マチネの終わりにのレビュー・感想・評価
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終わりの始まり
『マチネの終わりに』(2019年)
男は大人の振りをした少年であり、女は少女の振りをした大人である。
分別弁えた四十路の男と女の、驚くほど初心で不器用な恋愛模様、それは恰も思春期の少年と少女のような、一気に燃え盛る、理屈のないときめきと迸る恋愛感情が滾る、将にBoy Meets Girl ストーリーです。
芥川賞作家・平野啓一郎の原作小説を忠実になぞるかのように、本作は、明らかに映画に現れない第三者の語り部による三人称で描かれています。そのために寄せカットは殆どなく、引いた画が多いので、ラブストーリーにも関わらず主役の男にも女にも、どこか突き放した冷めた眼で距離を置いて客観視しているカメラ視座を感じます。
高名なギタリストと精力的な国際ジャーナリストという二人の恋愛は、東京、パリ、ニューヨークに跨り、如何にも都会的で洗練され瀟洒で洒脱な空気感を常に漂わせながらも、終始プラトニックに淡々と静かに進められます。
男を演じる福山雅治は専ら仰角カット、女を演じる石田ゆり子はやや俯瞰ショットで撮られているように、少年のような直向きさで、己に自惚れた男が主役の如く映ります。小気味よいカット割りでのテンポ良い展開によってスクリーンには惹きつけられますが、ドラマそのものにはリアリティーに欠けやや実感に乏しい浮揚感が靄のように覆います。
但し延々と続く過去のフラッシュバックというプロローグを経た、時制が現在になった途端に映像に血が通い始めます。男が舞台で演奏した狭義のマチネが終わった後に、この物語の本編が漸く始まります。いわば本作は、長年月に及ぶ男と女の愛憎劇という「マチネ」の終わりの始まりだったことが、観客には初めて明らかになるのです。
マンハッタンのセントラルパークからのBoy Re-Meets Girl“終わりの始まり”は、多分この物語の語り部も与り知らない未知の世界です。
第三者視点で描かれているゆえの、どこか牴牾しく訥々としたスジにも関わらず、最後まで観客の興味を掻き立てた大きな所以は、アコースティックギターによる哀愁を帯びた音色、その流麗に奏でられる耳に心地良く響くメロディとリズムによる、シークェンスの切れ目毎に流れる印象的なBGMのせいでしょう。
本当に切ない
「大人の恋」を描いた映画でした。
ストーリーの流れに少々ツッコミたいところもありましたが、それぞれの役者さんたちの熟練味ある演技でカバーしてくれています🙆♂️笑
私は、特に桜井ユキさん演じる三谷の蒔野を思う気持ちに惹きつけられました。確かに彼女のしたことは許されないことかもしれないし、彼女の全てである蒔野を傷つけることだったかもしれないですが、彼女の蒔野を思う気持ちは、蒔野が洋子を思う気持ちに決して負けない強い思いだったと思います。本当に素晴らしい演技でした。
映画全体としては、冒頭に申し上げたとおり展開に少し気になるところはあるので、この評価としますが、鑑賞後に、大切な人を大切に思う気持ちを今一度呼び起こしてくれる映画だと思います。
愛になったその先
この映画で素晴らしいのは桜井ユキさんの演技、
あと音楽、菅野祐悟さんのとても繊細な音。
福山さんの役も石田さんの役も魅力的で、
綺麗な映画でした。
物語の最中は感情が忙しくて、でも
エンドロールが流れてからハラハラと
サラッとした涙が不思議と落ちて、
込み上げてくると言うよりは、
流れてるかんじ。
心に深い傷をおっても、
道を間違って後悔しても、
大切を超えた存在が力になる。
恋から愛に変わって、愛が情になっても、
特別な人ってずっと心に住んでる。
アナタが死んだら僕も死ぬよ
そう思える相手がいることがどれだけ尊いか。
その人が別の人と結婚して、
子供もいて、家庭があったとしても、
変わらない。特別。
不倫とか、そんなんじゃなくて、
心に住んでるんだなと思いました。
最後、会えて良かったけど、
何も始まらずに、親友になってくれると嬉しいかな。
無題
ラブロマンスものでした。
しかも若者向けではなく、40代の大人向けな感じ。
なんかこう、もどかしいんだけど、結局元の通りに戻りかけたけどでもどうしてもな展開に、気持がよく分かるストーリーでした。
大人にもラブロマンスが必要だ!!
