劇場公開日 2019年5月24日

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「惜しい」プロメア ミルズさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5惜しい

2022年7月27日
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楽しい

興奮

同スタッフ制作のアニメシリーズが
好みだったために鑑賞しました。

まず、良かった点について、
何よりキャラクター造形がとても良い
主人公を始めとして多くのキャラが
オリジナリティと王道が両立していて
装備も含め、良いデザインだと感じた。

また、音楽も素晴らしい。
ストーリーにも合っていたが、
どの曲も印象深く、曲単体でも
聴きたくなるものばかりだった。

だが、ストーリーと表現方法、
そしてその展開は疑問が残るものだった。

この映画は主人公とライバルの対比が
重んじられている思う。
キャラ造形からして
熱血の氷使いとクールな炎使いという
極端に対極なものとなっているし、
それが描きたかったのはわかる。

しかしこの2人の対比を重視しすぎて
(描きたいものを描きすぎて)
他のキャラクターの掘り下げが
あまりに少ない様に思われた
これでは世界観が広がらない。
そんな中で世界の危機を殊更に
叫ばれても、見ている側からすれば
唐突感が否めなかった。

主人公の同僚たちなど
魅力的なサブキャラクターが
多くいる中で、その掘り下げが乏しいのは
もったいないと思う。

また主人公とライバルの描写を
充実させた弊害として、もう一つ大きいのが
敵側のキャラクターが相対的に弱くなっている
ことである。

描写が少ないのもそうだが、
主人公たちのキャラクターが強烈すぎて
敵幹部はおろか、ボスですら食われ気味だった
要するに負ける絵面が想像できないために、
結末ありきでストーリーが薄く感じるのである
また魅力的なキャラ造形が多い中で、
ボスのデザインが相対的に地味な印象なのも
それに拍車をかけている

またストーリー的にもメイン2人に尺を
割きすぎて後半から終盤への流れが
雑に感じた。
ストーリー展開も飛躍的であり
あからさまな説明口調で
微妙に難解な伏線回収をされても
ストーリーに没入できない
(そういう映画ではないと言えばそれまでだが)

また表現方法にも気になるものが多かった
特にこの映画の最重要テーマであろう
「炎」の表現は、なぜかカクカクした
無機質な表現となっており
(意図的である可能性もあるが)
炎の持つ揺らめきや熱が感じられない
表現で有るように思われ、
極端にいえば炎に見えなかった。

背景も謎に無機質なものが多く
例としてあげるならば、
燃えている町並みが
規則的に消火栓が並んでいる光景であったり
人の営みが感じられないものであったりした
対して、キャラクター達の感情表現は豊かで
あるために、なおのこと乖離が激しい。
ジオラマにしか見えない街が燃えても
悲壮感や深刻さが伝わらなかった。

総じて、各要素は悪くないのだが
それらが上手く噛み合っていない
映画だという印象を受けた。

個人的にはこの制作陣の強みは
キャラクター造形や独特のストーリー展開
にあると感じたため、単発の映画よりも
ある程度の期間で尺が確保できる
シリーズものの方が本領発揮できると感じた。

ミルズ