華氏119のレビュー・感想・評価
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「民主主義の主役は民、民が黙れば民主主義の意思は消える。」
トランプ大統領誕生の舞台裏、ミシガン州フリント市水道水の鉛汚染に対するオバマの仕打ち、あのドイツの独裁者とT大統領の行動比較、民主主義崩壊へ突き進んでいる感に苛まれるラストまで、恐ろしい内容です。
WOWOWで放映されたのを録画し2日かけて観た。内容が濃すぎて一気に見れない。しんどくなったらストップしてお茶飲んだり、見落とした言葉をプレイバックしたりできるので、この手のヘビーなドキュメンタリー映画は映画館より家で見るのが好き。
もう間に合わないかも
マイケル・ムーアがトランプ大統領誕生の謎を解きながら、絶望的な展望に対するわずかな光にすがるドキュメンタリー。
トランプ大統領を生み出したのは、民主党ではないかと痛烈に批判する。
専制政治に対抗するのは、生みだした大人ではなく、若者かもしれないが。
日本も同じような感じだが・・・。
【今直ぐにでも、マイケルムーア監督はトランプを題材にした第二作を作らなければならない】
トランプが大統領にまさかの当選をして、3年が経とうとしている。彼の当選直後、世界は未だアメリカ人が選択した結果を受け止め切れていなかった。(呆然としていたといっても良い)
が、マイケルムーアは直ぐに行動に出た。この作品がその代表である。
今作が上映されてから、11か月が経つ。
この作品は、トランプが何故大方の予想を覆し、大統領になった経緯を分かり易く伝えている。が「華氏911」と決定的に違うのは、この作品ではアポなしゲリラ取材は殆どなく、当選した理由を大いなる揶揄を込めて説明する事に費やされている部分である。(マイケルムーアがトランプ当選を予言していたのは有名な話である事は皆が知っていることであろう)
<次作は、是非、トランプが現在そして今後何をしようとしているのかという部分に焦点を当てて制作していただきたい。>
この3年でトランプは我が物顔で世界を混乱に陥れ、当選前から指摘されていた彼の性格も徐々に露わになってきた。
そして、続々と世界各国に現れ始めたミニトランプ達。
誰かが彼を止めないと、世界は破綻への道を突き進んでしまう。
だが、この日本も含めてその誰かが見当たらない恐ろしさに戦慄する。
<2018年11月3日 劇場にて鑑賞>
マイケルムーアはただのパヨク
結論から言うとアメリカのトランプ嫌いなパヨクが作った、パヨクが観て溜飲を下げるための映画です。
まず、冒頭から始まるのは悪意のある映像の切り取りと編集によって、トランプが実の娘であるイヴァンカを性的な対象としてみているんだという印象操作。
ただ政治的な信条が違うというだけでここまで下劣な人格攻撃ができるのかと、劇場で観覧していて吐き気を覚えた。
他のレビューを見ているとこの作品に対して高評価を下している人が多いが、この明らかな印象操作について疑問を持った人はいないのだろうか。少なくとも、私はこんなことをするマイケルムーアのような人間は絶対に信用できない。
さらに続くのは、左翼が大好きなヒトラーと現代の政治家を重ねて無理やり類似点を作り批判するお決まりのパターン。ただのこじつけにしか見えなかったし、あまりに内容がお粗末なのでわざわざ金を払って劇場で観たことを後悔した。日本でもよく安倍総理はヒトラーだとか言ってる奴がいるが、まともな知識と判断力がある人ならそんな言動に騙されることはないだろう。
どうせならヒトラーよりたくさん人を殺してるスターリンとか毛沢東に重ねればいいのに、どうしてそうしないんだろうね笑
その後も、アメリカの水問題や民主党の票操作などが取り上げられていたが、正直アメリカ左翼の主観が多分に入った作りになっているので信用することはできないと思った。まあ、その辺の判断は観る人によって様々だろう。