原作未読です〜
今や絶滅危惧種のラヴロマンス〜〜
アラフィフになったとは言え、やっぱ福山さんは福山さん
それなりにカッコいい!!
石田ゆり子さん、私は正直、それ程、
上手い役者さんとは思ってないですが
今作ではいい感じで頑張ってました。
フランス語、私は解らないけどそれらしく聞こえました。
何と言っても予告編のように福山さんに
「洋子さんが死んだら、僕も死ぬよ〜」なんて言われたら
そりゃあジーンとするよね〜
結婚年齢が高くなって、再婚も増えた今時、
40代50代でも運命の恋に出会う可能性がある時代。
ましてや現実社会が殺伐としているので
せめて大人にもラブロマンス映画で現実逃避は絶対必要だ!!
パリやニューヨークのシーンも美しくて見応えありました。
作中に流れるギターの音色もとても美しい〜
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
お話は昔から悲恋ものにありがちなすれ違いもの。
携帯電話が発達して昔ながらのすれ違いなんか
もう成り立たないと思っていたら
携帯電話に依存し過ぎて、逆にその手があったか(笑)
そして、予告編での掴みが
テロ事件を取材するジャーナリストと
世界的に活躍するギタリスト!
なにかテロ事件に巻き込まれて悲劇に〜〜
まるで今年の夏に公開された「世界の果ての鼓動」
みたいな展開?と思いきや〜〜
あれれ〜えらく古典的な〜
ひっくり返せば普遍的な話だった!なんだよ!!(笑)
でも、それはそれで日本人的な思いの深さを感じる。
誰かの不幸を下敷きにしたままでは、
自分だけ幸せには、なれないのかもしれない。
ラストの福山さんの表情が〜
やっぱ惚れるやろ〜〜〜(笑)
@お勧めの鑑賞方法は?
映画館か、もしくは自室で一人でワインを飲みながら
静かに観たいな〜。
上質な大人のラブストーリー
パリ・ニューヨークの綺麗な街並み、
クラシックギターの演奏、
上質な大人のラブストーリーという感じがして、
オシャレで素敵な作品でした。
それぞれの登場人物に共感できる部分もあり、
切なくなったり愛おしくなったり、
何だか懐かしい気持ちになったり、
色んな感情が入り混じって、
でもそれも心地良かったです。
上質な大人のラブストーリーと
タイトルに書きましたが、
落ち着いているように見えて
燃えるような恋心を持っていたり、
大人だからとか
関係ないなと思いました。
それぞれの純粋な想いに羨ましくなって
懐かしくもなりました。
皆さんの演技力も素晴らしかったです。
個人的に、石田さん桜井さんほんとに良かったです。
伊勢谷さんの全編英語もかっこよかったです。
ビターなラブストーリー
まず「ガリレオ」シリーズと毛色が全く違うので、そこにまず驚きました。
物語は大人のラブストーリー。
一番は桜井ユキの置かれた役所と、その芝居がとても印象的だった。
彼女というキーがなければこの作品は成り立たなかったであろう。
それにしても主演の二人は役所がぴったり、あの静かに作り出す空気が良いですね。
音楽も美しくとても心地良い、それが登場人物の心情を良く現していました。
また言葉の一つ一つがとてもきれいで、特に大事にしているんだろうな感じましたね。きっと原作も素敵なのでしょう、興味が湧いてきました。
二人のすれ違っていくトリックには少し荒いというか思うところがあったものの、実際動き出したらこんな風に流れていくのかもしれませんね。
大人のラブストーリーなので展開に少し重いところもありますが、それでも物語として楽しめました。
特にラストシーンの止め方はとても良かったです。
マチネが終わり、ソワレが始まるのでしょう。
マチネの終わりに
こんな 芸術感溢れ映画は久方ぶり。浅くも深くも取れるようになってますね。ギター音楽と共に秋堪能できます。2回行って2度目の方がラストに号泣してしまった。最低6回は観たい 本を読む度に早くまた観に行きたいと猛烈に思ってしまう。福山雅治が美しくて驚いた。
う〜ん....
