劇場公開日 2019年3月22日

  • 予告編を見る

「とことん楽しませつつ、現実を突きつける。高度なエンタテインメント快作が胸に突き刺さる」ブラック・クランズマン ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5とことん楽しませつつ、現実を突きつける。高度なエンタテインメント快作が胸に突き刺さる

2019年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

これまでも歯に衣着せぬ発言で人種問題をぶった切ってきたスパイク・リー監督。そんな彼が、人々の憎悪が渦巻き、分断の溝がますます深まる社会に向けて何を語るのか。その生じうる破格のインパクトに身構えていた映画ファンも多かろう。

だがリー監督のイマジネーションは、そんな我々の想像の遥か上空をいく。これほどのエンタテイメントの豪速球の中で、いわゆる「ヘイト」の素顔を暴き出し、糾弾し、木っ端微塵に粉砕する怪作が出現するとは。

最初から最後まで観客をとことん楽しませ、興奮させ、それでいて目を背けてはいけない現実や人間の姿とも向き合わせるこの手腕。さらに脚本、演出、撮影、美術、音楽、そしてクソッタレのKKKを演じた連中も含めた素晴らしき俳優陣による怒涛の全員野球。活動家の演説に耳を傾ける聴衆の顔を一つ一つ浮かび上がらせる編集の腕も冴える。我々観客の頬に強力ビンタを張り、世の中を正気に戻す骨太な一作だ。

コメントする
牛津厚信