まとめとしては、この映画を観て政治を悲観したりトランプを憎む必要はないし、トランプは差別主義者だ悪魔だと言って批判しても政治は良くならない。我々一人一人がマイケルムーアの様な人間に惑わされず、自分の頭で考え行動することが大事なのだ。
この現実を私は全く知らない。
ミシガン州フリントの水道に鉛が含有量を超えて入っている問題。
アメリカでこんな水俣病みたいなことが起きているなんて全く知らなかった。
教師のデモや、銃規制、人種差別、
トランプが大統領になったことだけが問題ではないが、加速していることは確か。
それを第二次世界大戦前のドイツでのナチス台頭と比較しているところが、
マイケルムーアが一番主張したいこと。
世界は、どんどん一部の富裕層によって、利益だけを求めて、
扇動されていっているような気がする。
都合のいいように洗脳されないこと。
事実を知ること。
声をあげる事。
一人一人が、それをしていかない限り、歴史は同じように繰り返されてしまうのかもしれないと感じた。
トランプ批判というより、民主党批判(応援も込めて?)が強い作品
ムーア監督が、筋金入りのリベラル派というのは言うまでもない。
直球のトランプ批判かと思いきや、それは一部に過ぎず、主は、民主党の選挙戦略、というか、サンダース支持者を非情にも切り捨てたことが敗因だったという分析。
なお、ムーア自身は、大昔はヒラリー好きを公言してたけど、それでも民主党指導部の対応はマズかったのだろう。(日本における報道ではそんな空気感まではわからない)
あとは、監督の地元の水道問題。チラッと報道をみたが、こんなにヒドかったとは…近年、水道の民営化が日本でも話題になっているので、そういう意味でも必見。
そうはいっても、やっぱりムーア。
ラストでは、若者たちの新たなる活動を追い、将来への期待を描いている。
基本的に楽観的で、希望を忘れない人柄なんだろう、と思う。
トランプ帝国は滅亡
『華氏911』でブッシュ政権を痛烈に批判したマイケル・ムーア。
今アメリカでは、ブッシュを下回るほど酷い大統領が君臨している。
言うまでもなく、ドナルド・トランプ。
ムーアがやらない訳がない。
と言う事で登場、トランプ政権を痛烈に批判したドキュメンタリー!
のっけから斬り込む!
2016年の大統領選。
全米では、初の女性大統領誕生なるか!?…に沸く。と言うか、もう当選確実と言っていいくらい。
歴史的瞬間。
…が、雲行きが怪しくなってきた。
そしてまさかの…。
“ドナルド・トランプ大魔王”降臨にかかる『オーメン』の音楽にウケた。
それにしても、自分もヒラリーが当選すると思っていたので、これには驚いたし、落胆した。
所謂世界の“大国”で、女性が未だ国のトップになった事が無いのはアメリカや日本くらい。男女平等を謳いながら、実はまだまだ男尊女卑、考えが遅れている。
トランプはどうも端から印象が悪い。
暴言・迷言・珍言の連続。それを“強い発言”と勘違い。
アメリカとメキシコの国境に壁を作る! イスラム国家をアメリカに入るな!…。人種差別。
劇中でも、黒人は消えろ! メキシコ人はレイプ魔のヤクの売人…と、信じられないドン引き発言。
女性軽視。娘イヴァンカはこの男から産まれたと思えないくらい美人だが、トランプの娘への言動が女性として見てるようで、ドン引きと言うよりもはや反吐が出る。
劇中では描かれていないが、過激な言動は日本に対しても。
俺は日本を愛してると言っときながら、日本は真珠湾攻撃の謝罪をしろ! 日本は米軍基地の維持費を全て負担しろ!…などなどなど。
おいおいおい、戦争を早期終結させる最善の手段で原爆によって犠牲になった大勢の人々、沖縄などで米軍兵士が犯してる事件の事などを知らないとでも言うのか…?
