劇場公開日 2018年11月30日

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「愛されないことは不運であり、愛さないことは不幸だ。」ヘレディタリー 継承 まこさぽチャンネル(さぽしゃ)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0愛されないことは不運であり、愛さないことは不幸だ。

2018年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

母になる不安と恐怖を抱えたローズマリーであり。
閉ざされた空間でタイプライターに向かうジャックと
恐怖に歪んだ顔のウエンディの娘であり。
抑圧され怒りを爆発させたキャリーであり。
蠢く蟻のダリの死の匂いに、監督の過去が透ける。

早くに亡くなった兄の名前を受け継いで生まれたダリ。
兄の代わりに育てられたダリ。
生きているのに同時に死んでいたダリ。
自分は兄とは違う人間であると奇行を繰り返すダリ。

遺伝的に不運を背負った母。
その不運が子供にいくことの不安、恐怖。
それが母を子供から遠ざける。
そんな母の自己嫌悪が、母自身を追い詰め狂わせる、ダミアンの母となる。
その姿は、亡くなった母と同じ。
母から娘へ、そして孫へ続く負の連鎖。

愛されないことは不運であり、愛さないことは不幸だ。

「きみはいいこ」と同じテーマがある。
これはホラーの皮を被った、児童虐待の連鎖の話だ。

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さぽ太