特段悪くもなく良くもないストーリーでした。
石田ゆり子さんのファンなので観に行きましたが、石田さんの演技がどうもしっくり来ない感じがしてしまいます😓
個人的に映像のフィルターは好きでしたし、全体的な雰囲気は良かったです。
あまりにも身勝手、だけど美しい恋
満点です。
何が満点ってそりゃ石田ゆり子です。
年を重ねても美しさ可愛さが一切なくならない。そりゃ運命感じるわ。
内容については賛否両論あると思う。
登場人物みんな身勝手だもん。自分の運命を信じすぎ。
メインの2人の恋を素直に応援したいとも思わないけどなんていうか美しいんだわ。
何がそうさせるのかわからないんだけどすごくキュンキュンするんだわ。
これは言葉ではちょっと表せない。
ぜひ観て欲しい。
あとは楽曲がすごくいい。
ストーリー上ヨーロッパのシーンが多いからか、洋画のようなオシャレさまで感じる。
映像と音楽が良かった
中盤途中、蒔野が洋子に電話するシーンから迂闊にも寝落ちしてしまい内容が充分理解出来ないままでした(泣)
ただ三度しかあった事のない女性に恋してしまうと言うのが私には理解出来ませんでした。
終盤の展開は意外でしたがラストは二人が結ばれる事を予感しました。
挿入曲と映像はとても綺麗でした!
今後ば絶対、寝落ちしません!
蒔野と洋子の沈黙
大人の恋愛かぁ、と難しい映画だったらどうしよう、なんて思ってたのに。気持ちがぐっと堪えられず目頭があつくなるし、帰り道には本を買って帰りました。
美しい風景も、羨むような美男美女も、ぜんぶ素晴らしいのだけれど、そんな現実と離れた世界観、どう引き込まれたんだろう?と思い出すと、主役の二人の表情と間だったのかなと思う。初対面の社会人らしい表情から、次第に複雑な顔を見せるようになり、だんだんと沈黙の時間が設けられていく。すると、今二人は今何を思うのか、何を考えているのか、と想像させる。
ドラマでよくあるのは、その場の感情を分かりやすく表現する姿だけど、現実では、内側でパッと強い感情に襲われても相手や周囲を思ったり冷静になろうとしてクールダウンするような考えが現れたりして、感情に任せた反応を表現することは少ない。でもこの映画では、二人の沈黙や表情やシーンで考え込んだり恐怖に襲われたり悩んだりする静かなシーンが生々しく表現されていて、だからこそ観る側も二人に沿って思いを想像し、引き込まれていくのかな。そんな風に思いました。
曲がいい
TOHOフリーパスポート持って無かったら見なかった本作。いやー、見て良かったわ。
バイオリストの福山雅治が、一目惚れしたジャーナリストの石田ゆり子に婚約者がいるにも関わらずお構い無しに恋がれる話。
この映画を見て自分の人生とオーバーラップさせて思ったのが、誰と結婚するのが正解なのか?
ということ。
ほんの少しの歯車が狂っただけで、出合いのタイミングが狂っただけで、パートナーを選んでしまうが、他の選択をしたらどんな違う人生を歩んで行ったのか?
その選択で本当に幸せだったのか?
などなど。
単純な恋愛物かと思ったらちょっとした出来事ですれ違いとなり4年後には真相が分かる。
しかし、この話の場合、その4年前の事件を思い返して心が揺さぶられるか?
子供がいて幸せだろ。
と、思ったら石田ゆり子側には離婚問題が…。
魂を揺さぶるかなりの名曲な音楽と相まって、ちょっと考えさせられる傑作だ。
観賞後に心が温かくなりました
原作読了済み。
原作が凄く好きだったのでどのよう「映像化されるか楽しみにしてました。
キャストのみなさんの演技がとても素敵で、思い描いていたキャラクター像と一緒でした。
お互い好きなのに運命のいたずらにより、一緒になることが出来なかった2人。それぞれの人生を歩み出すことになるが、最後には・・
ラストシーンの2人の笑顔だけでじんときました。
観て良かったです。
映画のテーマでもある」未来は過去を変えることができる」を信じてみようと思います。
映画にできること
原作を読んだあとキャストが発表された時、ここまでぴったりな2人はいないと思った。他のキャスティングも抜群で、原作のイメージを完璧に再現していた。ただそのせいもあってか、小説を読む中で流れていたイメージを超えてくる映像は音楽以外なかった。ノルウェイの森と同じで、原作の完成度と作家の才能を痛感した。
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