アメリカのトップという事は、世界のトップという事でもある。
そんな立場に居る者が、こんな言動を平然堂々と…。
アメリカ・ファーストなどではない。トランプ・ファーストなのである。
劇中ではトランプ個人への批判だけじゃなく、“トランプ一派”やトランプによって病に犯されたアメリカそのものの闇への警鐘を鳴らしている。
中でもショッキングだったのは、トランプ配下の知事が治める寂れた町の水質汚染。
鉛を含んだ水を飲んでいたという住人や子供たち。
その活気の無い町や人々たちに、我々が抱くアメリカのイメージは無い。
しかもそれを知り、知事は隠蔽。
犯罪以外の何物でもない。
突撃し、知事の広報官にその水を飲ませようとするムーアに天晴れ!
でも、知事の自宅にホースで水を撒くのは痛快だが、一応犯罪ですよ…。
TVでお馴染みの日本の某ジャーナリストによると、そもそもトランプは大統領になる気は無かったという。
大統領選に立候補すれば、それだけで自分や自分の事業のいい話題や宣伝になる。
ところが、当選しちゃったもんだから…。
思わず手に入れた、最高の権力。
そうなると、この最高権力を我が物にし、行使したくなってくる。
アメリカの大統領は、世界の王。
アメリカは、世界は、俺の物。
世界よ、皆よ、俺様の前にひざまずけ。
劇中では、トランプをヒトラーと比較する。
幾ら何でもトランプは、かの人類史上稀代の狂悪人ではない。そう思ってるし、そう信じている。
アメリカ・ファーストを掲げるトランプが、国内の“ガイジン”を収容所に隔離し…なんて事は絶対にしないだろう。
でも、トランプが行った名政策って…?
アメリカ大統領として初めて、北朝鮮のトップとの歴史的会談…?
和平より、自分の名を歴史に残したいからやったとも聞く。
本当にトランプは、“俺様ファースト”しか思い浮かばない。
来年は大統領選。
アメリカ大統領の任期は、短くて4年、長くて2期の8年。
劇中でトランプは、中国の習近平を例に挙げて、倍の16年や終身政権をほのめかす。
面白れぇ、出来るものならやってみろ。
そしたら、世界一の民主国家と主張する国から産まれた最低の国家元首…いや、独裁者を祝ってやる。
まさかこんな品と手腕の無い、相応しくない金の亡者が再選する事は無いだろう。
が、もし再選したら…。
愚かな大統領は、それを選び称える愚かなアメリカそのものなのだ。
レビュータイトルは、トランプ再選ならずを信じて。
大学生です。
トランプ?やばいやつでしょ??くらいの知識がなかった大学生の私にもわかりやすく、起こった事件を再現した&現当事者の意見も聞ける、とても良い作品だと思いました。
見終わった後、
もっとこのヤバさが、伝わって欲しいと切に願いました。
はじめてのマイケル・ムーア監督作品
ドナルド・トランプ大統領を支える現在のアメリカ社会を痛烈に批判。
銃被害,水道の公害被害,教員等の劣悪な労働環境の実態,それに立ち向かう人々…
ヒットラーの演説の映像に,トランプ大統領の声が重ねられる。
為政者によって,社会が変えられるのは,一瞬のことかもしれない。
声を上げることの重要性。身につまされるドキュメンタリー。
【賛否両論チェック】
賛:政治的な価値観は置いておいて、「自分から声を上げることそのものの重要性」を感じさせる内容に。改めて考えさせられる部分が多い。
否:内容は言うまでもなく政治性が非常に強く、かつムーア節で淡々と進むので、そもそも興味があるかないかで好みは大きく分かれそう。
当たり前といえば当たり前ですが、あくまでも「マイケル・ムーア監督の視点から見たアメリカの現状」を訴える作品ですので、観る人の政治的思想や価値観、好き嫌いによって、評価は180度変わる内容です。
しかしそういう主観を抜きにしても、何かこのままではいけないと感じる出来事に直面した時、流されるがままに何もしないのではなく、自分から声を上げることの大切さを、改めて教えられる内容でもあります。
この作品を取っかかりに、政治から社会問題に至るまで、自分自身の意見を考え直すきっかけになりそうな、そんな作品です。
よかった
大統領選のところは、宝くじが当たる瞬間をみているような、民主党にとっては悪夢そのもので面白かった。フリント市の水問題、オバマがひどい。住民たちの落胆ぶりが気の毒だった。今は改善されたのだろうか。銃規制はあんまり面白くなくて眠くなった。トランプのことをもっと見たかった。
日本の宣伝方法が良くない!
