしょ。
そして、ミスターガラスの意思を受け取った、残された三人は動画を拡散させ、敵対してもおかしくない者同士、手を取り合い喜ぶ場面で共に喜ばずにはいられない。複雑な引っ掛かりが残っていたとしてもだ。

ミスターガラスの野望はガラスの破片が飛び散るように拡がった。ヴィランの彼が勝ち「悪は成った」

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つとみ