劇場公開日 2018年11月30日

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「福井流ガンダムは馴染めない」機動戦士ガンダムNT Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0福井流ガンダムは馴染めない

2018年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

 UCからガンダム本線は『福井流ガンダム』へと移りました。ですがファースト世代の自分は、福井氏の綴るガンダム世界が正直合いません。コレは完全に好みの問題なのですが。

 まず何より『セカイ系』然と化した脚本は良しとしても〝ニュータイプ〟というガンダムの根幹的概念の拡大解釈を基に、カルト的なストーリーを組み上げたところから、既に自分との激しい齟齬が露呈します。自分が認識しているニュータイプとはこう言う魔法魔術の類ではありません。
 また、1年戦争以来の小競り合いが今も続いてる状況、そこに本来あるべき国家や民族・政治的な背景はあまり描かれず、ヨナほか3人の周辺で物語をまとまるOVA方式です。Zから逆シャアの過去作の部品を無理繰りにねじ込んで接続をはかった様子もありますが、実質ねじ込んだだけで効果薄です。
 戦闘描写も迫力はあるものの状況がつかめないガチャガチャ感、描写が荒くスピード感で誤魔化すような演出、どうしてそうなった?的アレコレ‥‥ 結局一番の見せ場である筈のMS戦がドタバタに終わってしまいました。
 もう一つ残念な事は、敵の番長ゾルダンがチンピラ同然の小物だと言うこと。彼もまた苦しみと悲しみに塗りつぶされた哀れな存在なのでしょうが、何の細工もない悪者のテンプレ描写ではそんなの一切伝わりませんし、タダのイカレではガンダムに相応しくない気がします。
 ティターンズの人体実験でも検体の子供の扱いがモルモット同然なのも説明なしでは時代錯誤ですし。

 ガンダムの次の100年史を構築する1発目作品としては、正直★2程度です。ですが制作に今後のアニメ文化を支える若手を多く起用し、より一層盛り上げていこうと言う意気・気概は高く評価できます。今後のアニメ文化の一層の発展に期待したく思っています。
 一方で、宮崎ジブリの終末感に代表される『作風文化(様式)の継承』がナカナカ成されていかない事には危機感を覚えています。安彦・富野流のガンダムが今後お目にかかる事はないでしょう。

Geso_de_Nyoro
Geso_de_Nyoroさんのコメント
2018年12月5日

コメント有難うございます。
ガンダムもひとつの『ジャンル』化してしまった感があり、色んな制作チームが色んな種類のガンダムを創作しています。その中には面白いものもあり、あまり合わないものもあります。ですがその辺は各ファンの好みですので自由に制作されて構わないのですが、絶対にやめて欲しいのはファンの投資にアグラをかかないでもらいたいことです。

Geso_de_Nyoro
helio624さんのコメント
2018年12月5日

僕も福井氏の世界観は馴染めません。答えの出ない主張と商品展開を意識し過ぎたメカ、そして魅力のないキャラクター。特にエログロには閉口しました。今回のナラティブも観ないですし、閃光のハサウェイも観ないと思います。

helio624