まるでトランプ徹底追及的な宣伝の打ち出しだけど、
内容はそれをきっかけとした現代の米国への訴えであり、「シッコ」などの手法のトランプ分析を期待すると大きく期待はずれになる。良い映画なのに。。。
しらなかったよ、アメリカ……。
テレビやネットのニュースでは伝わってこないあれやこれやがてんこ盛り。
ひたすらトランプを批判するのかと思えば、そんなトランプを台頭させた状況を掘り下げてゆく、という冷静さに好感が持てる。
一度で全てを理解することは難しい(のは、私のオツムのせい?)ほどの情報量ながらも、飽きさせず引っ張り続ける構成が相変わらず見事。
そしてこれは案外、アメリカだけの不適応ではなく世界のスタンダードなのでは? と状況に既視感を覚えた瞬間、私達の抱える恐怖と不安と不満がモンスターを生み出す仕組みに震える。
煽られてこれ以上、状況を悪化させたくないもの。
文句を言う口と手足で、自らが自らのために立ち上がれ、行動せよ、だ。
怒れるジャーナリスト渾身のレポート
119という数字は、2016年11月9日に、アメリカ大統領選挙結果が出てドナルド トランプが勝利宣言をした日で、この数字に因んで、フイルムのタイトルがつけられている。つい先日、2018年11月6日に大統領予備選挙が行われたことも、記憶に新しい。
「華氏 911」と混同しやすいが、こちらは2004年の作品で、2001年9月11日の世界貿易センタービル崩壊後、イラクに大量破壊兵器があるとして開戦に踏み切ったジョージ W ブッシュ政権を批判した作品。ナインイレブンは2004年作品で、ノベンバーナインが今年最新作品だ。ナインイレブンの方は、アメリカで約1憶2千万ドル、全世界で2億2千万ドルの興行収入をあげ、ドキュメンタリーフイルムとしては過去最高の興行成績を記録した。未だにこの記録が破られていない。
マイケル ムアは怒れるジャーナリスト。熱い男だ。アポイントメントを取らずに突撃インタビューで取材して真相に迫る彼のスタイルは独特。偽政者の不正に怒り、一般市民の目で政府を告発し続けている。世界中の富が総人口の1割に満たない富裕層によって保持され、持てる者と持たざる者との格差が拡大する一方の物質社会。富の最たる武器製造産業が世界各地に戦争を創り出し、武器を売りつけては市民を殺し続けている。どの国の政府も、税制で優遇され肥えるばかりの大企業の言うままのパペットと化している。ありもしない社会福祉を夢見て、働きずめで搾取され続けてきた一般労働者は、税をむし取られ、貧しいものから順に戦争に駆り出されていく。それでも人々が怒り続けることを忘れてしまうのは、ちょっとだけ月に一度だけわずかな蓄えから贅沢な食事をして、数年に一度だけちょっと旅行などしたり、ブランド品を身に付けたりして、僅かな富裕層の夢を見ることができるからだ。真に豊かな富裕層と比べて余りに惨めな自分の生を、認めたくないばかりに格差社会の残酷性に自ら目をつぶってしまうからだ。怒ることは現実を見ることだ。マイケル ムアは怒り続ける。
彼はもともと民主党支持者だったし、ラルフ ネイダーの支持者だった。しかしこのドキュイメンタリーフイルムでは、共和党も民主党もきっちり批判している。2016年の大統領選挙で、識者やマスメデイアがトランプの当選などあり得ない、と笑い飛ばしていた時、彼は中西部のアメリカの製造業に関わっていた労働者の不満を綿密に取材していて、いち早くトランプが当選することを予想していた。
今回のフイルムは トランプが当選して勝利宣言を発するところから始まる。どうしてトランプが大統領選に出馬したかというと、歌手のグウェン ステファニーのギャラが自分がもっていた番組の出演料よりもずっと高いことを知らされて激高して決めたという。歌手のくせに、女のくせに、と怒り狂った末大統領、、、というエピソードは初めて知ったが、興味深い。
またトランプが口汚く中南米出身者をテロリスト、レイピストと根拠もなく決めつけ、アフリカンアメリカンを二ガーと最悪差別語で言い、女性を金の力で何でもさせることができるんだと自慢してみせ、身体に障害のあるジャーナリストのマネをして面白がる、、、およそ人間としての品格も最低限の教養も見られない、そういった素養を彼は猿に重ねて笑わせてくれる。猿の方が余程マトモだよね。
マイケル ムアの故郷ミシガン州、フリントの取材は秀逸だ。マイケル自身がこのアメリカ中西部のラストベルトといわれるど真ん中の出身で、彼の祖父も父親もGM(ジェネラルモーターズ)の工場労働者だった。ここではトランプ並みの富豪ビジネスマン出身の知事の独裁政治がまかり通っている。州の財政を倹約するために水道が民間化され、今まで水質の良い水道を使っていた市民が、高濃度に鉛で汚染された水道水で生活を余儀なくされた。鉛は飲めば、体から排泄されず脳に蓄積されて知能障害、多動児を生み、皮膚障害や流産、死産、未熟児出産の原因となる。汚染された湖から取水された水は、老朽化した水道パイプの内部で鉛が溶け出し、それを飲料水や料理や洗濯に使う市民から鉛中毒者が出る。怒った市民の抗議行動を見て、知事はGMの工場だけに今までと同じ良質な水道を提供する。しかしアフリカンアメリカンがマジョリテイーの市民には、汚染水のままだ。遂に、フリントの住民はワシントンに抗議行動に出る。
その返礼は、恐ろしいことに、何の予告もない、装甲車を先頭に繰り出した大規模な軍事演習だった。鉛中毒で人々が移住して空き地になった場所を、軍が爆撃訓練を称して砲撃する。突然の軍による攻撃に震えあがる市民たち。
そんな最中に、オバマが街にやってきた。もろ手を挙げて熱狂、歓迎する市民たち。フリントの公会堂でスピーチをしたオバマは、途中で咳をしてみせてコップに入った水を飲ませてくれ、と言う。興奮した市民、聴衆たちは大喝采をして、鉛で汚染された水道水のグラスに口をつけるオバマの一挙一動をかたずをのんで見守っている。知事は鉛は基準以下だと言っているが、化学者たちは鉛中毒の警告をしている。そんな危険で、毎日自分達が飲まされている鉛汚染水を、オバマが一緒に飲んでくれる。
市民集会でも、フリントの知事や議員たちとの懇談会でもオバマは、水道水を所望する。すばらしいパフォーマンスだ。しかし市民はしっかり見ている。オバマはグラスの口をつけてみせただけで決して飲まなかった。飲むつもりもないのに、わざわざ所望して公の場で飲むふりをする。ペテン師オバマは醜い。オバマはとても醜い。オバマは醜い。
オバマはかつて良心的弁護士で、民主党員だったが、共和党のブッシュよりもニクソンよりもたくさんの市民をアフガニスタンやイラクなどでドローン攻撃で殺害した。罪のない女子供を殺害した数が過去の大統領のなかで断トツに多い。オサマビン ラデインを法的手続きなしで殺させたのもオバマだった。犯罪者だったかどうかも未だにわかっていない被疑者を、違法に殺害するのは最も恥ずべき卑怯者のすることだ。
オバマを批判したマイケル ムアは、ヒラリー クリントンにもその矛先を向ける。大統領選挙で同じ民主党のサンダースの方が支持者が多かったにも拘らず、彼女は地区ごとに改作した偽りの報告を選挙委員会に出して、サンダースを引きずり下ろした。評の改ざんだけでなく、サンダースの集会の妨害や中傷など共和党でもやらないような汚い手でサンダースが自ら大統領選を下りるように画策した。そのため怒った民主党支持者たちは、本選挙で投票に行かなかった。民主党を割り、投票数を減らし共和党票を当選させたのはヒラリーだ。大型兵器産業や、ゴールデンサックスのような金融企業から多額の財政資金をもらっているのも、トランプだけでなく、ヒラリーもオバマも受け取っていたのだ。腐敗しているのは共和党だけではない。
ウェストヴァージニア州の教師たちの立ち上がりもレポートされている。ここでは学校の先生が低収入者むけのフードチケットに頼らざるを得ない。教師の生活を保障せよ、という大規模なデモでワシントンまで行進する。NO MONEY IS THE STRONGEST POWER。無一文が一番強い。何も奪われるのものない教師たちの捨身の行動。
トランプは、医療健康保険制度を葬り去り、銃規制の声に耳を貸さず、メキシコとの境に高い塀を築き、移民を拒否し、アフリカンアメリカンや先住民族や南アメリカからの移民差別を助長し、LGBT差別や女性差別を平気で行い、ジェルサレムにイスラエル大使館を置き、輸入関税を高くし、中国ソビエトを威嚇する軍事演習を繰り返している。彼の行動は、21世紀のファシズムとも言える。トランプのその姿は、ナチズムによるヒットラーの顔に重なる。アメリカの民主主義は崖っぷちに立っていて、ハンドルを握る男は常軌を逸したトランプだ。トランプは民主主義を壊し、ずっとホワイトハウスに住むことを、自分のゴールにしている、とマイケル ムアは言う。
一方で希望もある。草の根運動からうまれたサンダースの子供達だ。今回の大統領予備選で、ニューヨーク州から出馬して最年少で当選して下院議員となった29歳の、プエルトリコ出身のアレクサンドリア オカシオ コルテスだ。レストランで働きながら大学時代にもらっていた奨学金の返済をしている身だが、ボランテイアでサンダースの選挙運動を手伝った契機に政治に無関心ではいられなくなって出馬した。この人がものすごい美人だ。賢い女性は美しい。
またミシガン州から出馬して女性のイスラム教徒で下院議員に当選した、ラシダ タリーブ42歳。そして、マサチューセッツ州からアフリカンアメリカンの女性、アヤンナ プレスリー44歳。3人ともサンダースの子供達と言える。
フイルムは学校での銃乱射事件にあって、自分は生き延びたが友達を失ったエマ ゴンザレスのスピーチで終わる。銃規制に動かない政府に怒る高校生たち。自発的に集まり、共和党議員たちに全米ライフル協会からの寄付金を受け取らないと約束してください、と詰め寄るテイーンたちの姿が健気だ。
トランプを当選させたラストベルトの貧しい白人男性は、トランプが再び雇用を安定させて、アメリカドリームを復活させてくれることを願ってきたが、遅かれ早かれ彼らはトランプが貧しい階層の味方ではないことに気が付くだろう。彼はミリオンネイヤーを、ビリオンネイヤーにするだけの存在だったことに気付くことだろう。
ドキュメンタリーフイルムだが、ユーモアあり、ちゃかして笑わせるし、音響効果も良く狙っている。フリントでの軍による演習などすさまじい銃弾音で音だけで鳥肌がたつ。また、事実を並べるだけでなく誰にでもわかるように順を追っていて説明されていて、理解しやすい。インタビューも一方だけでなく双方の意見をちゃんと解りやすく編集している。
この映画が公開されたのは、大統領予備選の前だったから、当選者がまだわかっていなかった段階だったが、3人の当選した女性下院議員たちが、草の根運動のクラウドファンドで資金を集め、選挙に出る姿を捕えて、生の声を伝えている。彼女たちが必ず当選すると読んだマイケル モアの判断力は素晴らしい。
最後のエマ ゴンザレスの感動的な、一生に一度ともいえるスピーチも、涙なしに聴くことができない。小気味よいテンポでトランプ政権の2年間が総括されていて、すぐれた作品に仕上がっている。
マイケル ムア、この人には暗いところを独り歩きせず、サウジアラビア大使館などには行かないで、長生きして欲しい。
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